日本看護研究学会雑誌
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19 巻, 2 号
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  • 桂 敏樹, 野尻 雅美, 中野 正孝
    1996 年 19 巻 2 号 p. 2_7-2_15
    発行日: 1996/06/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      地域住民を対象に健康的なライフスタイルと主観的ストレス感およびうつ状態との関連の有無を横断的に検討し,心の健康づくりに及ぼすライフスタイル改善指導の意義を明らかにした。
      その結果,男女ともライフスタイルが健全であれば強いストレスおよびうつ状態の出現率が低いことが明らかになった。この傾向は性別にみると男に比べ女で,また年齢階級別にみると40歳代,50歳代の中年期および向老期で顕著であった。
      ライフスタイル改善指導によって健康的なライフスタイルを形成することは身体だけでなく心の健康づくりにも寄与することが示唆された。
  • -CAI 教材 「救急蘇生法」 の学習効果-
    岩本 テルヨ
    1996 年 19 巻 2 号 p. 2_17-2_24
    発行日: 1996/06/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究の目的はCAI教材「救急蘇生法」の認知・情意領域の学習効果を分析し,効果的な活用を探究することである。救急蘇生法を学習済みのK大学看護学部2年生40名を対象に二群(CAI教材により復習する群,座学により復習する群)に分けて実験を行い,事後テストの平均得点を比較した。また,情意領域の質問紙調査においては回答を数量化し項目別平均値を比較した。以下の結論を得た。
    1.事後テストの平均得点は座学群に比べCAI群が有意に高かった。点双列相関係数においても同様であった。学力調査と事後テストの得点の差の平均値は有意ではなかったが上位・下位グループともCAI群が高かった。
    2.学習に対する質問紙調査において,学習に対する関心,おもしろさ,意欲等の項目平均値が座学群に比べCAI群が有意に高かった。
      以上から反復学習のためのCAI教材「救急蘇生法」の活用は効果的であることが示唆された。
  • -因子分析による内的信頼性・妥当性の検討-
    竹内 登美子
    1996 年 19 巻 2 号 p. 2_25-2_34
    発行日: 1996/06/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      本研究では,看護学生用コーピング尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討した。
      最初に322名の看護学生を対象とした予備調査を行い「学校でいちばんストレスに感じたこと」「そのストレスにどう対処したか」について自由記述で回答を求めた。その結果,39項目のコーピングが得られ,(1) 状況特定的な行動をとらえる(2) 具体的で努力的な行動レベルである(3) 下位尺度の項目数を揃える,という3点を考慮しながら,その内容妥当性を検討して,積極的コーピング10項目,回避的コーピング10項目,情緒調整的コーピング14項目の34項目からなる予備尺度を作成した。
      次に551名の看護学生を対象として,予備尺度の全項目について「よく用いた」4点から「用いなかった」1点までの4件法で回答を求めた。更にその因子構造を明らかにするために,因子分析のバリマックス回転を行なった。因子負荷量の小さい項目や,因子が不適切な10項目を除去して,最終的に3因子が抽出され,積極的コーピング8項目,回避的コーピング6項目,情緒調整的コーピング10項目,計24項目からなる尺度を作成した。またそのα係数は0.57-0.77であり,その信頼性が証明された。
      以上3つの下位尺度からなる,24項目の看護学生用コーピング尺度が最終的に作成された。
  • -評価基準としての価値の影響-
    桂 敏樹, 野尻 雅美, 中野 正孝
    1996 年 19 巻 2 号 p. 2_35-2_41
    発行日: 1996/06/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      生活価値観の充足が地域住民の主観的ストレス感に及ぼす影響力について比較検討した。調査では30歳から69歳までの住民2,022人を対象に13生活領域に対する価値観および満足感を尋ねた。一方,主観的ストレス感は5段階で尋ね,生活価値観の充足と主観的ストレス感との関連を多変量解析を用い検討した。
      多変量解析の結果,以下のことが明らかになった。
      1)全体で有意に主観的ストレス感を規定した生活領域は健康,家族,仕事,趣味・余暇,居住環境,収入であった。
      2)性別にみると有意に主観的ストレス感を規定した生活領域は男では仕事,健康,収入,居住環境,家族,女では家族,趣味・余暇,健康であった。
      3)年齢階級別にみると有意に主観的ストレス感を規定した生活領域は30歳代では家族,仕事,年齢,趣味・余暇,40歳代では健康,50歳代では家族,60歳代では居住環境であった。
      地域住民では性を問わず健康および家族に対する価値観が充たされないことはストレスと強く関連することが示唆された。
  • I.脳波の周波数解析
    楊箸 隆哉, 藤原 孝之
    1996 年 19 巻 2 号 p. 2_43-2_50
    発行日: 1996/06/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    入浴が脳活動に与える影響について明らかにする目的で,脳波の周波数分析を行った。健康な女子学生9名を対象とし,入浴前,入浴中,入浴直後,15分後および30分後における脳波を測定した。また,同時にVisual Analog Scale(VAS)により被験者の主観的感覚を調べた。入浴条件は,1)Control(入浴行動のみ),2)Cool(35℃),3)Hot(41-42℃)の3条件とし,それぞれを比較・検討した。脳波は,国際標準電極配置法に基づいて,Fz,Cz,Pz,Ozの4部位から特注の携帯型脳波計(NEC三栄)により単極導出し,ディジタル・オーディオ・テープに記録した。実験終了後,パソコンを用いてデータをA/D変換し,2.0-30Hzのディジタル・バンドパス・フィルターを通した後,高速フーリエ変換し,周波数解析を行った。周波数解析ではTotal Powerおよび,Total Powerに対するδ,θ,α―1,α―2,β―1,β―2の6帯域の比率をそれぞれ%Powerとして求めた。周波数解析の結果,Hot条件では入浴中Total Powerが減少する傾向が認められ,また,Fzにおけるβ―1帯域の%Powerは統計上有意に増加した(2元配置分散分析,P<0.05)。VASによる覚醒度を示す主観的感覚は入浴行動により増加しその後減少する傾向を認めたが,3条件ともほぼ同様な変化を示し,3群間で有意差が認められなかった。以上のことから,Hot条件での入浴は,脳活動の活性化に有効であること,またその時の温度調節は極めて重要であることが示唆された。
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