成人型アトピー性皮膚炎を持つ人々は,治療が難しく,慢性の経過をたどるという疾患の特徴から,病院を転々と変え,様々な治療法を試す。 また,正規の医療機関以外の施設または個人により販売される水,入浴剤,石鹸,漢方,健康食品などの民間療法を試す傾向が見られる。 本研究はこれらの対象者の行動について,対象者の経験の過程から,対象者の行動の仮説的モデルを帰納的に構築することを目的とする。
研究方法は,対象者にインタビューを行い,得られた言葉をデータとして使用し,分析を行った。 対象者は成人型アトピー性皮膚炎を持つ男性7名,女性3名で,半構成的インタビューによりデータを得た。 分析手順は,コード化,コードの修正,カテゴリー化,中核カテゴリーの発見,など8段階を踏んだ。
分析の結果,対象者の経験の過程から得られた行動モデルは,
1)アトピー性皮膚炎のとらえ方
2)願望:治したい
3)思い:治る・治るかもしれない・治らない・治らないかもしれない
という3つのカテゴリーから構成され,「さがしもとめる」 という中核となる変数で結びついていた。
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