乾燥下水汚泥の燃焼域における窒素酸化物,特にN
2Oの生成・消滅特性について,その機構を明らかにすることを目的とし,窒素雰囲気下で熱分解実験および空気比1.2での燃焼実験をそれぞれ行った。乾燥汚泥粒子が電気炉内に供給されると,瞬時に粒子温度が上昇し膨潤して,バルーン構造のチャー粒子になることを観察した。これは,汚泥中可燃分の約7割が揮発分であることと高温で溶融しやすい炭素質であることによるものと考察している。N
2Oは火炎帯内で生成し,その後,NOが生成した。これはN
2Oが生成した後に生じるCOの酸化反応で生成するHラジカルによる分解やNOへの酸化が生じたことによる。汚泥中N分のN
2Oへの転換率は炉壁温度の上昇とともに低下したが,NOへの転換率は上昇した。また,汚泥はN
2Oが生成しやすいHCNを熱分解時に高濃度で生成するので,これが石炭から生成するN
2Oよりも高くなっている理由であると考察する。
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