本研究の目的は,精神疾患および精神科看護に対する看護学生の意識構造に知識や看護体験が及ぼす影響を明らかにすることである。
対象は,1991年度山口大学医療技術短期大学部看護学科1年次学生76名,2年次学生71名,3年次学生76名である。 1・2年次学生は放課後に,また,3年次学生は精神科実習前・実習後に質問紙調査を行った。 回答を数量化し,因子分析により6因子を抽出した。 1年次・2年次,3年次実習前,3年次実習後の4群に分類し,項目別得点平均値および因子得点平均値を比較した。 また各群で因子分析を行い,意識構造を比較した。 以下の結論を得た。
1. 看護学生の精神疾患および精神疾患患者に対する意識構造は,「恐怖・嫌悪因子」 「閉鎖的因子」 「理解・受諾因子」 「肯定的因子」 「社会的疎外因子」 「否定的因子」 で構成されていた。
2. 看護学生は,精神疾患および精神疾患患者に対して,3年次実習後に否定的な態度が和らぎ,肯定的な態度が芽生えている。 特に,3年次実習後は,1・2年次および実習前と比較して,恐怖・嫌悪に関連する態度に大きな差があった。
3. 1年次より3年次の学年の進行において,看護学生の意識構造は,たえずその経験により変化していく姿が窺われた。 講義などの知識だけでなく,看護の体験をすることが,疾病観,患者観の形成に大きく影響する。
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