日本看護研究学会雑誌
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28 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 西田 友子, 藤井 千恵, 榊原 久孝
    2005 年 28 巻 4 号 p. 4_11-4_17
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,動脈硬化性疾患の一次予防を考える上で,メタボリックシンドロームと生活習慣との関連を明らかにするために実施した。2002年に愛知県S町で行なわれた定期健康診断の受診者1,153人を対象とした。動脈硬化性疾患の危険因子重複数をリスク保有数で示し,20歳からの体重増加量および生活習慣との関連を検討した。リスク3以上群の割合は,20歳からの体重増加量が多いほど有意に高値を示した。高BMI群とそうでない群に分けた比較でも,両群とも体重増加量が増えるにつれて,リスク保有数が多い割合が有意に高かった。また,20歳からの体重増加量が大きいほど「運動不足である」「食事速度が早い」「腹いっぱい食べる」傾向が示された。本研究により,メタボリックシンドロームには20歳からの体重変動量が大きく関与していることが示唆され,肥満のみでなく青年期からの体重増加量も抑えるよう気を付けることが予防になると示唆された。
  • 前田 ひとみ, 南家 貴美代, 渡辺 恵
    2005 年 28 巻 4 号 p. 4_19-4_25
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     HIV/エイズ看護の現状と看護ケアに対する認識を把握する目的で,平成13年10月に,ブロック拠点病院並びに拠点病院のエイズ診療に関連する場所で勤務する看護師を対象に質問紙調査を行った。
     有効回答数は1804人(202施設)であった。エイズ専任またはエイズ兼任をあわせたエイズ担当看護師(以下エイズ担当)は55.0%の施設で配置されていた。一般看護師の33.6%,エイズ担当の34.1%がこれまでにエイズ患者の看護経験がなかった。エイズ看護に特徴と考えられるケアの経験者率はエイズ担当と一般看護師で有意な差がみられ,重要度の認識も異なっていた。またエイズ看護経験者の半数以上がエイズ看護に不安を感じていることがわかった。
     今後はHIV/エイズ患者と医療者,保健医療福祉機関をつなぐ役割を担うことができる看護師の育成と,外来,病棟の区別なく看護実践ができるような体制を作る必要がある。
  • 谷口 友理, 松浦 和代
    2005 年 28 巻 4 号 p. 4_27-4_42
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,がん患者の在宅ターミナルケアへの移行過程と関連要因を分析することを目的に,がん患者を看取った主介護者を対象に非構成的面接を行ない,内容分析の手法を用いて分析した。
     対象となった主介護者は,15名であった。ターミナルケアの状況は,在宅ターミナルケアの希望の有無と看取りの場所の相違から,在宅ターミナルケアを考える段階には至らず病院で看取った群,在宅ターミナルケアを希望していたが病院での看取りをした群,在宅ターミナルケアを希望し在宅での看取りをした群の3群に大別された。得られた内容は,75サブカテゴリーで,看取ったがん患者側,主介護者側に関する先行要因,促進・阻害要因,ニーズ要因,及び在宅医療の支援体制の7カテゴリーに分類した。サブカテゴリーの比較から,在宅ターミナルケアへの移行過程には,がん患者と主介護者は「ターミナルケアの準備期」「在宅ケアの準備期」「介護者の準備期」の段階があることが把握された。移行段階に関連する要因としては,症状のコントロールと緩和ケア,物的・人的・医療体制の条件の整備,主介護者の介護技術の習得,副介護者の確保などが示唆された。
  • 片山 陽子, 陶山 啓子
    2005 年 28 巻 4 号 p. 4_43-4_52
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     在宅で医療的ケアを実施している介護者の特性を把握すると共に,介護肯定感に関連する要因を明らかにすることを目的とした。主介護者190名(医療的ケア有り群117名,無し群73名)を対象に,質問紙を用いた訪問面接調査を実施した。
     医療的ケア有り群は介護時間が長く,在宅介護に対する動機が高いという特性が認められた。そして,介護肯定感の「介護を通しての自己成長感」と「介護役割の積極的受容」が医療的ケア有り群は無し群に比べて有意に高い結果であった。有り群の介護肯定感に関連する要因としては,在宅介護への動機の高さと「情緒的な接近型」の対処行動であった。このことから,介護者が介護を自分の役割であると認識できることと,療養者と介護者の関係性の良さが重要であると考えられた。また,看護師は介護者の役割意識を支持することや,療養者と介護者が良好な関係を構築できるように介入することの必要性が示唆された。
  • 岡本 双美子, 石井 京子
    2005 年 28 巻 4 号 p. 4_53-4_60
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究は看護師の死生観を尺度化し,その構造を明らかにすること,そして,尺度に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的とした。ホスピス・緩和ケア病棟を有する病院に勤務している看護師631名を対象に自記式質問紙調査を行った。探索的因子分析の結果,6因子解を最適解として採用し,第Ⅰ因子を「死の準備教育」,第Ⅱ因子を「死の不安」,第Ⅲ因子を「身体と精神死」,第Ⅳ因子を「遺体への想い」,第Ⅴ因子を「人生の終焉」,最後に,第Ⅵ因子を「死後の世界」と命名した。さらに,Stepwise探索的因子分析の結果6因子25項目が選択された。死生観に影響を及ぼす要因として,年齢や経験年数,ホスピス・緩和ケア病棟経験の有無・死別体験の有無・家族の死を意識するような病気や事故の経験の有無・死の話をする機会の頻度が挙げられた。
  • 石井 京子, 近森 栄子
    2005 年 28 巻 4 号 p. 4_61-4_67
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,家族が高齢者を看取る過程の介護行動尺度を作成し,介護行動に影響する要因を分析することである。対象は老人大学の受講生405名である。方法は郵送質問紙調査法である。看取り介護行動は29項目よりなり,4段階評価である。結果は次の通りである。看取りを行った経験者は222名(65.7%)であった。看取った相手は親55.3%,配偶者12.4%,子ども0.3%,その他の家族が12.4%であった。看取り時の介護行動の因子分析から3因子が抽出された。それぞれの因子は「直接的介護行動,α=0.856」,「死の受け止めに対する援助行動,α=0.786」,「情緒的援助行動,α=0.807」と命名された。これらの因子に影響する要因は介護者の性,最期の治療方針,看取り後の受け止め感であった。
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