日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
Print ISSN : 2188-3599
ISSN-L : 2188-3599
14 巻, 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 木原 信市, 岩坪 聖子, 大塚 裕一
    1991 年 14 巻 3 号 p. 3_7-3_16
    発行日: 1991/07/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     胸腺摘出術を受けた9名のMG患者の日常生活における問題点とその工夫について研究をおこなった。その要約は以下の通りである。
    (1) 胸腺摘出術を受けたMG患者の治療効果は,病期(Osserman分類),年齢,病悩期間などの条件により症状の改善および寛解に差があった。
    (2) MGの症状が改善または寛解していない患者は,主に咀嚼・嚥下障害,上肢筋麻痺・挙上困難,下肢筋麻痺,眼障害などのため日常生活において不便さを感じていた。しかし,これらの不便さに対しては患者自身で考慮した工夫がなされていた。
    (3) MG患者の心理的状況として,術前は開胸術や手術の結果に対する不安が多く,一方術後では病悩期間が長く手術の効果が少ない症例において生きていくことへの不安感が強かった。
  • 横山 淳子, 須永 清
    1991 年 14 巻 3 号 p. 3_17-3_26
    発行日: 1991/07/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     マウスを用いて6日間にわたり毎日活動期初期に1時間の運動を行わせ,以後自由摂食させた群を対照とし運動後の絶食の影響を検討した。
    1. 自由摂食(対照)群に対し,絶食させた2つの群はいずれも有意の体重増加を示した。
    2. 運動後4時間絶食させた後,自由に摂食させた群は対照群に対し腹腔内脂肪重量は変わらず,腓腹筋重量の有意の増加が認められた。
    3. 1,2の相違を代謝変動から検討すると,運動直後は肝の耐糖能(グルコースの取り込み)が低下し,肝TO活性は上昇した。従って,この時期に摂食すると肝外組織へのグルコース流入が増加し,トリプトファンは減少するため,相対的に脂肪合成が促進されたと考えられる。
     一方,運動後4時間目は肝の耐糖能は正常化するので,アミノ酸のグルコース化が抑えられ,さらに肝TO活性は低下しているので,この時期に摂食すると肝外組織へのアミノ酸流入が増加するので,タンパク合成が促進されたものと考えられる。
  • 原谷 珠美, 本間 裕子, 山本 良子
    1991 年 14 巻 3 号 p. 3_27-3_32
    発行日: 1991/07/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     老人病院の入院環境は,一般的に日常的な刺激量が乏しく,それ故入院そのものが痴呆を増強させる因子を含んでいるといえる。今回,入院中の痴呆性老人に対する看護活動を模索する目的で,kingが提唱する感覚刺激の内容を基準にして,一日の大半をベッドで過ごす15名の痴呆性老人を対象に視覚,聴覚,触覚,嗅覚の感覚刺激を与え,その効果について検討した。
     その結果,以下の知見が得られた。
     1) 痴呆患者スケールでは,協調性,集中力・持続力,荷物の置き場所がわかる,などの精神症状および意欲に関する項目が,感覚刺激療法開始後3カ月で有意な改善を示した。
     2) 日常生活行動を評価するパラチェック老人行動評定尺度では,15名中10名に改善が認められた。平均得点は開始直後の31.5±8.22から3カ月後には34.2±8.08と有意に高くなった。
     以上のことから,感覚刺激は,痴呆性老人の残存機能を高め,特に日常生活面での改善につながることが示a唆された。
feedback
Top