廃棄物資源循環学会論文誌
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23 巻, 2 号
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論文
  • 桐山 久, 峠 和男, 竹崎 聡, 西田 憲司, 佐藤 健
    2012 年 23 巻 2 号 p. 67-76
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    難透水層に浸透した汚染物質に対する原位置浄化は,透水性・透気性が小さいことなどから従来困難とされていた。そこで筆者らは,ベンゼンに汚染された難透水層を対象として,通水洗浄と高圧空気間欠注入を組み合わせた浄化工法を提案し,浄化要素別に基礎的研究を行うことにより,浄化工法の難透水性土壌への適用性を調査した。室内試験の結果,高圧空気間欠注入は難透水層への空気注入が可能な方法であった。また,土壌から水へベンゼンを移行させることを目的とした本技術について,その除去評価を溶出試験により行った結果,土壌からのベンゼン溶出が促進され,試験開始後4週間後には溶出量は50.5倍まで増加し,通水による汚染物質の除去可能率が1.6%から80.8%まで上昇することが判明した。さらに,栄養塩の添加により微生物数は約680倍まで増加し,それに伴う汚染物質の分解が促進されることなど,浄化要素ごとの適用性を確認できた。そのため,提案した浄化工法は,難透水性土壌への適用性があると考えられる。
  • 水原 詞治, 占部 武生, 山口 明良, 前田 朋之
    2012 年 23 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    廃棄物溶融炉で用いられるクロム系耐火物は優れた耐食性を示す一方で,スラグとの反応によりCr(VI)化合物を生成する懸念がある。本研究では,溶融炉で生成された溶融スラグの安全性,使用後のクロム系耐火物の潜在的な危険性について,特にCr(VI)に焦点をあてて調査した。その結果,クロム系耐火物の使用の有無によらず,スラグ中のCr(VI)化合物の生成・溶出は土壌環境基準値を大きく下回り,有効利用に関して問題になりにくいレベルであった。しかし,クロム系耐火物中のCr(VI)含有量,Cr(VI)の溶出濃度はいずれも高く,扱いには注意が必要であると思われる。特に溶出濃度は,環境庁告示第13号の判定基準を大幅に超えた。
  • 池松 達人, 平井 康宏, 酒井 伸一
    2012 年 23 巻 2 号 p. 85-99
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    本稿では,自治体固有の影響や年度固有の影響を考慮したパネルデータ分析 (2001-2007) により,産業廃棄物税 (以下,産廃税) による全産業廃棄物および品目別 (廃プラスチック類,汚泥,がれき類) の課税効果を推定した。特に,産廃税制度設計要因として徴税方法別の課税効果や焼却施設への課税効果について検証した。
    この結果,特別徴収方式の産廃税導入により,全産業廃棄物,汚泥,がれき類に対する最終処分量の削減効果,ならびに全産業廃棄物,廃プラスチック類,汚泥に対する中間処理量の増加作用が推定された。また,埋立処分と焼却に対して課税した場合,埋立処分のみに課税した場合に比べて,廃プラスチック類で4割,汚泥で3割の中間処理量の削減効果があるが,がれき類ではその効果は表れないことが確認された。品目別で課税効果に差が見られ,廃棄物処理フローへの影響がそれぞれ異なることが確認された。
  • 西山 渉, 尾原 佳純, 後藤 尚弘
    2012 年 23 巻 2 号 p. 100-108
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    これまでの医療廃棄物管理は,人間由来の廃棄物が中心であり,動物への診療行為により発生する動物由来医療廃棄物に限定した管理ガイドラインはない。近年,鳥インフルエンザ等の家畜伝染病による,動物由来医療廃棄物の適切な管理が課題となっているため,適切なガイドラインの作成等が期待されるが,同医療廃棄物量の実態は把握されていない。そこで本研究では,動物由来医療廃棄物の発生量についての現状把握および将来予測を行った。また,産業動物由来医療廃棄物に関しては,家畜保健衛生所から発生する医療廃棄物量および鳥インフルエンザ防疫措置により発生する医療廃棄物量を推計した。その結果,愛玩動物由来医療廃棄物は,2010年で約7.7×105kg,産業用動物由来医療廃棄物は,約1.3×105kg発生していることが明らかになった。また,鳥インフルエンザの発生時の廃棄物量は,その発生地域が局所的であるにもかかわらず,通常時に全国で発生する動物由来医療廃棄物量の1.5倍にも上ると予測された。
  • 真次 寛, 平田 修, 田中 綾子, 松藤 康司
    2012 年 23 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    最終処分場を適切に計画する上で,浸出水の水量予測は浸出水処理施設計画にとって必須であるが,生ごみの直接埋立が主体である開発途上国では,準好気性埋立構造における生ごみ生物分解過程から生成する水分量は,降水量に比較して無視できないと考えられる。そこで本研究では,生ごみを充填して行った準好気性埋立構造の大型埋立実験槽の物質収支を考慮して,埋立廃棄物層内の主要な物質転換である有機物生物分解過程に関する既往の知見に基づき,化学量論的に関連する物質量の推定法を考案し,この推定法に基づいて実験データを解析した。その結果,生ごみ生物分解過程から生成する水分量は,埋立当初1年目は降水量に対して約6~8%であったが,年間降水量が1,000mm以下の地域においては年間降水量の10%を超えることなどから,生ごみ生物分解生成水量は,埋立条件によっては,埋立初期において降水量と比較して無視できないことを明らかにした。
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