廃棄物資源循環学会論文誌
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20 巻, 6 号
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論文
  • 川端 弘俊, 秋田 壮一, 小野 英樹, 碓井 建夫
    2009 年 20 巻 6 号 p. 343-351
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル フリー
    本研究では,実験室規模の燃焼炉を用いて,1,073Kの温度において燃焼物として用いたポリ塩化ビニル (PVC) 粉末試薬の添加速度ならびに供給O2-N2ガス組成の混合割合を広範囲に変化させて燃焼実験を行い,0.1vol%O2から35vol%O2に及ぶ幅広い排ガス中の残存O2濃度とダイオキシン類生成濃度との関連性を調査した。
    残存O2濃度が3vol%付近で,排ガス中ダイオキシン類濃度は極大値を示し,O2濃度増加とともにダイオキシン類濃度が急激に減少するが,約10vol%以上ではダイオキシン類濃度の減少は非常に緩やかになる。一方,残存O2濃度が0.1vol%で,CO濃度が高い還元雰囲気においても,ダイオキシン類濃度は減少する。
    完全燃焼条件下では,高温域での燃焼ガスの滞留時間が短い場合,高塩素化度のPCDFs濃度が高くなるフィンガーパターンを示す。一方,滞留時間が長い場合,低塩素化度のPCDFs濃度が高くなる逆のフィンガーパターンとなる。また,不完全燃焼条件下におけるPCDFs濃度分布は,塩素化度に依存しないフラットなフィンガーパターンになる傾向がある。高温域における燃焼ガスの長い滞留時間は,ダイオキシン類のTotal濃度を減少させるが,低塩素化度の同族体濃度が増加することによりTEQ濃度が減少しない,あるいは増加する場合もある。
  • 小林 潤, 呉 畏, 川本 克也
    2009 年 20 巻 6 号 p. 352-360
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル フリー
    有機系廃棄物の熱分解ガス化改質プロセスにおいて,市販のカルシウム (Ca) ドープニッケル (Ni) 系改質触媒の耐久性評価を目的とし,ベンゼン,トルエンおよびキシレン (BTX) 各成分,および木質系建築廃材を適用した水蒸気改質実験を改質炉温度750℃にて行い,BTX各成分の分解挙動および生成ガス組成の経時変化等に基づく耐久性能評価を実施した。BTXの分解挙動については,ベンゼン,トルエン,キシレンの順に触媒耐久時間は長くなり,かつ分解率が増加することが明らかとなった。さらに改質触媒の前段に酸化カルシウム (CaO) を用いることで,BTXの分解率が全体的に向上することがわかった。廃木材の熱分解ガス化改質実験結果については,生成ガス中の水素濃度は概ね50~60%で一定となるが,実験開始後10時間を境にして水素生成量は若干減少し,低級炭化水素,芳香族炭化水素および硫化水素の濃度は徐々に増加することが明らかとなった。
  • 李 志霞, 林 宏飛, 山崎 仲道, 上高原 理暢, 井奥 洪二
    2009 年 20 巻 6 号 p. 361-370
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル フリー
    未利用スギ材の有効活用技術の開発を目指し,新規反応媒体である過熱水蒸気を用いて,100~200℃の飽和蒸気圧以下の圧力条件下で抽出温度,時間,水蒸気圧を変化させ,スギの葉から有機成分の抽出を行った。抽出温度100℃と比較し,170℃では約5倍の収率が得られた。また,水蒸気圧力が高く,抽出時間が長いほど収率は上昇した。抽出物については,温度および水蒸気圧が高いほど,分子量の大きい有機物質 (セスキテルペンおよびジテルペン) の抽出が促進された。さらに,ディスク拡散法を用いて18種類の土壌菌に対するスギ抽出物の生育抵抗性を調べた。温水および有機溶媒による抽出物と比べ,過熱水蒸気による抽出物は,カビおよび放線菌に対して優れた抗菌活性を示した。抽出物をGC-MSおよびGC-FIDで分析した結果,モノテルペンやセスキテルペン類が,これらの抗菌活性に関与していると考えられる。過熱水蒸気抽出は,抗菌活性成分の選択的抽出に有効であることがわかった。
  • 相澤 寛史, 平井 康宏, 酒井 伸一
    2009 年 20 巻 6 号 p. 371-382
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル フリー
    ビデオテープレコーダー,DVDビデオ,ビデオカメラ,デジタルカメラ,フラッシュメモリプレーヤー,HDDオーディオプレーヤー,ゲーム機器,携帯電話の8品目を対象に,日本における廃棄量および含有物質の潜在的な含有量の試算を行った。また,廃棄先・自治体におけるリサイクル実態について,アンケート調査を行った。廃棄量は年間約60,000tonと概算され,約0.4kg/(人・年) と,家電4品目6.7kg/(人・年) に比べては多くない結果であった。潜在的な資源量は金約4ton,パラジウム約3tonと資源密度が高かった。廃棄先は,携帯電話を除いては,自治体が50%以上を占める最大の排出先であった。約8割の自治体が,破砕処理後,リサイクルを行っている。その内訳は,鉄が約9割であり,レアメタルについてはほとんどリサイクルされていない。さらに,隠れたフローやe-wasteを含めた小型電気電子機器のリサイクル推進に向けた政策的な視点を整理した。
  • 高倉 晃人, 渡辺 信久
    2009 年 20 巻 6 号 p. 383-393
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル フリー
    一般廃棄物焼却施設排ガス中の有機ハロゲンの簡易な測定法とその運転管理への活用について述べた。2001~2005年度に11のストーカ式焼却施設において10~40Lの排ガスを吸着捕集した後,バリヤー放電ラジオ波ヘリウムプラズマ原子発光法により有機ハロゲンを測定した。低揮発性有機塩素と塩素化ダイオキシン類実測濃度の相関を調べた結果,メモリー効果によると考えられる影響のため,測定年度により相関式に違いが見られた。また塩素化ダイオキシン類TEQについては,数種の異性体に毒性の大小により重み付けがなされており,塩素量の換算に偏りがあるため,低揮発性有機塩素との相関は弱くなった。しかしながら,本測定法により有機ハロゲンの排出状況,排ガス処理装置の稼動状況,de novo合成の経日的な進行状況を簡易に把握することができ,施設での運転管理にとって有効であることがわかった。
  • 中島 亨, 東城 清秀, 斎藤 広隆, 加藤 誠
    2009 年 20 巻 6 号 p. 394-400
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル フリー
    土壌脱臭施設の土壌脱臭槽の設計・開発では,土壌中のガス移流を支配する土壌透気係数の測定技術が必要である。本研究では,現場に対応できる透気係数を高精度に測定するため,新たな方式の透気実験装置を試作し,3種類の砂質系土壌で透気実験を行った。提案した透気実験装置は,土壌脱臭槽での利用を考え,中規模のスケールの供試体で実験を行える。また,側面流を防ぐ目的でスリーブラバーにより供試体側面をシーリングし,同時に体積変化を測定することができるという特徴を有している。同様の試料を用いた神谷ら (2006) の透気実験結果と比較すると,本研究で求められた透気係数の値は若干小さくなる傾向を示した。本研究で提案した透気実験装置は,中規模スケールの供試体を対象とする様々な分野での利用が可能である。
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