廃棄物資源循環学会論文誌
Online ISSN : 1883-5899
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21 巻, 3 号
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論文
  • 阿部 眞, 日高 平, 津野 洋
    2010 年 21 巻 3 号 p. 107-114
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    本研究では,小型発酵槽で豚糞を処理し,エネルギー源であるメタンガスを生産するために,26℃以下の条件での無加温低温メタン発酵の開発をガス圧の差による撹拌を実現する無動力撹拌方式のリアクターを用いて試みた。ミニブタの豚糞を基質として,1日1回給餌方式で連続実験を行った。安定なメタン発酵の状態である時には,pHは7程度に維持された。有機物負荷率0.1~0.2kgCODcr/(m・d) 程度および26℃の条件下で,CODベースのメタン転換率60%程度,VSあたりのメタンガス発生量0.3~0.4L/gVS程度が得られた。10℃でのガス発生量は,25℃でのガス発生量の約40%となった。これらの結果より,メタン発酵が安定して実現でき,実験期間中過度の固形性成分の蓄積もなく,無動力撹拌低温により運転エネルギー削減が可能であることが示された。
  • 三田村 文寛, 五十嵐 豊, 米村 豊志, 荒井 克彦, 田上 秀一, 町原 秀夫
    2010 年 21 巻 3 号 p. 115-125
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    電線被覆などに使用された架橋ポリエチレンの廃材を熱分解することにより,再生パラフィンが得られる。再生パラフィンを道路舗装に使用するアスファルトに添加することにより,舗装表面のわだち掘れ (車両走行の繰返し荷重による道路の凹み) 軽減などの大きな改良効果がある。材料となる架橋ポリエチレンの種類や再生方法によって再生パラフィンの物性が異なるため,再生パラフィンを添加したアスファルト (改質アスファルト) の物性もその影響を受けるので,再生パラフィンの品質管理が重要になる。わだち掘れ対策の改質アスファルト混合物 (アスファルトと骨材を混合した舗装材料) は耐流動性が要求され,耐流動性は動的安定度試験で評価される。動的安定度試験は多大の時間と費用を要するので,改質剤としての再生パラフィンの広範な普及には,再生パラフィンの品質を評価するための,改質アスファルト混合物の耐流動性への影響を評価する簡便な評価指標が必要である。
    本論文では,種々の試験項目と動的安定度との相関を多数の実験で検討し,計測が容易で信頼性の高い耐流動性の評価指標を得ることを試みた。その結果,改質アスファルトの針入度と軟化点を評価することで,材料の架橋ポリエチレンの種類が既知の場合に,再生パラフィンの品質管理が可能であることを示した。再生パラフィンの材料が未知の場合には,上述の品質管理方法を適用できないので,再生パラフィンの圧裂強度と粘度の2つの物性と,改質アスファルト混合物の動的安定度の関係を示し,未知の材料から製造される再生パラフィンの圧裂強度と粘度を求めることで,改質アスファルトに使用可能な材料かどうかを判定する方法を示した。
  • 廣瀬 孝, 市川 友博, 岩崎 洋一, 小笠原 大二, 斎藤 一志, 對馬 弘海, 柴田 勝司
    2010 年 21 巻 3 号 p. 126-133
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    本研究は,リサイクル技術の開発が急務な廃棄物である廃FRPから常圧溶解法を用いてリサイクルガラス繊維を得,それを素材としたリサイクルガラス不織布の基本的特性評価を目的として行った。具体的内容として,1)廃FRPより分離・回収して素材化したリサイクルガラス繊維の物性評価,2)素材化したリサイクルガラス繊維を原料としたリサイクルガラス不織布の物性評価を行った。その結果,素材化したリサイクルガラス繊維は,長さ25mmで綿状の外観を示し,約92%の純度を有していることを確認した。作製したリサイクルガラス不織布は,一般的なガラスマットよりも厚みのばらつきは少なかった。またリサイクルガラス不織布を用いたFRPは,既存のFRPと比較して,繊維体積含有率が数%低く,引張強度が約70%であった。
  • 香村 一夫, 石渡 真己, 木方 展治, 栗原 正憲
    2010 年 21 巻 3 号 p. 134-142
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    周辺環境のモニタリングデータや埋立内容の資料が少ない最終処分場において,処分場近傍にあるため池の底質コアを用いて,周辺環境汚染の時系列的変化を検討した。対象としたサイトは房総半島東部にある沖積谷底平野谷頭部を埋め立てた最終処分場およびその周辺である。処分場から約100m下流に農業用ため池が存在する。このため池底質に含まれる重金属およびCs-137の濃度トレンドから周辺環境の変遷を検討するとともに,廃棄物埋立層からの重金属類流出履歴を推定した。また,比較対照データとして,廃棄物埋立層・その周辺の表層土壌・最終処分場の影響のないため池の底質と表層土壌における重金属含有量を測定するとともに,湧水やため池の水質等も分析した。その結果,ため池底質は,廃棄物埋立層や周辺環境の変化を時系列的に解明することに対して有効なデータを提供可能であることが判明した。
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