産学連携学
Online ISSN : 1881-8706
Print ISSN : 1349-6913
ISSN-L : 1349-6913
9 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特集 イノベーション創出への産学官金連携
  • ~産学連携学会2012年秋季シンポジウムの総説として~
    小野 浩幸
    2013 年 9 巻 2 号 p. 2_1-2_10
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/04
    ジャーナル フリー
    地域金融機関による企業の課題解決のための大学等を巻き込んだ活動が活発化している.このような産学金連携は,金融庁による地域密着型金融機能強化政策に端を発している.この地域密着型金融の推進が地域におけるイノベーションの創出という観点からどう評価されるのかについて考察する.そのため,政策のモチーフとなった学説上のリレーションシップバンキングと地域密着型金融の比較検証を行い,産学金連携が新たな地域イノベーションシステムとなる可能性を仮説として提示した.また,産学金連携の可能性検証の一つとして,産学連携学会の2012年秋季シンポジウムのパネルディスカッションにおいて行われた議論を振り返った.
    その結果,1)地域密着型金融機能強化が政策的意図をもって学説上のリレーションシップバンキングと異なる内容で進められてきたこと,2)近時の地域金融機関の産学金連携の取り組みには自らの組織的意思による能動的なものが見られること,3)地域密着型金融が地域イノベーションシステムとしての可能性を期待させるものであることを明らかにした.
  • 髙橋 一朗
    2013 年 9 巻 2 号 p. 2_11-2_14
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/04
    ジャーナル フリー
    当金庫では「お客様支援センター」として地域経済の発展に貢献するため,地域金融の円滑化に努めている.お客様である中小企業に対する事業支援活動を積極的に実施することで,中小企業の抱える様々な課題の解決支援を行い,中小企業の経営の安定化,健全化を図ることが目的である.その手段として「産学連携」はとても有効な手段として機能している.
  • 山田 智昭
    2013 年 9 巻 2 号 p. 2_15-2_21
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/04
    ジャーナル フリー
    中小企業の産学官連携を成功に導くためのポイントは,何なのか.企業,大学と金融機関の連携に必要なのは,互いの風土と考え方のギャップを埋められる交渉力,信頼関係創り,教員への営業活動ができるコーディネーターの存在である.
    当金庫の産学連携支援策の一つのポイントである,出向者の役割と活動内容は,今後の産学官連携において,効果的なものであると考える.特に,連携協定を金融機関と締結している大学は,産学連携コーディネーターとして出向者を受け入れるべきである.
    今後の産学官連携においては,技術課題解決に向けた理系学部との連携に留まらず,文系学部との連携も大学と市民をつなぐ地域貢献の観点から有効な取り組みである.
  • 平尾 敏
    2013 年 9 巻 2 号 p. 2_22-2_26
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/04
    ジャーナル フリー
    わが国における産学連携活動はほぼ十年の歴史を刻んできたが,本来的な意味での企業との連携は芳しくない.わが国特有の事情があるにしても根本的に産業界とアカデミアの間に真の「リスペクト」が醸成されていないからで,双方の意識改革が一層求められる.
    折りしもグローバル経済におけるわが国の地位がどんどん下降しており真の産学連携が必要とされる.しかしながら,推進役の当事者にはこの認識が薄弱であり一層の理解と実行が求められる.野村證券は,産業の基盤を支える,という観点からこの推進を独自の方法で行うこととした.
  • 藤原 貴典
    2013 年 9 巻 2 号 p. 2_27-2_34
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/04
    ジャーナル フリー
    岡山大学は政府系(1機関)および民間系(3機関)の4金融機関と包括連携を締結し,産学金連携を推進している.これまでに金融機関の紹介によって行われた共同研究は延べ4件と少数であるが,いずれも地域の熱意ある企業との出会いに恵まれた.そこで,靴製造会社と行った足袋型スポーツシューズの開発事例を紹介する.これは,地下足袋のように親指が他の4指から独立した形状の靴である.大学で実施した歩行特性の検証から,地面を蹴る感覚が素足に近いことがわかり,開発当初から高校野球の事前練習用シューズとして販売してきた.また,外反母趾矯正効果も指摘されていることから,「外反母趾の靴」として営業を行い,リピート購入率の高い製品になっている.ところで,産学金連携の推進には,金融機関の渉外担当者の効果的な活用が不可欠である.そこで,信用金庫で法人営業を担当する渉外担当者を対象として行っている産学金連携研修の内容を紹介する.
  • 川名 優孝
    2013 年 9 巻 2 号 p. 2_35-2_39
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/04
    ジャーナル フリー
    本稿では,江戸っ子1号プロジェクトを通じて,金融機関と企業,大学との連携についてその経緯と課題等について述べる.本プロジェクトは,金融機関の顧客中小企業および大学,国の研究機関が連携して推進するプロジェクトである.これは,関西で推進された「まいど1号プロジェクト」に刺激されたもので,西が宇宙なら東は深海を目指し,深海探査機の開発と商用化を目的としている.この探査機の特長は,動力を必要としない簡便かつ安価なもので,海底資源探査に貢献するとともに,新たな市場を創造する可能性がある.金融機関は危機感を持ち,地域の活性化を図るため大学や究機関と協力してソリューションを企業に提供する新たな取組みを開始した.本プロジェクトはその一例となる.
連載 産学連携からの贈り物 第2回
  • 田口 幹
    2013 年 9 巻 2 号 p. 2_40-2_47
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/04
    ジャーナル フリー
    筆者は平成24(2012)年3月末をもって国立大学法人電気通信大学を定年退職するまで,東京という地域で共同研究センターの専任教員(国立大学法人化前は専任教官)という立場で16年にわたって産学連携に係わってきたものとしてその経験を寄稿するように依頼された.産学連携学会の創立時からの会員として現在の産学連携分野の後継者にその経験を何かお役に立てるならば,とお引き受けしたものの何を書いたら良いのか…
    前回の荒磯先生のような,これといったことはしていなかったというのが実感である.そこで,昨年3月に退任記念に行った講演を元に本学の産学連携の歴史を書いてみることにした.
連載 産学連携への挑戦 第2回
feedback
Top