廃棄物資源循環学会論文誌
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21 巻, 1 号
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論文
  • 谷川 昇, 古市 徹, 石井 一英, 岩崎 謙二
    2010 年 21 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/24
    ジャーナル フリー
    不法投棄物や最終処分場の埋立廃棄物の掘削現場において,ハンディタイプオープンパス型メタン自動計測器によって連続計測したppmレベルの大気中メタン濃度を指標とする作業環境の有害ガス簡便モニタリング手法を提案し,掘削現場への適用可能性を検討した。
    不法投棄現場や最終処分場から発生するガス中の有害ガスはメタンと共存すること,有害ガスとして注目されるのは硫化水素である場合が多いこと,硫化水素のメタンに対する濃度比の最大値は10−1程度であることを示し,大気中メタン濃度が発生ガス中の有害ガスの潜在的な危険性を安全側で評価する指標になることを明らかにした。
    また,掘削現場での影響が懸念される硫化水素等の有害ガスの許容濃度,有害ガスのメタンに対する濃度比の最大値および安全率を考慮して設定したメタン濃度の管理値を計測値と比較する提案手法が,掘削現場の安全管理のためのモニタリングに適用できることを示した。
  • 中村 明靖, 帆秋 利洋, 谷川 大輔, 片平 智仁, 山口 隆司, 井町 寛之, 大橋 晶良, 原田 秀樹
    2010 年 21 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/24
    ジャーナル フリー
    中温無加水メタン発酵槽内におけるアンモニア蓄積回避の手段として,原料にシュレッダー紙を混ぜC/N比の調整を行った。発酵槽内の菌叢についてクローンライブラリー構築およびReal-Time PCRによる遺伝子定量を行った。生ごみのみを原料とした時はアンモニアが蓄積し,処理性能が低下した。この時,アンモニア生成菌であるFinegoldia magnaに近縁なクローンが,Bacteriaに対して45%の存在率で最も優占していた。一方,生ごみにシュレッダー紙を投入しC/N比の調整を行ったところ,アンモニア蓄積による発酵阻害は回避されたが,F. magnaに近縁なクローンは減少し,これに対してセルビオース等の資化能を有するStreptococcus alactolyticusに近縁なクローンが優占化した。Archaeaについては,水素資化性メタン生成古細菌に近縁なクローンが全期間を通じて優占していたが,シュレッダー紙投入後,Archaeaの存在量は2オーダー減少した。特に酢酸資化性メタン生成古細菌であるMethanosarcina属の存在量の減少が顕著であった。これに対応して,シュレッダー紙投入後プロピオン酸蓄積が起こり,処理性能が悪化した。このシュレッダー紙投入によりプロピオン酸が蓄積する現象は,バッチ試験でも確認された。
  • 長田 文夫, 永井 和代
    2009 年 21 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/02/24
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニル59.2%,フタル酸ジオクチル (以下DOPと略する) 29.7%,その他安定剤約12%から構成される軟質ポリ塩化ビニル (以下軟質PVCと略する) と,硬質ポリ塩化ビニルレジン (以下硬質PVCと略する) を,NaOH溶液濃度2~16mol/L,マイクロ波加熱により,反応温度100~200℃,反応時間0~1時間で処理し脱塩化水素挙動を調べた。この時,梱包時に使用される緩衝材のポリウレタンを0~0.2gそれぞれ添加した。反応温度190℃,2mol/L NaOH溶液,ポリウレタン0.02g添加,反応時間30分にて塩化物は98%除去でき,残渣は炭素と水素の化合物に転換されていることがわかった。反応後のNaOH溶液中から有機系アミンが検出され,ポリウレタンの加水分解由来のものと推察された。アミンにより脱塩化水素反応が促進されたと推測されるため,反応温度190℃,2mol/L NaOH溶液,反応時間30分にて,水和ヒドラジン,アンモニア水,トリメチルアミン,2-アミノエタノールを同様の条件で添加し脱塩化水素挙動を調べたところ,塩化物はそれぞれ最大99.6%,94.6%,96.3%,92.9%除去できることがわかった。アミンが共存することで,既知の方法よりNaOH水溶液の濃度は1/8の2mol/L NaOH溶液で行え,反応温度を下げることができ,脱塩化水素に有効であることがわかった。
  • 松藤 敏彦, 大原 佳祐
    2009 年 21 巻 1 号 p. 30-43
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/02/24
    ジャーナル フリー
    一般廃棄物最終処分コストを,全国123施設に対するアンケート調査に基づいて分析した。調査対象は立地,規模,水処理方法,被覆の有無などの条件に偏りのないよう抽出し,調査票は費目別の詳細を尋ねるものとした。
    イニシャルコスト,ランニングコストともに,埋立容量,水処理量,年間埋立量などに対してスケールメリットがあり,おおよそ規模の0.5~0.6乗に比例する。イニシャルコストの中では,用地取得費が大きな割合を占める場合がある。ランニングコストのうち,唯一モニタリング費は測定数が一定であり,規模に依存しない。各費用項目をすべてモデル化することで,費目間の相対的な比較が可能となった。最後に埋立コストをさまざまな条件の下で計算し,費目別の割合,および条件の違いがどのように影響するかを示した。
研究ノート
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