廃棄物資源循環学会論文誌
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20 巻, 4 号
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論文
  • 白波瀬 朋子, 貴田 晶子
    2009 年 20 巻 4 号 p. 217-230
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    廃パソコンを詳細解体し,化学分析により40元素について全含有量を求めた。パソコン1台中の基板約1kg (電源基板を除く) には,Ag, Au, Pd, Al, Cu, Pbがそれぞれ,0.79, 0.14, 0.19, 91, 187, 17.8g含まれ,そのうちマザーボードに含まれる割合は,Ag, Au, Pdは58%,Cuは66%であった。廃パソコン11kgに含まれるAg, Au, Pd, Al, Cu, Fe, Zn, Nd, Pbの含有量はそれぞれ,0.79, 0.14, 0.19, 420, 320, 7,200, 77, 23, 20gであった。また,Ni, Sn, Sb, Mg, Mnは57, 28, 2.1, 1.6, 1.0gと推定した。含有量が0.02g以下の金属元素は,Co, Nb, Cd, Te, V, Ga, Sc, 0.01g以下の金属元素は,Se, Ta, As, Bi, In, Hf, Ir, Li, Pt, Tl, Y等であった。2004年の廃パソコンの発生量747万台から,年間に廃棄されるパソコン中の金属量 (廃製品から回収しうる最大量) を推定し,Au, Ag, Pdについてそれぞれ,1.1, 5.9, 1.4tonと見積もった。
  • 姫野 修司, 櫛田 浩司, 大嶺 誠, 露崎 知広, 小松 俊哉, 藤田 昌一
    2009 年 20 巻 4 号 p. 231-244
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    リン鉱石は枯渇が懸念される資源である一方,下水汚泥焼却灰はリン鉱石と同程度リンを含有し,リン鉱石と代替できる可能性を有する。そこで本研究は,溶融処理を用いたスラグ肥料の作成可能な下水汚泥焼却灰組成範囲と,肥料としての安全性・肥効性の明確化を目的とした。
    灰組成による影響検討のためモデル灰からスラグ肥料を作製した結果,灰組成中にリン酸17wt%以上,酸化マグネシウム15wt%以上,アルカリ分40wt%以上となる範囲内にすることで品質基準を満たすことを確認した。また実焼却灰でもこの組成範囲に調整することでリン肥料が作製可能なことを確認した。
    重金属類に対する安全性の検討を行った結果,含有量試験より鉛やクロムなどは肥料取締法基準値を満たすことを確認した。またスラグ肥料を施肥して栽培した作物を分析した結果,植物中の鉛,カドミウム,クロムは食品衛生法の許容上限量を下回り,実土壌への適用が可能であることが示唆された。
  • 畑中 健志, 北島 暁雄, 竹内 正雄
    2009 年 20 巻 4 号 p. 245-251
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    焼却炉等で非意図的に生成する残留性有機汚染物質の1つであるダイオキシン類の確実な排出抑制の実現のためには,生成機構を解明し,その理解に基づいて対策技術を確立することが極めて重要である。本研究ではダイオキシン類の生成機構解明のため,炉内に供給する一次空気と二次空気の酸素濃度を10vol%から21vol%の範囲で変化させて,小型流動層実験装置による模擬ごみの燃焼実験を行い,PCDD/F生成挙動に及ぼす炉内酸素濃度の影響を調べた。この結果,一次空気の場合も二次空気の場合も酸素濃度の低下に伴ってPCDD/F生成量が増加するが,その影響は一次空気の方が大きいことがわかった。また,酸素濃度の低下に伴い生成量は増加するが,酸素濃度一定の条件下と比較すると,良好な燃焼が維持しにくい燃焼条件でも未燃炭素や多環芳香族炭化水素の酸化分解・塩化反応による生成は促進されず,同族体分布も高塩化物側へ移行しなかった。
  • 飯島 伸介, 中山 勝也, 窪田 光宏, 松田 仁樹
    2009 年 20 巻 4 号 p. 252-261
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    本研究では,パイロットスケールの蓄熱燃焼装置 (Regenerative Thermal Oxidizer:RTO) を使用し,代表的な揮発性有機化合物 (Volatile Organic Compounds:VOC) であるトルエンの分解におけるRTOの熱交換特性を,処理対象ガス流量1,090~2,550kg・h−1,トルエン燃焼温度973~1,173K,蓄熱体充填高さ0.9~1.5mおよびバルブ切換インターバル60~180sの条件下で調べた。
    本実験結果より,トルエンおよび補助燃料LPGの燃焼熱量から算出した本RTOの熱交換効率は,処理流量1,810kg・h−1および蓄熱体充填高さ1.5mの条件下で約0.95の最大値が得られた。さらに,蓄熱体充填高さを1.5から0.9mにすると蓄熱体による処理対象ガスの予熱量が減少するため,トルエンの燃焼熱だけでRTOの運転継続に必要な熱量が得られる自燃濃度は340から530ppmに上昇した。
  • 滝村 修, 井上 宏之, 村上 克治, 澤山 茂樹
    2009 年 20 巻 4 号 p. 262-267
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    廃棄タマネギからのバイオエタノール製造を目的に,タマネギにおけるセルラーゼ酵素を用いた糖化特性とSaccharomyces cerevisiae IR-2酵母を用いた発酵特性を調べた。セルラーゼによって加水分解された単糖は,ブドウ糖と果糖であった。セルラーゼによる糖化は約20時間で最大に達し,セルラーゼ添加量は10mg・g−1生鮮重量で最も効果的であった。S. cerevisiae IR-2株を用いた糖化液の発酵において,エタノール濃度は32時間で14.8mg・mL−1を示し,その発酵収率は86.4%に達した。また,発酵温度は30~35℃が最も効果的であった。同時糖化・発酵において,S. cerevisiae IR-2株の遊離細胞の使用は発酵阻害を示したが,S. cerevisiae IR-2株をアルギン酸で包括した固定化細胞を使用した場合は十分な発酵が認められた。これらの結果から,タマネギの同時糖化・発酵に,セルラーゼ糖化法と酵母固定化法が有効であることが示唆された。
  • 中久保 亮, 石田 哲也, 松田 從三, 近江谷 和彦
    2009 年 20 巻 4 号 p. 268-277
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    副資材投入による発酵阻害特性および発酵阻害指標の利用可能性を解明するために,HRT30日の中温連続メタン発酵実験において,三大栄養素 (炭水化物,たんぱく質,脂質) をそれぞれ主成分とした副資材 (パン粉,プロテイン,バター) の投入による発酵阻害実験を行った。炭水化物による発酵阻害ではTVFA (揮発性脂肪酸総量) が蓄積し,4,430mg/Lにおいてメタンガス発生量は25%減少した。たんぱく質による発酵阻害では,TVFAおよびアンモニア態窒素が蓄積し,それぞれ9,210mg/L,5,550mgNH4-N/Lにおいてメタンガス発生量は25%減少した。脂質による発酵阻害ではTVFAはほとんど蓄積しなかった。炭水化物およびたんぱく質の投入では発酵槽あたりメタンガス発生量およびTVFAを発酵阻害指標として利用可能と考えられるが,脂質の投入では,メタンガス発生量,TVFAのいずれも発酵阻害指標として有効ではなかった。
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