都市住民が農村を訪れるのは, そこに豊かな自然や美しいふるさとの原風景が残されているからである。
しかしながら, 農村の近代化, 生活環境の都市化の進行の中で, 農村へも都市的な施設が持ち込まれ, 本来その地域が有していた文化, 伝統とは無関係に, 都市と同様に意識化された人工的な世界が持ち込まれてきてはいないだろうか。
このような問題認識から, 農政審答申や事業制度の変遷, 事業効果と農村の現状等, これまでの農村景観の形成に向けた取組みをレビューするとともに, 景観配慮の原則化, 景観アセスメントや景観条例等規制的な措置の導入を含めた今後の施策の展開方向について, 農林水産省の「水とみどりの美の里プラン21」を解説しながら, 検討を加える。
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