本研究は,セルフメディケーションの実行の程度に関連する要因について検討することを目的とした。目的変数として,身体不調時の対応・服用方法へのコンプライアンスの程度・OTCあるいはRx服用時に効果が得られなかった場合の対応・複数OTCの同時服用経験を設定した。説明変数として,健康感・入院経験・HPB実行程度・薬イメージ因子を設定し,目的変数とのクロス表によるX
2Y検定を行った。対象は,静岡女子短大1年生120名である。
その結果は,以下の通りである。
1) 身体不調時の対応に関し,望ましいセルフメディケーションの実行の促進要因は,薬には副作用がある,薬は新しいというイメージであった。
2) 薬の用法・用量の遵守に関し,望ましいセルフメディケーションの実行の促進要因は健康への不安であった。
3) Rx無効時の対応に関し,望ましいセルフメディケーション実行の促進要因は健康への満足・HPBの高実行・薬には副作用がある・薬の服用は暗いというイメージであった。
4) 複数OTCの同時服用に関し,望ましいセルフメディケーション実行の促進要因は,薬の服用は日常的である・薬の服用は不幸であるというイメージであった。
これらのことから,セルフメディケーション実行の程度には,薬イメージがかなり関連していることが明らかとなった。特に,薬には有効な作用と同時に副作用もある,あるいは,薬の服用は歓迎すべき事態ではないというイメージを形成することが,望ましいセルフメディケーション育成の為には重要であると思われる。
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