日本看護研究学会雑誌
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17 巻, 1 号
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  • 石井 範子, 千田 富義, 戸井田 ひとみ, 平元 泉
    1994 年 17 巻 1 号 p. 1_43-1_48
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      就床患者のケリーパード洗髪において患者の苦痛を軽減するため頭部を一定の高さで支持する補助具を考案した。 19~35歳の健康な人8名を対象に,補助具を併用しない場合と補助具を併用した場合の洗髪の,筋活動における比較から以下のようにまとめられた。
      1) 補助具を用いることにより,左右胸鎖乳突筋・腹直筋の筋放電は有意に減少するが,僧帽筋では差はほとんど見られない。
      2)被洗髪者の頸部や肩の痛み・緊張感が補助具の使用で緩和すると言う主観的印象と,左右胸鎖乳突筋・腹直筋の筋放電が減少することが一致する傾向にある。
      以上のことからケリーパード洗髪に,頭部を支える補助具を用いることは,臥床したままでの洗髪を必要とする患者の身体的苦痛を軽減するのに有効なものであることがわかった。
  • 佐藤 香代, 鮫島 雅子
    1994 年 17 巻 1 号 p. 1_49-1_60
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      1.5才から6才までの幼児を持つ親183名(児総数239名)を対象に,質問紙法による性教育の実態調査を行った。
    1. 子どもから性に関する質問を受けた者は114名(49.8%)であった。その内容は児の誕生に関するものが最も多く,64.8%を占めた。
    2. はじめて質問した平均年令は3.9±0.9才であった。
    3. 質問に正しく答えた親は112名中82名(73.2%)であった。
    4. 幼児期に性教育が必要と考える親は239名中144名(60.3%)であった。そのうち実際に性教育を実施した者は50名(34.7%)であった。
    5. 性器いじりをしたことのある子どもは228名中109名(47.8%)であり,男児に多く認められた。始めた平均年令は2.8±1.2才であった。
    以上より幼児の性教育のあり方を検討した。
  • -手術をうける患者に対するエアーマットレスの使用基準の検討-
    真田 弘美, 須釜 淳子, 金川 克子, 紺家 千津子, 森田 千枝, 稲垣 美智子, 塚崎 恵子
    1994 年 17 巻 1 号 p. 1_61-1_68
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      褥創発生予測尺度(日本語版 Braden Scale)を用いて考案したエアーマットレスの使用基準を,手術を受ける患者に使用することにより,その基準の有効性を検討した。 対象は全身麻酔により手術を受け,術直後に褥創発生が見られなかった医学部附属病院の消化器を中心とする外科病棟の患者164名であった。 方法は,考案したエアーマットレス使用基準を適応した実験群と使用しない対照群の褥創発生率とその程度を比較した。 その結果褥創の発生は,実験群ではひとりも発生しなかったが,対照群では6名(9.0%)にみられた。 褥創の深度はⅠ度(発赤)が4名で,Ⅱ度(びらん)は2名であった。 以上より日本語版 Braden Scale を用いた筆者らが考案したエアーマットレス使用基準は,今回対象とした消化器術後患者には褥創の発生を認めず,褥創予防に有効な用具であると考えた。
  • -学年による意識構造の比較-
    金山 正子, 田中 マキ子, 川本 利恵子, 内海 滉
    1994 年 17 巻 1 号 p. 1_69-1_78
    発行日: 1994/04/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      本研究の目的は,精神疾患および精神科看護に対する看護学生の意識構造に知識や看護体験が及ぼす影響を明らかにすることである。
      対象は,1991年度山口大学医療技術短期大学部看護学科1年次学生76名,2年次学生71名,3年次学生76名である。 1・2年次学生は放課後に,また,3年次学生は精神科実習前・実習後に質問紙調査を行った。 回答を数量化し,因子分析により6因子を抽出した。 1年次・2年次,3年次実習前,3年次実習後の4群に分類し,項目別得点平均値および因子得点平均値を比較した。 また各群で因子分析を行い,意識構造を比較した。 以下の結論を得た。
    1. 看護学生の精神疾患および精神疾患患者に対する意識構造は,「恐怖・嫌悪因子」 「閉鎖的因子」 「理解・受諾因子」 「肯定的因子」 「社会的疎外因子」 「否定的因子」 で構成されていた。
    2. 看護学生は,精神疾患および精神疾患患者に対して,3年次実習後に否定的な態度が和らぎ,肯定的な態度が芽生えている。 特に,3年次実習後は,1・2年次および実習前と比較して,恐怖・嫌悪に関連する態度に大きな差があった。
    3. 1年次より3年次の学年の進行において,看護学生の意識構造は,たえずその経験により変化していく姿が窺われた。 講義などの知識だけでなく,看護の体験をすることが,疾病観,患者観の形成に大きく影響する。
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