廃棄物資源循環学会論文誌
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24 巻, 3 号
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論文
  • 長森 正尚, 磯部 友護, 渡辺 洋一
    2013 年 24 巻 3 号 p. 29-39
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/12
    [早期公開] 公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    産業廃棄物の不適正処理でできた廃棄物の山において,廃棄物の一部撤去,ならびに覆土や通気管の設置等の対策を実施し,その前後6年間の調査からメタンガス放出量の削減効果を概算した。地表面からのガスフラックス計測には静置式閉鎖型チャンバー法を用いたが,改善後に設置した通気管はその周辺の砕石部を含めて直径30cm以上となったため,既存の計測方法では対応できなかった。そこで,現地で大型のチャンバーを組み立て,レーザーメタン計を用いる簡便な計測手法を開発した。
    調査結果から,改善前後のメタンガス放出量は25~150L/minから3.8~9.5L/minにまで減少し,改善後の放出量の内訳は通気管周辺からが大部分であった。改善措置 (対策工) により,崩落の危険を回避できたことに加え,メタンガス放出量も削減でき,周辺への危険性や地球温暖化の寄与率を低下させる効果が得られた。ただし,改善後も内部にメタン等のガスが存在しており,当該地における堆積廃棄物の安定化は進行中である。
  • 杉山 涼子, 山田 秀
    2013 年 24 巻 3 号 p. 40-52
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/12
    [早期公開] 公開日: 2013/06/13
    ジャーナル フリー
    一般家庭から排出されるごみには,エアゾール缶やコンロ用カセットボンベなど,爆発性や引火性のある品目が含まれているため,収集時や処理時に全国で毎年多くの火災事故が発生しており,効果的な事故防止対策が求められている。本研究では,住民を対象とした質問紙調査を行い,2段階モデルに基づき住民のエアゾール缶等に関する分別行動と,それを規定する要因との解析を行った。住民の協力を得るためには,必要な情報を周知徹底すること,年齢別のPR啓発が必要であること,情報提供はうっかり対策にも効果的であることなどを明らかにした。環境問題への意識と行動に加え,安全行動面にも配慮してモデルを構築し,行動分析を行っており,エアゾール缶等による火災事故を防止し安全な収集作業を確立するための有効な知見が得られたと考えられる。
  • 貝掛 勝也, 関戸 知雄, 角森 道人, 土手 裕
    2013 年 24 巻 3 号 p. 53-62
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/12
    [早期公開] 公開日: 2013/06/13
    ジャーナル フリー
    都市ごみ焼却飛灰に含まれる鉛の不溶化のための無機系重金属不溶化剤として廃リン酸から合成したリン酸アルミニウム (WAP) が,鉛溶出抑制効果を有することを確認した。WAPには,鉛の溶出を抑制させるために必要なpH低下をもたらす効果を有し,次の3点を明らかにした。溶解したアルミニウム成分およびリン酸成分が飛灰中の消石灰や塩素と反応し,アパタイト化合物ならびにフリーデル氏塩を生成することで溶出液のpHを低下させた。溶解したリン酸アルミニウムのアルミニウム成分が水酸化物錯体を形成することでOHを消費し,溶出液のpHを低下させた。リン酸成分による中和効果により飛灰のpH低下も確認された。加えて,溶解したリン酸成分が難溶性のアパタイト化合物もしくはリン酸鉛を生成することで,さらに鉛を不溶化していると考えられた。また,低pHでの鉛溶出試験においても,高い鉛溶出抑制効果が見られた。
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