日本看護研究学会雑誌
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11 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 木村 昭代
    1988 年 11 巻 3 号 p. 3_9-3_13
    発行日: 1988/07/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    1. 小学生1,210名,中学生1,545名の腋窩温を水銀体温計(テルモ社 CT-3HP)を用いて,午後3~6時に10分間測定した結果,平均36.6~36.8℃であった。肥っている者はやせている者より平均体温が低い傾向がみられた。
    2. 女子大生40名を対象に電子体温計と水銀体温計による腋窩温を比較した結果,電子体温計は水銀体温計の10分値と比べ0.03℃高く,15分値20分値と比べるとそれぞれ0.09℃,0.13℃低かった。電子体温計は日常使用するのに有用であると思われた。
    3. 女子学生298名の腋窩温測定方法についての調査では,正しい方法を把握している者はわずか5名(1.7%)であった。
  • 小山 幸代, 山田 泰子, 田中 千鶴子, 小玉 香津子, 土屋 尚義, 金井 和子
    1988 年 11 巻 3 号 p. 3_14-3_26
    発行日: 1988/07/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      特養ホームでは疾病治療よりも健康的な日常生活の支持がケアの中心であり,生活行動援助のかたちをとるそれは本来の看護である。今回,特養ホームで働く寮母297名,看護婦57名,生活指導員18名を対象に,老人個々の健康に資する生活行動の援助を実施するためホームのケアチームの中で看護婦は看護本来の機能をどのように果たしてるかを知る目的で生活行動援助の実態と担当意識について質問紙調査を行った。
      その結果,看護婦は呼吸・循環・体温の保持,治療処置の援助を頻度高く実施していること,看護婦に担当を求める意識は3者ともこの2側面に高いこと,看護婦にのみこれ以外に援助の判断,評価,専門的技術を要する援助に自らを担当とする意識は高いこと,寮母,生活指導員の援助頻度および担当意識の傾向,が明らかになり,看護の専門家としての看護婦の具体的働き方が導きだせた。
  • -洗う体位及び部位による違いについて-
    河瀬 比佐子, 萩沢 さつえ, 奥村 利恵, 久保 基子, 坂本 清美, 早崎 和也
    1988 年 11 巻 3 号 p. 3_27-3_33
    発行日: 1988/07/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      心負荷の少ないシャワー浴の方法を見い出すために健康男女15名を対象に,全身及び身体各部位(上肢,腹部,背部,殿・大腿,下腿,頭部)毎にシャワー浴を行い,酸素消費量,心拍数,血圧値の面から部位別の負荷と体位による違いについて検討した。
      その結果,全身シャワー浴では酸素消費量からみた安静時代謝に対する割合を示すmetabolic Equevalent(以下METSという)の値は立位,坐位とも2.0程度で,体位間に差はみられなかった。心拍数増加は坐位の方が少ない傾向にあった。身体各部位別では立位で下腿を洗った時がMETSの値が高く,心拍数も同様に増加率が大きく,浴後まで持続した。しかし,坐位で下腿を洗うと他の部位と同程度となり坐位・立位間に体位による差がみられた。血圧値はシャワー浴直後にはいずれの体位,部位でも約10mmHgの収縮期血圧の上昇がみられたが,5分後にはほぼ安静時に回復し,血圧の面から体位間,部位間の違いは明らかにできなかった。
  • 原谷 珠美, 山本 良子
    1988 年 11 巻 3 号 p. 3_34-3_40
    発行日: 1988/07/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      80名の人工透析患者を対象に,自己管理行動の要因を明らかにするために因子分析法を用いて研究した。対象者を管理良好群と不良群とに分け,保健信念モデルを基にした疾病の脅威に関する認知的要素および制限の利益と負担に関する感覚的要素について,Semantic Differential Methodによる18の質問項目を作成し,調査した。両群の項目の得点間に差は認められなかったが,因子分析では両群における抽出因子に明らかな違いが認められた。
      抽出された因子は良好群では3因子,不良群では5因子であった。その結果,良好群での第1因子は死に対する認識の強さと充足感の因子で,不良群の因子とは異なり,管理を良好に保つためには患者は死の意識を持つことが必要であることが明らかになった。また,両群ともに第2因子として制限に対する価値観の項目が抽出され,人工透析を継続するためには制限に価値を見いだすことが重要であることが示唆された。
