廃棄物資源循環学会論文誌
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24 巻, 5 号
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論文
  • 松本 祐太, 大島 義人
    2013 年 24 巻 5 号 p. 71-78
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/10
    [早期公開] 公開日: 2013/10/05
    ジャーナル フリー
    これまで主に有機物を対象として検討されてきた超臨界水酸化反応を用いた廃棄物処理を有機・無機混合廃棄物に適用すると,物性変化に伴う溶解特性の変化と迅速な酸化分解反応を利用することで有機物を選択的に分解除去し,固体として残存する無機物を回収する分離技術としての応用が期待できる。本研究では有機・無機混合廃棄物として使用済みX線フィルムに着目し,無機有価物として含まれる金属AgおよびAgBrの回収に関する実験的検討を行った。その結果,400℃,25MPaの条件において7minの処理でAgおよびAgBrと有機物は完全に分離され,30minの処理で有機物はCO2にまで酸化された。また,この反応によるAgおよびAgBrから酸化物の生成は確認されなかった。AgBrはテレフタル酸の分解を触媒し加速する一方,水中へ溶出することでAg化合物の回収率が低下する現象が確認された。
  • 真次 寛, 平田 修, 田中 綾子, 松藤 康司
    2013 年 24 巻 5 号 p. 79-87
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/10
    [早期公開] 公開日: 2013/09/20
    ジャーナル フリー
    生ごみの直接埋立が主体である開発途上国では,準好気性埋立構造における生ごみ由来の浸出水量は,埋立条件によっては,降水由来の浸出水量と比較して無視できないと考えられる。そこで本研究では,生ごみを充填して行った準好気性埋立構造の大型埋立実験槽の物質収支を考慮して,埋立廃棄物層内部の主要な物質変換である有機物生物分解過程に関する既往の知見に基づき,化学量論的に関連する物質量 (H2O等) の推定法を考案し,この推定法に基づいて実験データを再解析した。その結果,生ごみとともに運び込まれた水分に生ごみの生物分解に伴う生成水が加わった保有水が,埋立廃棄物層の沈下に伴って浸出水となる浸出水発生メカニズムを明らかにすることができた。また,降水由来の浸出水量と生ごみ由来の浸出水量は,一定の条件下においては,それぞれ独立して算出することが可能であることを明らかにすることができた。
  • 岡野 多門, 加藤 郁美
    2013 年 24 巻 5 号 p. 88-96
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/10
    [早期公開] 公開日: 2013/10/05
    ジャーナル フリー
    鳥取県の8海岸で漁業用フロートの漂着量を2005年から毎月7年間調査した。総数は35,512個で,それらをEPS製フロートと,長径15cmを基準としたEPS以外の素材の大型と,小型フロートに分けると,それぞれの漂着数は11.8, 7.2, 107.8個/(hm・y),重量は8.9, 9.5, 4.4kg/(hm・y) となった。合計漂着重量は22.8kg/(hm・y) で,これは1L以下のペットボトルの4.0kg/(hm・y) よりはるかに大きい。したがって環太平洋諸国で永続的な水産業を継続するために,漁業ごみの投棄や流出を防止する対策が早急に必要である。現状の由来地域別のフロートの年間平均漂着重量は,朝鮮半島由来が6.1kg/(hm・y),中国・台湾が2.6kg/(hm・y),日本が0.5kg/(hm・y),不明が13.3kg/(hm・y) で,この平年値から各地域で実施が期待される排出抑制策の実効性が評価できる。
  • 岡野 多門, 安本 幹
    2013 年 24 巻 5 号 p. 97-104
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/10
    [早期公開] 公開日: 2013/10/05
    ジャーナル フリー
    海岸に漂着する医療や衛生用品ごみは感染の危険だけでなく,見た人に強い嫌悪感を与える。その投棄実態を知るために,アジア地域の海流の下流に位置する鳥取県で毎月の漂着数を調べた。医療用瓶と注射器の年間平均漂着数は24.5個/(hm・y) で,中国由来が大半で,日本と朝鮮半島由来は少ない。しかし浣腸や痔薬容器,タンポンアプリケーターの大半は日本由来で,合計は2.5個/(hm・y) で,これは日本文字のあるライターの値と大きく相違しない。漂着数/消費数を漂着からみた投棄率とするなら,浣腸とタンポンの投棄率はペットボトルや栄養ドリンク瓶の投棄率と同程度である。これは屋内消費の医療衛生用品ごみが,あえて屋外に持ち出されて投棄されていることを示す。これは投棄者の責任であるが,在宅医療廃棄物と一般家庭の衛生用品ごみの収集体制の相違にも起因する。このように漂着量や投棄率は隠れた投棄の防止策を考える上で重要である。
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