これまでの医療廃棄物管理は,人間由来の廃棄物が中心であり,動物への診療行為により発生する動物由来医療廃棄物に限定した管理ガイドラインはない。近年,鳥インフルエンザ等の家畜伝染病による,動物由来医療廃棄物の適切な管理が課題となっているため,適切なガイドラインの作成等が期待されるが,同医療廃棄物量の実態は把握されていない。そこで本研究では,動物由来医療廃棄物の発生量についての現状把握および将来予測を行った。また,産業動物由来医療廃棄物に関しては,家畜保健衛生所から発生する医療廃棄物量および鳥インフルエンザ防疫措置により発生する医療廃棄物量を推計した。その結果,愛玩動物由来医療廃棄物は,2010年で約7.7×10
5kg,産業用動物由来医療廃棄物は,約1.3×10
5kg発生していることが明らかになった。また,鳥インフルエンザの発生時の廃棄物量は,その発生地域が局所的であるにもかかわらず,通常時に全国で発生する動物由来医療廃棄物量の1.5倍にも上ると予測された。
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