農業用水に関する国際的な議論は, 欧米を中心とし乾燥地域における畑地農業をベースとして行われてきたため, 環境保全のために農業用水利用を抑制すべきとする議論が主流になっている。
このような議論への対応を考える場合, 世界には多様な気候風土に基づいた多様な灌漑が存在することを国際社会へ認知させることが第1歩となる。
第3回世界水フォーラムでは, 上述の問題意識に基づき, アジアモンスーン地域における水田農業や農業用水の特質をテーマとしたセッションが開催され, 日本主催の農業大臣会合へ議論を繋げた。その成果として, 水田農業国を中心とした国際水田・水環境ネットワーク (INWEPF) が設立され, 活動を重ねてきたところである。
本報では, INWEPFの設立経緯や現在までの取組みおよび本年3月に開催を控えた第4回世界水フォーラムに向けたINWEPFの対応方針と今後の活動について紹介する。
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