生活価値観の充足が中高年住民の主観的幸福感に及ぼす影響力について比較検討した。調査では30歳から69歳までの2022人を対象に13生活領域に対する価値観および満足感を尋ねた。一方,主観的幸福感はNeugartenのLife Satisfaction Indexを用いて測定した。そして,生活価値観の充足と主観的幸福感との関連を多変量解析を用い検討した。
多変量解析の結果,以下のことが明らかになった。
1.全体で有意に主観的幸福感を規定した生活領域は家族であった。
2.性別にみると有意に主観的幸福感を規定した生活領域は男では家族,女では趣味・余暇であった。
3.年齢階級別にみると有意に主観的幸福感を規定した生活領域は30歳代では家族,健康,収入,趣味・余暇,40歳代では家族,地域社会,50歳代では趣味・余暇であった。60歳代では有意に主観的幸福感を規定した生活領域はなかった。
4.性・年齢階級別にみると男で有意に主観的幸福感を規定した生活領域は30歳代では家族,居住環境,40歳代では勤労の質,60歳代では消費であった。50歳代では有意に主観的幸福感を規定した生活領域はなかった。一方,女は30歳代では勤労の質,40歳代では消費,家族,地域社会,趣味・余暇,50歳代では教育・文化であった。60歳代では有意に主観的幸福感を規定した生活領域はなかった。
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