産学連携学
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11 巻, 1 号
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特集 デジタルファブリケーション時代の中小製造業の姿
  • 喜多 一
    2014 年 11 巻 1 号 p. 1_1-1_4
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/26
    ジャーナル フリー
    多数の中小製造業が地域に集中して立地する工業集積はわが国の製造業の基盤をなしているが,製造拠点の海外移転や後継者不足などさまざまな課題を抱えている.他方,3Dプリンタに代表されるデジタルファブリケーションは製造業そのものの在り方を問うている.本論文ではデジタルファブリケーション時代の中小製造業の在り方とそのための産学連携について考える.
  • 高木 聡
    2014 年 11 巻 1 号 p. 1_5-1_11
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/26
    ジャーナル フリー
    近年,「3Dプリンター」が急速に注目を集めている.経済産業省では,昨年10月から本年2月まで「新ものづくり研究会」を開催し,付加製造技術について議論した.付加製造技術は,(1)精密な工作機械としての発展可能性(付加製造装置)と,(2)個人も含めた幅広い主体のものづくりツールとしての発展可能性(3Dプリンター)の2つの方向性を持ち,航空機分野や医療分野といった先進分野での応用が期待されるだけでなく,多くの人々のアイデアが繋がることで,これまでにない新しい製造業のかたち(インディーズ・メーカー)を実現するきっかけとなる可能性がある.
    本稿では新ものづくり研究会における議論を概括しつつ,インディーズ・メーカーの動きから見える,今後の中小製造業の姿と,それに対する政策対応を考察する.
  • 市川 純章
    2014 年 11 巻 1 号 p. 1_12-1_16
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/26
    ジャーナル フリー
    デジタルファブリケーションのツールは,高い技量を必要とせず,つくってみることを容易にしてくれる.これは新しいものを生み出す力の育成に向いている.これらの効果を示す事例を紹介する.大学の初年次教育でロボット製作の講義に導入してみたところ,学生の工作力を補い学生の創造力を高めることができた.また学生チームによる課題解決型の試みでは,素早く試行錯誤を繰り返しながら適する部品の開発に成功した.一般企業の技術者のスキルアップ講座に導入してみたところ,組み込み技術で,センサーやインターネット技術を複合した遠隔システムの開発をわずか数日間のトレーニングで可能にした.
論文
  • ――大学組織文化の特徴と産学連携の実態を主な考慮点に――
    文 健, 山本 卓司, 孫 一, 清光 英成, 大月 一弘
    2014 年 11 巻 1 号 p. 1_17-1_24
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/26
    ジャーナル フリー
    本稿は近年産学連携のICT利用が多様となりつつあるもののその効果判定に関する考察が見当たらない点を踏まえて,一般のアンケート調査では効果の把握が困難であるという課題を意識しながら,大学組織文化の特徴と産学連携の実態を考慮した連携本部の情報発信におけるICT利用の効果判定方法を考案した.そして神戸大学の事例をもとに当該方法の有用性について初歩的な考察を行った.
    有用性考察の結果,本判定方法を通じて教員の産学連携意識と連携本部の情報発信方法によるICT利用効果の変化が予測可能となった.また,情報発信方法とICT利用との組合せでより効果的な情報発信を図る検討において本判定方法が寄与する可能性を示した.
  • ~山形大学の産学連携の事例から~
    朱 雲飛, 高橋 幸司
    2014 年 11 巻 1 号 p. 1_25-1_35
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/26
    ジャーナル フリー
    日本政府は2008年に新たに「留学生30万人計画」を発表し,海外の優秀な人材を高等教育機関に受け入れようと大きく動き始めた.しかしながら,近年,留学生人数の減少や質の低下等についての懸念が増えてきた.これは日本の留学生受入れ制度が戦後から根本的に変わっていないことに加え,国際的な人材獲得競争が激化しているため,留学生の視点から見ると,日本への留学は他国と比べて,その魅力が弱くなっていることが大きな原因の一つであると考えられる.
    本稿では,まず留学生の視点から日本の高等教育機関に留学するための準備段階における取引構造を解明し,現存の日本の留学生受入れ制度の問題点を指摘する.次に,山形大学の産学連携による海外学級制度の試みを例として,如何に日本留学のための準備段階にかかる期間を短縮し,コストを節約するか,取引を再デザインする.
  • 能見 利彦
    2014 年 11 巻 1 号 p. 1_36-1_46
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/26
    ジャーナル フリー
    産学連携においては,大学研究者は技術シーズを提供する側と考えることが多い.しかし,研究に用いる計測・分析機器,実験装置,医療機器に関しては,大学研究者のニーズに基づいて新製品を開発するタイプの産学連携が存在する.本研究では,ヒアリング調査により,このような産学連携において大学研究者が「リード・ユーザー」としての役割を果たしていることと,販路開拓にも効果があり,中小企業にも活躍のチャンスがあるなどの特徴を明らかにした.このタイプの産学連携は,企業に対して新製品開発から販路開拓までの可能性を拡げ,大学研究者に対してはオリジナルな研究装置による研究の発展をもたらし,我が国全体の研究開発や医工連携を発展させるものである.
  • 坂元 耕三
    2014 年 11 巻 1 号 p. 1_47-1_55
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,大学と企業による特許の共同出願の動向の分析によって,産学間の地理的関係の実態を解明することである.
    結果,大学知識の地理的な伝搬状況やその産業的な特徴を示した.例えば,(1)100km未満の近距離な共同出願の割合が高いこと,(2)中小企業よりも大企業との共同出願の方がやや遠距離に分布していること,(3)500km以上の遠距離では大企業と中小企業とで共同出願の分布傾向に相違がないこと,(4)化学・医薬品の企業よりも機械・電気機器の企業との共同出願の方が近距離に分布していることなどである.
    大学知識は企業のイノベーション活動に対し地域レベルと国家レベルの双方の範囲で影響を及ぼしている状況が認められる.
自由投稿
  • 大屋 知子, 赤川 英毅, 巽 英介, 中田 はる佳, 大藤 康一朗, 長谷川 周平, 妙中 義之
    2014 年 11 巻 1 号 p. 1_56-1_64
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/26
    ジャーナル フリー
    既存の知的財産の評価は主に特許性および事業性を対象としている場合が多い.しかし,このような手法では医療機器・医薬品等の研究分野の知的財産評価にあたって,社会的意義や役割について十分に考慮されない.そこで,医療分野に特化した研究成果を対象とした知的財産を多面的・定量的に評価できる手法の策定を進めた.
    特許性・事業性の評価指標以外に新たに社会性を評価する指標を加えることで,特許性・事業性の2項目のみでは評価が困難であった医学的な意義の評価を可能とした.また本指標を用いて適切に評価ができる評価方法も考案し,医療分野に重点を置いた評価手法を構築することができた.本手法の活用は,早期の医療機器・医薬品開発の促進に有益と考えられる.
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