産学連携学
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15 巻, 2 号
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特集 事例研究
論文
  • 中島 清隆
    原稿種別: 論文
    2019 年 15 巻 2 号 p. 2_64-2_72
    発行日: 2019/08/21
    公開日: 2020/03/06
    ジャーナル フリー

    東日本大震災の被災地である岩手県における再生可能エネルギー事業の事例として,岩手県野田村の市民共同太陽光発電所の設立・運営を取りあげ,関係者へのインタビュー調査を踏まえ,地域主体間における地域連携に焦点を当てて検討した.

    対象事例は,固定価格買取制度,市民ファンドなど経済社会制度を活用し,対象地域内外のキー・パーソンである高齢被災者グループとNPO(非営利組織)による「民民連携」を中核に,「産学官民金連携」の相互支援的な関与で展開されていた.事例研究の結果を踏まえ,対象事例における再生可能エネルギー事業である市民共同発電所では,「民民連携」+「産学官民金連携」が多様かつ複合的な地域連携の一形態として成立していることを明らかにした.

  • ―産学連携教育の観点より―
    阿濱 志保里
    原稿種別: 論文
    2019 年 15 巻 2 号 p. 2_73-2_82
    発行日: 2019/08/21
    公開日: 2020/03/06
    ジャーナル フリー

    大学及び大学院又は専門職大学院等の高等教育機関において著作権や産業財産権を学ぶ知的財産教育を実施することに対し,産業界からのニーズが高まっている.大学での学部教育において,それぞれの大学の特性を生かし,弁理士など知的財産関連の資格取得等を目的とする実践的なカリキュラムが見られるようになった.今後,高等教育機関において知的財産に関する教育を更に効果的に実施するためには,教育者側が学習者の持つ知識や関心を把握し,それを反映したカリキュラムを作成することが重要である.特に,高等教育機関で知的財産に関して教育することで,学習者の職業選択等の可能性に深く影響を与えることが期待されるため,知的財産に関して,興味や関心のみならず,体系的実践的なカリキュラムを実施することが求められる.また,知的財産関連の知識については,産業界や経済社会と強い関わりがあるため,知的財産に関して体系的実践的な知識を得ることは学習者の利益にもつながっている.本研究では,高等教育機関初年次において知的財産に関する教育を実施することにより, 一般学生には認知度の低い知的財産に関連する職業について,学習者の意識に与える影響について調査に基づいて検証を行った.

    2013年度・2014年度・2015年度の3年にわたり開講した授業の前後において,受講生に対して知的財産に関する認知度についてアンケート調査を実施した.2013年度の調査結果により,知的財産に関連する職業についての認知においては,人文系分野に所属する受講生では高い傾向が見られた.一方で,医学を含む生物系分野に所属する受講生においては,受講時点よりも更に早期(高校時など)での学習の必要性を認識したという結果となった.また,2014年度,2015年度の調査結果では,2013年度の調査時とは逆転現象が見られ,知的財産に関連する職業についての認知においては,理工系分野に所属する受講生では高く,人文系分野に所属する受講生では受講時点よりも更に早期(高校時など)での学習の必要性を認識したという結果が示された.さらに,知的財産に関連する職業認知と学習者の専門領域に基本的な相関性が見られなかったが,著作権教育については有意差が見られた.このことから,今後は,学習者それぞれの専門分野の特性を重視した知的財産に関する教育のためのカリキュラムを開発することが必要とされる.

研究ノート
  • ―文部科学省及び韓国研究財団の統計データを用いて―
    小野 浩幸, 木村 雅和, 李 素婷
    原稿種別: 論文
    2019 年 15 巻 2 号 p. 2_83-2_103
    発行日: 2019/08/21
    公開日: 2020/03/06
    ジャーナル フリー

    2016年の米ロイター社による世界で最もイノベーティブな大学ランキングで,トップ10に唯一米国の大学以外で韓国科学技術研究院(KAIST)がランキングされた.企業との共同論文の数や特許数などを基準としたロイター社のランキングにおいて,韓国の大学が躍進したことは産学連携を通じて産業界に貢献していることを伺わせる.そこで,産学連携に関する統計データに基づき,直近5年間の日本と韓国の産学連携の基礎的な状況について比較検証を試みた.

    その結果,韓国は日本と比較して産学連携の歴史が新しく,経済規模も小さいにもかかわらず,契約件数及び金額ともに日本を上回っていることが明らかとなった.特に,政府等の投資額が日本を大きく上回っており,その差は年々拡大しつつある.また,特許実施料などの技術移転収入においても,韓国はすでに日本を上回っていることが明らかとなった.

事例研究
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