廃棄物資源循環学会論文誌
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21 巻, 6 号
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論文
  • 成瀬 一郎, 平林 美和, 義家 亮, 植木 保昭
    2010 年 21 巻 6 号 p. 193-201
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    乾燥下水汚泥の燃焼域における窒素酸化物,特にN2Oの生成・消滅特性について,その機構を明らかにすることを目的とし,窒素雰囲気下で熱分解実験および空気比1.2での燃焼実験をそれぞれ行った。乾燥汚泥粒子が電気炉内に供給されると,瞬時に粒子温度が上昇し膨潤して,バルーン構造のチャー粒子になることを観察した。これは,汚泥中可燃分の約7割が揮発分であることと高温で溶融しやすい炭素質であることによるものと考察している。N2Oは火炎帯内で生成し,その後,NOが生成した。これはN2Oが生成した後に生じるCOの酸化反応で生成するHラジカルによる分解やNOへの酸化が生じたことによる。汚泥中N分のN2Oへの転換率は炉壁温度の上昇とともに低下したが,NOへの転換率は上昇した。また,汚泥はN2Oが生成しやすいHCNを熱分解時に高濃度で生成するので,これが石炭から生成するN2Oよりも高くなっている理由であると考察する。
  • 橘 隆一, 岡本 正勝, 仲井 茂夫, 藤江 幸一, 大門 裕之
    2010 年 21 巻 6 号 p. 202-209
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    鋳物製造工程から排出される使用済み鋳物砂について,高温高圧水による再生および砂表面の改質効果を検討した。炭素が1.2wt%,窒素が0.065wt%付着している使用済み鋳物砂を,水の臨界点以下である300℃,8.6MPaで,反応時間を60分,液固比を20として反応させたところ,炭素を30wt%,窒素を64wt%除去することができた。さらに,添加剤として過酸化水素を添加することにより,砂表面の炭素は65wt%,窒素は完全に除去することができた。一方,超臨界状態である450℃,40MPaでの反応では,添加剤を加えなかった場合,300℃,8.6MPaの場合に比べ,炭素と窒素の除去率に差は認められなかった。しかし,添加剤を加えた場合には,炭素を88wt%まで除去することができた。また,新砂を超臨界水で反応させたところ,砂表面の酸性度が約二倍に上昇したが,酸化剤の添加によるさらなる酸性度の上昇は認められなかった。
  • 天野 耕治, 金森 悟, 下条 幹雄, 伊藤 鉱一
    2010 年 21 巻 6 号 p. 210-218
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    PCBは有害物質であり,国内では2016年までの処理が法律で義務づけられている。本研究では,マイクロ波と触媒の組合せによるPCB無害化処理の反応速度を,低濃度PCB,高濃度PCB2つのケースについて分解速度定数を求めることで定式化することを目的とした。マイクロ波照射下での触媒によるPCB分解速度は,PCB濃度の一次に比例するとし,低濃度,高濃度それぞれのPCB分解速度定数を求めた。パイロットおよびラボ規模で反応器の大きさが異なっていても,実験条件に対して計算されるPCB分解量と,それぞれの場合の実測値との一致は比較的良好であった。これにより,分解処理されるPCBの量に見合った適切な反応器の設計と運転条件の決定が可能となった。
  • 馬場 保徳, 田邊 俊朗, 渡邊 崇人, 本田 与一, 渡辺 隆司
    2010 年 21 巻 6 号 p. 219-225
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    難分解性の針葉樹にも対応できる低環境負荷酵素糖化前処理法の開発を目指し,スギ材に対して,リグニンを高選択的に分解する白色腐朽菌処理と,乳酸,酢酸などの有機酸とエタノール,グリセロール,プロピレングリコールなどの溶媒系の組み合わせからなるマイクロ波ソルボリシス複合処理を試みた。白色腐朽菌Phellinus sp. SKM2102は,エタノリシス後酵素糖化によって得られる還元糖の収率を最大で5倍以上増加させた。バイオマスからの生産が可能な安全性が高い有機酸,アルコールの組み合わせでは,エタノールと乳酸を組み合わせたソルボリシスが最も高い酵素糖化前処理効果を示した。
  • 岡野 多門, 安本 幹, 安東 重樹
    2010 年 21 巻 6 号 p. 226-235
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    海洋浮遊ごみの多くが陸上から流出しているといわれるがそれを分析的に証明した例はない。ここでは台風が多く襲来した2004年と台風の影響がなかった2008年の鳥取県の海浜ごみを比較し,河川から流出したごみの海浜への影響を検討した。2004年5月から12月までの海浜ごみ数は2008年の約1.7倍であるが,これらの台風は中国・台湾由来物を減らし,由来地域不明物と日本由来物を増加させた。8~9月期の台風の降雨は少なかったが,河川から多くの飲料容器が流出し,河口近傍の海浜に漂着した。河口遠方では砂中に埋没していた小型高比重ごみが高波によって洗い出された。10~11月期の台風は豪雨を伴ったが海浜ごみの総数は8~9月期と同程度であり,河川由来ごみは河口からの流出水によって遠方の海岸まで達した。夏期の少雨台風に比べて秋台風では農薬容器や界面活性剤容器が多く,飲料容器とこれらの放置場所に偏りのあることがわかる。
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