電線被覆などに使用された架橋ポリエチレンの廃材を熱分解することにより,再生パラフィンが得られる。再生パラフィンを道路舗装に使用するアスファルトに添加することにより,舗装表面のわだち掘れ (車両走行の繰返し荷重による道路の凹み) 軽減などの大きな改良効果がある。材料となる架橋ポリエチレンの種類や再生方法によって再生パラフィンの物性が異なるため,再生パラフィンを添加したアスファルト (改質アスファルト) の物性もその影響を受けるので,再生パラフィンの品質管理が重要になる。わだち掘れ対策の改質アスファルト混合物 (アスファルトと骨材を混合した舗装材料) は耐流動性が要求され,耐流動性は動的安定度試験で評価される。動的安定度試験は多大の時間と費用を要するので,改質剤としての再生パラフィンの広範な普及には,再生パラフィンの品質を評価するための,改質アスファルト混合物の耐流動性への影響を評価する簡便な評価指標が必要である。
本論文では,種々の試験項目と動的安定度との相関を多数の実験で検討し,計測が容易で信頼性の高い耐流動性の評価指標を得ることを試みた。その結果,改質アスファルトの針入度と軟化点を評価することで,材料の架橋ポリエチレンの種類が既知の場合に,再生パラフィンの品質管理が可能であることを示した。再生パラフィンの材料が未知の場合には,上述の品質管理方法を適用できないので,再生パラフィンの圧裂強度と粘度の2つの物性と,改質アスファルト混合物の動的安定度の関係を示し,未知の材料から製造される再生パラフィンの圧裂強度と粘度を求めることで,改質アスファルトに使用可能な材料かどうかを判定する方法を示した。
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