この研究は看護者の看護行為の家族委託意識を明らかにした。そのため看護者に対し看護委託意識を調べる質問紙調査を行った。結果は次の通りであった。
① 療養上の世話,中でも洗濯,衣類の整理などの身の囲りの世話の委託意識は高く,血圧測定,呼吸脈拍数の測定など医療観察項目の委託意識は低い。
② 看護・診療補助過程の実践段階の委託意識は問題の査定段階に比し,看護ではその行為のやり易いもの,日常性の高いものの委託意識が高くなり,看護者にとって多義的意義をもつ全身清拭などの委託意識は高くならない。また診療補助過程では生命の危険を伴う行為は安全性の面から委託意識が低く押さえられる。
③ 経験6年未満の看護者は6年以上の看護者より,経験6年未満の未婚看護者は6年未満既婚看護者より療養上の世話の委託意識が高い。
④ 内科系看護者は外科系看護者より診療の補助に伴う看護行為の委託意識が高い。
⑤ 専門書講読有りと答えた看護者は療養上の世話,診療の補助双方の看護委託意識が低い。
抄録全体を表示