本研究の目的は,看護学生の個人特性と精神病に対する意識構造との関係を明らかにすることである。
対象は,精神疾患の基礎的知識のない看護学生232名とし,自由記載法により調査した。因子分析により6因子を抽出し,有意差が認められた個人特性について,因子得点平均値の位置的関係を検討した。
結果は次の通りである。
1. 一般入学学生は推薦入学学生よりも看護の目覚め意識を自由に表現し,精神病を肯定的に受け止める傾向がある。
2. 成績上位の学生は,精神病を客観的にとらえようとする傾向がある。成績別では,因子空間に円弧を描く曲線が示され,成績の差による意識の差が示された。
3. 精神病患者や精神病院との接触経験は,嫌悪する意識や現実的イメージの形成に影響を及ぼしている。
4. 入学年度により社会的イメージに差があり,社会的事件などの社会状況が意識に影響を及ぼしている。因子空間に円弧を描く曲線が示され,入学年度の違いによる意識の差が示された。また,学生は社会的事件と関連する精神病に対して同情せず,看護の目覚め意識を示す傾向があり,社会的事件は精神科看護の動機づけに影響すると考えられる。
抄録全体を表示