  • -P-Fスタディによる検討-
    田中 千鶴子, 宮崎 和子, 相馬 朝江, 山田 泰子, 内海 滉
    1988 年 11 巻 3 号 p. 3_41-3_50
    発行日: 1988/07/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      看護学生の性格特性と看護婦志向の関連をP-Fスタディ(絵画欲求不満テスト)を使用し検討した。対象は,神奈川県立衛生短期大学衛生看護科看護コース学生141名。主に次の結果を得た。
    1. 看護婦を志望し入学しても在学中に看護婦志向が変化する者が少なくない。2年間の変化では,看護婦志向を強く示す者,看護婦不志向の者は減少し,意志のはっきりしない者の増加が認められた。
    2. P-Fスタディでは,日本成人女子に比較し,外罰反応(E%),障害優位型(O-D%)が高く,無罰反応(M%),自己防禦型(E-D%)が低かった。また集団一致度(GCR)も低い傾向にあった。
    3. 看護婦志向とP-Fスタディの関連において
     1) 調査時の志向がプラス群は,攻撃の方向においてNormal(N)の者が多いが,マイナス群は,Nは少なく,Eが高い傾向にある。反応の型では,志向プラス群のNは低く,O-Dが有意に高かった。在学中にこれらの傾向は強まった。入学時の志向マイナス群はGCR低値の者が有意に多かった。
     2) 看護婦不志向から志向が強まった群,および志向の変化のない群は,反応が外罰・内罰・無罰に偏重せず平均的で歪みが少ない。志向が負に転じた群は,外罰・内罰・無罰反応を強く示す者が多い傾向があった。
  • -P-Fスタディによる検討-
    田中 千鶴子, 相馬 朝江, 山田 泰子, 宮崎 和子, 内海 滉
    1988 年 11 巻 3 号 p. 3_51-3_56
    発行日: 1988/07/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      看護学生の看護婦志向と性格特性の関連について,第1報調査対象の2年次66名に新たに2年次76名を加え,絵画欲求不満テスト(P-Fスタディ)を用いて検討し,以下の結果を得た。
    1. 今回調査の76名は,看護婦志向において入学時の記憶に志向の不明確な者が多かった。2年間の変化では,志向プラス傾向の強い者,志向マイナス傾向の者は減少し,志向の不明確な者が増加した。これは第1報調査に類似した傾向であった。
    2. 2年次後期における看護婦志向プラス群は,P-FスタディにおいてM’反応に帰因するM%および,M+%が有意に高値を示した。志向マイナス群では,E’およびE反応に帰因するE%,およびE-%が有意に高く,各群の反応傾向の差異が認められた。
    3. P-Fスタディの反応転移分析において,看護婦志向プラス群は,前半のE系統およびN-Pが,後半I系統,M系統およびO-Dに流れる傾向があった。志向マイナス群では,特徴が薄い。志向がマイナスからプラスに転じた群では,前半のE系統およびN-Pが後半IおよびM系統に移り,志向プラス群の傾向に類似していた。
  • -施設居住老人心身の状態との栄養摂取量との実態調査から-
    大串 靖子
    1988 年 11 巻 3 号 p. 3_57-3_65
    発行日: 1988/07/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      施設居住の老人79名(平均年齢80.9歳)について,心身の一般状態の観察と3日間の栄養摂取量の調査を行った。老人は一般に病身で,心身の機能障害を合併しており,動作や運動が不自由な上に痴呆状態またはうつ状態である人が多かった。摂食機能の面では歯牙の欠損,嚥下困難などが特徴的であり,常習性便秘,食欲不振の人も多かった。エネルギー摂取量は約1300Kcalであり,加齢段階による摂取量の差はなく,男子は女子より多く摂取していた。所要量の充足率は100%の人もあるが人によっては50%ぐらいのこともあった。栄養素別の摂取量は,蛋白,脂質,ビタミンAなどは所要量の下限値を充足する程度であり,カルシウムや鉄は不足であり,さらに塩分および水分の摂取量も少なめであった。心身の障害が重複したり,生活機能に直接支障となる障害(右手の麻痺,全盲)は摂食機能を低下させ,摂取する食物の種類や形態を制限し,結果的にエネルギー摂取量を少なくしていた。食欲不振の理由は,運動動作の不自由さや消化機能の低下よりも精神機能の低下や加齢による気力の衰えなどが深刻な問題として示された。高齢者の食事への援助では摂食機能の低下に対応した食物の選択,食事の援助とともに,心身機能全般の向上により自立性を回復すること,中でもうつ状態や痴呆準備状態,気力の低下などを改善することがめざさなければならない。
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