日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
Print ISSN : 2188-3599
ISSN-L : 2188-3599
24 巻, 5 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 坂口 けさみ, 楊箸 隆哉, 北村 キヨミ
    2001 年 24 巻 5 号 p. 5_11-5_22
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     プロラクチン (PRL) は哺乳動物における乳汁分泌維持作用を示すのみでなく,母性行動の誘起・維持にも重要な働きを有するホルモンであることが明らかになってきた。 PRL の生理作用は標的組織に存在するプロラクチン受容体 (PRL-R) との結合により発揮される。 今回,雌及び雄ラットを用いて乳仔との接触刺激による親性行動の誘導を試みるとともに,血中 PRL 濃度及び脳内 PRL-R mRNA の発現について解析を行った。
    1. 雌及び雄ラットいずれにおいても乳仔との接触日数の増加に伴い,親性行動の発現が増加した。
    2. 親性行動の最終的な発現頻度をみると,雌ラットでは仔と共にうずくまる,仔をなめるに加えて,連れ戻し,巣作りを含む4項目全てにおいて完全にその出現を観察した。 しかし雄ラットでは仔と共にうずくまる,仔をなめるという親性行動はほぼその出現を認めたが,連れ戻し,巣作りなどの行動は不完全であった。
    3. 乳仔への親性行動が認められた雌及び雄ラットでは,血中 PRL 濃度が上昇し,脳内 PRL-R mRNA の長型 (long-form) の発現が有意に増加した。
     以上,乳仔接触刺激により増加した PRL が脳内 PRL-R の長型 (long-form) の発現を誘導し,その結果仔への親性行動を促進するものと考えられた。
  • -症状と心理的側面との関連-
    吉村 弥須子, 白田 久美子, 前田 勇子, 安森 由美, 東 ますみ
    2001 年 24 巻 5 号 p. 5_23-5_32
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は骨粗鬆症の症状である腰痛,身長短縮,円背,下肢しびれの有無および歩行距離の減少が患者の心理的側面にどのような影響をおよぼすか明らかにすることである。 対象は骨粗鬆症専門外来に通院中の骨粗鬆症患者376名で,自記式質問紙票を用い調査を行った。 心理的側面の評価には,Zung の自己評価式抑うつ尺度 (SDS),古谷野らの人生満足度尺度 K (LSIK),大和らの自尊感情尺度 (SES) の3尺度を用いた。 各症状の出現頻度は,腰痛64.4%,身長短縮79.3%,円背50%,下肢しびれ24%,歩行距離が900m以下の患者は41.8%であった。 結論1. 骨粗鬆症により腰痛,身長短縮,円背,下肢しびれなどの症状が出現している患者や歩行距離の減少している患者は抑うつ状態になり,人生満足度が低下する傾向がある。 2. 身長短縮や円背など外観の変化のある患者,歩行距離の減少している患者は自尊感情が低下する傾向がある。
  • 新居 富士美, リボウィッツ よし子
    2001 年 24 巻 5 号 p. 5_33-5_44
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     日本において抑制は長い間タブー視されてきた問題であり抑制に関する看護研究はいまだ十分とはいいがたい。 本研究の目的は,抑制に対する看護職の認識を明らかにすることである。 九州の3県にて827名の看護職を対象に抑制に対する認識について質問紙調査を行なった。 その結果,50%の看護職は縛る以外にも言葉や薬剤使用を抑制であると認識している点に特徴があるものの抑制そのものの持つ危険性に対しては十分に認識していない傾向にあった。 抑制に対する看護職の認識には抑制に関する卒後教育の有無,勤務科,抑制廃止の組織的な決定が影響していた。 しかし,病院として抑制の基準は示されていなかった。 58%の看護職は抑制の基準を必要と認識し,医療従事者に対する倫理教育の不足という現状も明らかとなった。
     さまざまな種類の縛る以外の抑制が認識されており,病院や施設としての明確な基準の構築は必要不可欠であろう。 管理面のみならず,人権や安全の視点から抑制のもたらす危険性ならびに抑制を用いるときの適切な方法,抑制に代わる具体策やその効果の研究という教育面が重要な課題と思われる。
  • 高橋 方子
    2001 年 24 巻 5 号 p. 5_45-5_56
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,病院で働く看護職の看護労働に対する意識構造を明らかにすることを目的に行った。 一般病院に勤務する看護職を対象として質問紙による調査を行い,その結果547人から回答を得た。
     得られたデータに対して因子分析を行い,6因子を抽出した。 第1因子 「看護労働に対する精神的満足」,第2因子 「看護職の自己イメージ」,第3因子 「看護労働の経済的評価」,第4因子 「労働の場の拡大」,第5因子 「職場内の地位」,第6因子 「看護職からみた他者評価」 と命名した。 また,因子分析によって得られた因子得点をもとにクラスター分析を行い,6グループに分類した。 それぞれのグループは,年代,経験年数,結婚の有無,子供の有無,職位に有意差があり,ライフステージによって看護労働に対する意識構造に違いがある事が示唆された。
feedback
Top