日本看護研究学会雑誌
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13 巻, 4 号
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  • 白石 晴美, 大串 靖子
    1990 年 13 巻 4 号 p. 4_11-4_19
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      健康な青年男女90名について仰臥位2時間持続中の苦痛発現を観察し,訴えを聴取した。そのことと褥瘡好発部位の体圧および皮膚知覚(2点識別距離)を測定し,訴えの出現のしかたと関連づけて検討した。
    1. 訴えは比較的早期に出現し,30分までが多く,以後は出現の割合が少なくなる。
    2. 下肢や腰背部などの体圧の高い部位の訴えは多いが,体圧の高さと関係ない束縛感による訴えも多い。
    3. 訴えの内容は知覚異常(しびれ)が比較的早期に出現し,疼痛は比較的遅く現れる。しかしこれらの訴えはともに他の訴えよりかなり多い。
    4. 体圧の高い部位の2点識別距離はいずれも小さく,訴え数との負の相関関係が認められた。
      以上のことから,臥位持続時の体位変換時間の決定には,①早期の訴え出現を捉えることが必要である。②しびれ感程度の訴えに注意すること,体圧の高い部位は特に訴えに注意し,中でも踵部などは知覚が鋭敏であり,30分程度でも圧迫部位を変えることが必要で,部位によって変換の時間的相違を考慮することも必要である。苦痛の軽減からみた体位変換は圧迫による影響を少なくすることにもつながっており,訴えを詳細に捉えることが重要である。
  • -倫理的側面から-
    成田 伸, 小山 豊子, 石井 トク, 山内 京子
    1990 年 13 巻 4 号 p. 4_20-4_26
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      本研究の目的は看護研究の実態を倫理的側面から調査することであった。
      病院及び看護婦・助産婦養成施設の看護職者700名に対しアンケート調査を実施し,回収率は70.7%であった。この調査から次の事が明らかになった。
      1) 本調査の対象者の96.1%に研究の経験があり,共同研究が盛んだ行われていた。
      2) 研究方法は事例,調査研究がほとんどで研究の対象者は,入院患者が多く,成人・老人で意識のはっきり強いている人が多かった。
      3) 研究の受けいれ状況は,「良い・やや良い・普通」と答えていたものが9割以上であった。その際研究に当たって,対象者本人の承諾を得た者は42%,「特に必要なし」としている者が38%であった。
      4) 研究の際の対象者の配慮としては,「同意」「プライバシー」「安楽」について配慮したいと答えている者が多かった。
  • 西沢 義子, 小玉 正志, 早川 三野雄, 高松 むつ
    1990 年 13 巻 4 号 p. 4_27-4_34
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      弘前大学教育学部養護教諭養成課程学生117名を対象とし,認知スタイルと血圧測定誤差の関連について分析した。認知スタイルはMFFテストを用い,反応時間と誤答数から,反応が速く誤答数が少ないFA型,反応は速いが誤答数が多いFI型,反応が遅いが誤答数が少ないSA型,反応が遅く誤答数も多いSI型の4群に分類した。血圧測定誤差は聴診法と脈波・コロトコフ音記録計との差により求め,以下のような成績が得られた。
    1. 測定誤差は最大血圧の場合,両I群が両A群よりも大きく,また,最小血圧の場合,両F群は両S群よりも大きかった。従って,衝動型(FI)は熟慮型(SA)よりも測定誤差が大きくなる傾向があった。
    2. どの認知スタイル群でも測定誤差は最大血圧の場合に最小血圧よりも大きかった。
    3. どの認知スタイル群でも最大,最小血圧とも記録計による血圧よりも高く測定する傾向(プラス傾向)がみられた。また,判定のバラツキは最大血圧でFA型に,最小血圧ではSI型に多くみられた。
    4. 測定誤差は最大血圧では血圧を記録計より高く判定する場合に大きく,低く判定する場合は小さかった。
  • 竹ノ上 ケイ子, 内海 滉
    1990 年 13 巻 4 号 p. 4_35-4_46
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      看護学生の母性性を構成する因子は何かということと,抽出された因子と個人特性との関係について調査した。
      看護学科(3年課程)の学生150名(1年49名,2年50名,3年51名)に対して64項目からなる質問項目についてその内容が自分にあてはまるかどうかを5段階で記入を求め,因子分析した。累積寄与率44.2%までの6因子,出産肯定因子,出産理論的肯定因子,母親肯定因子,子ども肯定因子,女性性肯定因子,出産育児否定因子が抽出された。これらの抽出された6因子と個人特性との関係を分析し,学年,両親の有無,母親の職業,同胞数,同胞の性別,月経障害の有無,看護学科入学動機などで因子得点の平均に有意な差があり,学生の生育歴などの個人特性と母性性が関係あるということが明らかになった。
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