廃棄物資源循環学会論文誌
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23 巻, 3 号
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論文
  • 大隅 省二郎, 中山 勝利, 坪田 潤, 津野 洋
    2012 年 23 巻 3 号 p. 117-124
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/30
    [早期公開] 公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    高塩分濃度で高pHの石鹸工場廃液をUASB(Upflow Anaerobic Sludge Bed)で処理し,廃液中の有機物を分解するとともにバイオガスを回収するプロセスの検討を行った。回分式実験により,酸発酵およびメタン発酵に影響を及ぼすNa+濃度について検討し,酸発酵ではNa+濃度14g/L以上で影響が現れ,メタン発酵ではNa+濃度3.8g/L以上で影響が現れるが,馴養により4.2g-Na+/Lまではメタン発酵処理が可能であることを確認した。また,石鹸工場廃液を酸発酵後UASB処理を行う連続実験を行い,Na+濃度11g/L以下であればCODCr分解率90%以上を達成できるが,Na+濃度の上昇に連れてCODCr分解率90%を達成するためのCOD容積負荷率 (VL90) が低下することが明らかとなった。VL90を10kg/(m3 · d)とするためのNa+濃度は10g/L以下であった。高塩分濃度下でのVL90は馴養により向上させられる可能性がある。
  • ――迷惑施設の立地に関する考察――
    溝入 茂
    2012 年 23 巻 3 号 p. 125-137
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/30
    [早期公開] 公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    関東大震災による東京の人口移動により,東京市 (当時) の周辺町ではごみ・し尿処理が大きな課題になり,各町は競ってごみ処理体制の充実を図った。その中で1925年から26年にかけて起きたのが東京府目黒町と渋谷町の間のごみ戦争である。渋谷町が町のごみ焼却場を隣の目黒町に設置する計画を実行に移したため,目黒町の住民が反発し,遂には警察による逮捕騒ぎまで起きた。最終的には両町の間で妥協が成立し,渋谷町ごみ焼却場は目黒町に設置されたが,操業後もばい煙問題は解決できず,1932年の東京市との合併にあわせ廃止された。この経過を新たに見つかった資料を加えながら論じるとともに,迷惑施設の設置に関して考察した。
  • 真壁 浩二, 刈込 道徳, 木村 隆夫
    2012 年 23 巻 3 号 p. 138-143
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/30
    [早期公開] 公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究では,工業現場や一般生活で発生する発泡ポリウレタン廃材を,ベンジルアミンを用いてアミン分解し,それにより得られるアミン分解物が熱可塑性の性質を持つという点を利用し,ホットメルト接着剤として再利用しようと考えた。アミン分解物にホットメルト接着剤として適性を持たせるため,改質剤として1,2-ビス (2-アミノエトキシ) エタン,3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物および粘着付与剤を加えた。これらの改質剤を加えることで,アミン分解物の軟化温度を高め,また被着体への接着力を高めることができた。得られたサンプルの貯蔵弾性率を測定し,硬度の温度依存を評価したところ,改質剤を加えたことで室温での軟化が抑えられ,さらに引張り試験の結果においても,市販の汎用ホットメルト接着剤を上回る接着力を付与することができた。このことから,ホットメルト接着剤として利用可能な調製物が得られたといえる。
  • 正本 博士, 松清 敦史, 重松 幹二, 松藤 康司, 柳瀬 龍二
    2012 年 23 巻 3 号 p. 144-153
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/30
    [早期公開] 公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    最終処分場から発生する硫化水素は廃石膏ボード由来が主要因と考えられ,廃石膏ボードの埋立処分は埋立地の環境保全上,大きな問題となっている。このため,埋立地から発生する硫化水素の発生要因と抑制手法を,埋立廃棄物の組み合せや埋立構造等の観点から検討した。
    その結果,埋立処分された廃石膏ボードは,埋立地内が嫌気性雰囲気の中で,pHが中性領域であり有機物が存在する環境下では廃棄物層中で硫化水素が発生し,気相中へ放出された。
    しかし,焼却残渣と廃石膏ボードを混合埋立すると,埋立構造に関係なく硫化水素の気相への放出を抑制できることを確認した。さらに,埋立地への廃棄物の積み増しによる有機物の追加を想定し,硫化水素の再発生を検討した場合においても硫化水素の気相中への放出を抑制できた。
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