廃棄物資源循環学会論文誌
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23 巻, 4 号
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論文
  • 鈴木 和将, 大畠 誠, 川本 克也
    2012 年 23 巻 4 号 p. 157-171
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/22
    [早期公開] 公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    近年,ごみ焼却施設は,公衆衛生の向上,環境保全といった目的だけでなく,地球温暖化防止,資源・エネルギー消費の抑制等,低炭素・循環型社会に果たす役割が強く求められている。本研究は,ごみ焼却施設の低炭素・循環型社会への適合性を評価する手法の開発を目的として,15の焼却施設に対してLCA等の詳細調査を行い,評価指標の検討を行った。その結果,評価指標として,投入されるエネルギー量,CO2排出量,搬出残渣量等を抽出した。また,施設から外部へ供給する電気と熱という質の異なるエネルギーを同じ尺度で評価できる,外部へのエネルギー供給率を指標として提案した。さらに,これらの指標を用いて,発電効率の高い97焼却施設に適用評価し,ベストプラクティスである焼却施設の実態を把握するとともに,ベンチマーキングの基礎情報を得ることができた。また,これらの結果をわかりやすく示すことができるスコアリングおよび表示方法を提示した。
  • ――京都バイオサイクルプロジェクト――
    井藤 宗親, 原田 等, 林 一毅, 山崎 裕貴, 中村 一夫, 堀 寛明
    2012 年 23 巻 4 号 p. 172-180
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/22
    [早期公開] 公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    温室効果ガス排出削減の有効な手段としてバイオマスの活用技術が求められており,われわれは長期間運転により技術の信頼性や安定性を実証することを目的に廃材等の木質バイオマスを原料としたガス化メタノール合成技術の実証試験を行った。実証試験は1ヶ月の連続運転を含む延べ2,500時間の運転で,約5,000Lのメタノールを製造し,1ヶ月の連続運転では約40~50L/日のメタノールを安定して製造でき,設備の安定性・信頼性を確認できた。製造したメタノールは無色透明であり,混濁物等は見られず,その純度はほぼ95%で安定し,メタノール以外は主に水であった。メタノール合成反応は,同じH2/CO比でもCO濃度が高いほどCOからのメタノール転化率が増加し,COからのメタノール転化率を増加させるためには,H2の分圧が重要であることがわかった。
  • 長谷 隆仁, 河村 清史
    2012 年 23 巻 4 号 p. 181-191
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/22
    [早期公開] 公開日: 2012/09/11
    ジャーナル フリー
    近年,生ごみなどコンポスト資材となる有機性廃棄物は多様化しており,その品質評価の重要性が増している。腐熟度はコンポストの重要な品質の一つであるが,汎用的に適用できる単一の腐熟度指標や複数の腐熟度指標を適切に組み合わせて評価する標準的な方法は確立されていない。本研究では,単一指標の開発という従来のアプローチに代わり,複数の腐熟度指標の組み合わせやその統合指標を構成する手法について検討した。
    素材や腐熟度が様々に異なるコンポストについて,複数指標値を比較したところ,同一試料でも,不適切な評価が生じる場合があった。そこで,測定指標値に対して,指標統合化手法の一つである主成分分析を行った結果,統合指標として,第1主成分スコア,距離,その簡略指標などを提案・評価した。これらの統合指標では,複数指標の統合化により,単一指標による不適切な評価は緩和され,より汎用的な指標として利用できると考えられた。
  • 佐藤 佳奈美, 宮下 達也, 稲熊 隆博, 早田 保義, 池浦 博美
    2012 年 23 巻 4 号 p. 192-198
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/22
    [早期公開] 公開日: 2012/09/06
    ジャーナル フリー
    本研究ではトマト果実収穫後の茎葉残渣の燃料用ペレット化を目的として,原料含水率測定,燃焼試験,発熱量測定および排出ガス成分分析を行った。トマト茎葉残渣は含水率11%に調整すると,含水率8%のトマトペレットが成型可能であった。成型したトマトペレットの燃焼試験を行ったところ,単体燃焼時では灰が蓄積しペレットストーブの持続運転が困難となったが,木質ペレットにトマトペレットを20%混合して燃焼することで持続運転が可能となった。また,20%混合トマトペレットの低位発熱量は,木質ペレット単体の低位発熱量約17.1MJ/kgと同程度の値を示し,これらの結果から,トマトペレットは木質ペレットに20%混合すれば燃料として利用が可能であることが示唆された。
研究ノート
  • 稲積 真哉, 大津 宏康, 奥野 直紀
    2012 年 23 巻 4 号 p. 199-206
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/22
    [早期公開] 公開日: 2012/08/31
    ジャーナル フリー
    岩手県・宮城県・福島県において,東日本大震災で発生した災害廃棄物量は約2,200×104tonに上る。これは通常考えうる一般・産業廃棄物量を大きく超過しており,自県のみで処理を行うのは多大な時間,労力を要すると考えられる。そこで,環境省は災害廃棄物の広域処理を推進している。しかしながら,安全性の問題による住民の反対から,思うように処理が進んでいないのが現状である。本研究では津波堆積物に起因する環境影響に着目し,貨幣価値に換算することで廃棄物処理の環境影響度の定量化を行った。また,時間軸を評価方法に組み込むことで,処理方法を二面的にとらえた。本研究により,広域処理を行うことは処理スピードを大幅に向上させ,長期的な環境影響を考慮しても有効であることが確認された。また,災害廃棄物処理の初動においては広域処理を積極的に行い,被災地の処理インフラの整備状況を考慮しつつ,柔軟な処理を行うことが必要である。
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