日本看護研究学会雑誌
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18 巻, 4 号
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  • 吉田 道雄, 内川 洋子, 成田 栄子
    1995 年 18 巻 4 号 p. 4_7-4_16
    発行日: 1995/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は「看護婦の患者に対するリーダーシップ行動」を測定するための尺度を作成することである。はじめに,患者の自由記述によって看護婦の日常行動を収集し,さらに患者に対する調査によって,患者にとって重要な行動84項目を選択した。選択された項目に対して因子分析を行い,「治癒過程における積極的対応」「情緒的サポート」「一般的配慮」「患者の要求に対する積極的対応」「一般的親密さ」という5つの因子を見いだした。さらに,それらの因子と「患者の入院生活に対する満足度」との関係を分析した。その結果,「看護婦の患者に対するリーダーシップ行動」が,「患者の入院生活に対する満足度」に影響をおよぼしていることが明らかにされた。
  • -実習場所, 受持患者の疾患による検討-
    金山 正子, 田中 マキ子, 川本 利恵子, 内海 滉
    1995 年 18 巻 4 号 p. 4_17-4_23
    発行日: 1995/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,精神科実習における看護学生の意識構造の変化への影響要因を明らかにすることである。本研究では,実習場所および受持患者の疾患をとりあげ,意識構造の変化の違いを検討した。
     対象は1991年度山口大学医療技術短期大学部3年次学生76名である。質問紙調査を行い,回答を数量化し,因子分析により6因子を抽出した。その後,実習場所と受持患者の疾患により分類し,実習前後の項目別得点平均値および因子得点平均値を比較し,検討した。以下の結論を得た。
    1. 精神科実習において,看護学生の意識構造の変化に,「実習場所」と「受持患者の疾患」が影響する。
    2. 実習場所が閉鎖病棟の場合と開放病棟の場合とでは,看護学生の意識構造の変化に違いがみられた。実習場所に関係なく,恐怖・嫌悪因子は変化していた。また,閉鎖病棟の学生では,肯定的因子と閉鎖的因子の変化がみられた。
    3. 受持患者の疾患が精神分裂病の場合とそれ以外の疾患の場合とでは,看護学生の意識構造の変化に違いがみられた。受持患者の疾患に関係なく,恐怖・嫌悪因子は変化していた。また,精神分裂病の患者を受持った学生では,恐怖・嫌悪因子だけでなく,肯定的因子の変化がみられた。
  • 大谷 英子, 松木 光子
    1995 年 18 巻 4 号 p. 4_25-4_38
    発行日: 1995/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     学生のもつ老人イメージとその形成要因を明らかにするため,今回は生活経験と老人イメージの関連に焦点づけたアンケート調査を行った。対象は,看護短大生および一般女子大生236名である。調査内容はSD法による老人イメージの測定,老人との生活経験,メディア・文化的情報,親の価値観に関する質問項目であり,1991年6月に学生に実施した。その結果,以下の6点が明らかになった。
    1. 学生の老人イメージの構造は,因子分析により【評価因子】【活動性因子】【円熟性因子】の3因子が見いだされた。活動因子に示される身体面では,ネガティブに傾いたが,円熟性因子など情緒面ではポジティブ・イメージを示した。
    2. 「祖父母」は【評価因子】でポジティブ・イメージであるが,「近所およびテレビの中の老人」のイメージはネガティブに傾き,祖父母以外の老人に対してネガティブなステレオタイプの存在の可能性が示唆された。
    3. 老人との会話頻度が高く,また会話内容が密であるほど【評価因子】においてポジティブ・イメージに傾く。祖父母以外の老人も話す機会が多いとポジティブ・イメージであった。単に生活経験の有無だけでなく,老人と接する内容が重要である。
    4. 親が祖父母とのつきあいに対して,積極的な姿勢である学生は,【評価因子】においてポジティブ・イメージを示した。親の老人に対する接触,姿勢も学生の老人イメージ形成に重要である。
    5. 本の種類によって老人イメージが異なり,描かれている老人像がイメージに反映していると考えられた。読む本の内容が偏らないような働きかけも重要である。
    6. パス解析の結果,老人イメージの評価因子を形成する主要な要因は,①「接して印象に残った老人の有無」,②「祖父母との会話頻度」「祖父母とのつきあいに対する親の考え方,④「本の中で印象に残った老人の有無」の順であった。また,「祖父母とのつきあいに対する親の考え方」は老人イメージを形成する重要な緒要因である祖父母との同居や会話頻度などに影響をおよぼす要因として重要であることが示唆された。
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