山間地域に位置する5つのため池を対象に, 水生動物の生息空間としての機能を支える環境特性について検討した。ため池の物性的特徴, 水生植物の分布状況, 水質を説明しうる環境特性値をもとに, 各ため池のクラスター分析を行ったところ, ため池表面積, ため池周囲長, 水際部の複雑さ, 水深構成比率 (50-100cm), 酸素飽和度, EC, 浮遊植物植被率によって特徴づけられることがわかった。各ため池における水生動物の採集結果から, 魚類の多様性指数が高かったため池では, ため池の水深構成は多様であり, 酸素飽和度が高いという特徴がみられた。また, 甲虫目およびトンボ目の多様性指数が高かったため池では, 水際部の複雑さ, ECが大きく, 酸素飽和度が小さいという特徴がみられた。
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