日本看護研究学会雑誌
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25 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 森本 美智子, 中嶋 和夫, 高井 研一
    2002 年 25 巻 4 号 p. 4_17-4_31
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      本研究は,COPD 患者に対する看護学的な介入指針を得ることをねらいとし,機能障害ならびに息苦しさと活動制限に対するストレス認知と精神的健康との関係を検討した。 対象は,慢性閉塞性肺疾患の基準を満たした86名とし,質問紙による自記式調査で行った。 統計解析は,従属変数を精神的健康とする逐次モデルを設定し,モデルのデータへの適合度について共分散構造分析を用い検討した。 その結果,前記モデルはデータに適合し,精神的健康に対して直接効果をもつのはストレス認知で,重相関係数0.464,寄与率24.4%であった。 1秒量ならびに息切れの程度は精神的健康に有意な関係を示さなかった。 以上の結果は,COPD 患者の精神的な健康管理においてストレス認知に着目して援助することの重要性を示唆するものと判断された。
  • 江藤 真紀, 久保田 新
    2002 年 25 巻 4 号 p. 4_33-4_51
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      転倒とその状況や転倒後の変化,生活環境・習慣との関連性を検討するため,316名の高齢者を対象に調査を行った。 質問項目間の質的な関連をみる分割表分析の結果,転倒時状況では,1. 夏の晴天日に玄関,浴室,廊下で体調不良や足がもつれて転倒していた。 2. 転倒の時間帯が遅いほど内因的なきっかけで転倒し,後遺症を残していた。 転倒後の変化では,3. ふらついて転倒した者は,転倒後に歩行困難や杖の使用を強いられ,外出回数・歩行量が減少していた。 4. 転倒につながりにくい環境は,転倒しそうと思う場所がないこと,自室は二階,寝具は和式であった。 5. 転倒につながりにくい生活習慣としては運動頻度が高いこと等が確認された。 生活環境・習慣は転倒の発生に関わるだけでなく,転倒時状況をも左右し,その後の生活変化にも影響を与えており,高齢者の転倒を考える上で,生活環境・習慣が重要な要因であることが数量的にも示せたと考える。
  • 白井 文恵, 川口 真紀子, 江部 知子, 土肥 義胤
    2002 年 25 巻 4 号 p. 4_53-4_59
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      高齢者は易感染宿主と言われており日和見感染を受けやすい。 感染に対する防御には好中球の果たす役割が大きい。 そこで,70歳以上の高齢者(平均年齢76.3歳)と20歳代の青年(平均年齢23.2 歳)について,好中球の殺菌機能を測定した。 その結果,末梢血白血球数については,高齢者と青年との間に有意な差は見られなかった。 しかし,好中球の産生する殺菌物質である活性酸素産生量については,過酸化水素産生量が,高齢者の好中球は青年のそれの約3分の1,スーパーオキサイド産生量は約10分の1であり,高齢者の好中球は有意に低い産生量であった。 さらに,好中球に緑膿菌を食菌させ細胞内に生残する菌数を測定したところ,高齢者の好中球内で緑膿菌は殺菌されることなく増殖した。 従って,高齢者における易感染性のメカニズムの少なくとも一つは,好中球のスーパーオキサイドや過酸化水素などの活性酸素産生能の低下であることが示唆された。
  • 桐山 雅子, 砂川 洋子, 奥平 貴代, 平安 綾子, 大湾 知子
    2002 年 25 巻 4 号 p. 4_61-4_71
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      本研究では,看護中間管理職者のストレスとその関連要因について実状を明らかにするため,A県内の病床数300床以上の総合病院13施設に勤務する看護中間管理職者305名(師長121名,副師長(係長)または主任(以下,主任とする)184名)に調査を行い,職位別に分析した。 その結果,看護中間管理職者のストレスは職位によって違いがみられ,両者において消極的対処行動・タイプA行動・蓄積的疲労がストレスの増強要因となっていることが明らかとなった。
  • 山崎 登志子, 齋 二美子, 岩田 真澄
    2002 年 25 巻 4 号 p. 4_73-4_84
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      本研究の目的は精神科病棟の職場環境ストレッサーを理解し,その中で患者ケアの特徴から生じるストレッサーが看護師の精神的健康に関連しているかどうかについて検討することである。 調査1では,6病院の精神科病棟に勤務する看護職112名を対象としたアンケート調査を行った。 その結果,7項目のストレッサーが抽出され,さらに患者ケアの特徴から生じるストレッサーがバーンアウト傾向に関連していると考えられた。 また,調査2では,同一病院の精神科病棟に勤務する5名を対象として半構成的面接調査を行った。 その結果,4項目の職場環境ストレッサーが新たに追加された。 これらのストレッサーとストレス反応との関連について検討し,精神科病棟におけるストレス反応発生のメカニズムを仮説的に提示した。
  • 野田 淳, 市丸 訓子, 山本 冨士江
    2002 年 25 巻 4 号 p. 4_85-4_93
    発行日: 2002/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      学生が学習に興味を持ち,自主的に学ぶ姿勢を持つことを目的として,基礎看護学の授業に小グループによる討論を中心とした LTD 話し合い学習法を取り入れた。 看護大学生を対象に,6回の LTD 話し合い学習法を実施し,その後学生の反応や評価を分析し,LTD 話し合い学習法の看護大学生への適用に際して考慮すべき因子を検討した。 今回の調査において,LTD 話し合い学習法の構成要素である個別学習と集団学習の効果が示唆された。 また,学生の評価に影響を与えているのは,与えられた教材についての学生自身の理解度や経験とグループ編成であるという結果が得られた。 つまり,本学習法の看護教育への適用において,看護学の初学者に対しては,対象者の知識・経験を踏まえて,実施時期に沿った教材の選定をすることが重要な要素であるといえる。
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