生体肝移植術を受けた成人レシピエントの術後精神症状の発症と身体的要因の関係について検討した。
1997年から2000年までの107名の成人レシピエントの術後精神症状発生状況を調査した。術後精神症状はDSM-Ⅲ-Rにより分類した。身体的要因の項目は肝臓の状態を示すチャイルドの分類をもとにアルブミン・ビリルビン・総タンパクとし,術後経過に影響すると考えられる要因として移植肝の割合・手術時間など,そして免疫抑制剤やステロイド剤の影響の指標として拒絶反応・パルス療法とした。各調査項目についてχ
2検定とU検定を用いて解析し,有意確立5%以下を有意差ありとした。
107名中31名(29%)になんらかの術後精神症状がみられた。総タンパクでは術後精神症状発生があったグループでは5.8±0.9g/dlと正常範囲を下回り,術後精神症状発生のないグループとの間で有意差がみられた。他の項目では有意差がみられなかった。
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