日本看護研究学会雑誌
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15 巻, 1 号
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  • -入学形態, 成績, 接触経験, 入学年度による検討-
    金山 正子, 田中 マキ子, 川本 利恵子, 内海 滉
    1992 年 15 巻 1 号 p. 1_65-1_72
    発行日: 1992/04/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      本研究の目的は,看護学生の個人特性と精神病に対する意識構造との関係を明らかにすることである。
      対象は,精神疾患の基礎的知識のない看護学生232名とし,自由記載法により調査した。因子分析により6因子を抽出し,有意差が認められた個人特性について,因子得点平均値の位置的関係を検討した。
      結果は次の通りである。
    1. 一般入学学生は推薦入学学生よりも看護の目覚め意識を自由に表現し,精神病を肯定的に受け止める傾向がある。
    2. 成績上位の学生は,精神病を客観的にとらえようとする傾向がある。成績別では,因子空間に円弧を描く曲線が示され,成績の差による意識の差が示された。
    3. 精神病患者や精神病院との接触経験は,嫌悪する意識や現実的イメージの形成に影響を及ぼしている。
    4. 入学年度により社会的イメージに差があり,社会的事件などの社会状況が意識に影響を及ぼしている。因子空間に円弧を描く曲線が示され,入学年度の違いによる意識の差が示された。また,学生は社会的事件と関連する精神病に対して同情せず,看護の目覚め意識を示す傾向があり,社会的事件は精神科看護の動機づけに影響すると考えられる。
  • 木原 信市, 松岡 聖子, 谷口 まり子, 山本 治美
    1992 年 15 巻 1 号 p. 1_73-1_83
    発行日: 1992/04/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      環境因子が類似した乳癌患者32名を対象に選び,入院中に医師,看護婦,夫,知人の言動のうち,励ましとなった言動,また逆に嫌と感じた言動,最も励まして欲しかった場面について調査研究をおこない,以下の結果を得た。
    1. 印象に残った励ましの言動として,医師に対しては疾患,治療過程に関した内容,看護婦に対しては精神的励まし,献身的な看護,乳房喪失へのいたわりなどが多い。夫に対しては家庭を留守にすることへの励まし,乳房喪失へのいたわり,麻酔・手術成功への喜び,創へのいたわり,心のこもった看護,家庭復帰への励ましなど患者を包括的に支える内容が多い。一方,知人に対しては殆どない。
    2. 印象に残った嫌な言動として,医師や知人に対してが多い。医師に対しては説明不足,術後の不安の助長,疼痛時の不適切な言葉かけなどがあり,知人に対しては手術は簡単にできる,乳房喪失の感想を聞かれるなど無神経な内容が多い。
    3. 最も励まして欲しかった場面として,医師に対しては手術直前や術後の疼痛時が多く,看護婦では手術直前,手術方針が決定するまで,乳房喪失を感じる時が多い。夫に対しては乳房切除を示唆された時,乳房喪失を感じる時,家庭復帰を控えた退院直前が多かった。一方,知人に対しては特になかった。
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