製鉄圧延工程で発生する含油スラッジからの酸化鉄回収法として,超臨界水を利用した手法の検討を行った。超臨界水酸化条件においては,処理により付着有機物が95%以上除去され,有機物はCO
2まで完全に酸化分解することが可能となった。この時,酸化鉄は有機物の酸化分解を触媒していることが示唆された。酸素が存在しない条件では,有機物の一部が溶解除去された。鉄の酸化状態は処理によって変化し,有機物の完全酸化量論量以上の酸素を用いるとFe
2O
3へと酸化される一方,量論量未満の酸素を用いた場合は,有機物の部分酸化反応によって還元性物質が生じ,Fe
2O
3がFe
3O
4へと還元され得ることが明らかになった。これらの結果は,超臨界水中においては,スラッジの酸化鉄と有機物が相互作用することで,処理の効率や酸化鉄の回収形態が変化することを示しており,有機無機混合廃棄物からの新たな無機物回収手法として期待が持たれる。
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