高塩分濃度で高pHの石鹸工場廃液をUASB(Upflow Anaerobic Sludge Bed)で処理し,廃液中の有機物を分解するとともにバイオガスを回収するプロセスの検討を行った。回分式実験により,酸発酵およびメタン発酵に影響を及ぼすNa
+濃度について検討し,酸発酵ではNa
+濃度14g/L以上で影響が現れ,メタン発酵ではNa
+濃度3.8g/L以上で影響が現れるが,馴養により4.2g-Na
+/Lまではメタン発酵処理が可能であることを確認した。また,石鹸工場廃液を酸発酵後UASB処理を行う連続実験を行い,Na
+濃度11g/L以下であればCOD
Cr分解率90%以上を達成できるが,Na
+濃度の上昇に連れてCOD
Cr分解率90%を達成するためのCOD容積負荷率 (VL90) が低下することが明らかとなった。VL90を10kg/(m
3 · d)とするためのNa
+濃度は10g/L以下であった。高塩分濃度下でのVL90は馴養により向上させられる可能性がある。
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