本研究は,入院中に安全な食事摂取量を評価し調整することを学習した幽門側胃切除術後患者が,退院後に食事摂取量を自律的に調整し,栄養状態を回復できているか明らかにすることを目的とした。
対象は29名であり,入院後から術後3ヶ月まで,食事前後の体重増加量としての食事摂取量,食後の上腹部感覚と不快症状を自己記録した。退院後には運動量と歩数を起床から就寝まで生活習慣記録機にて自動記録し,栄養状態の評価として,体重及び上腕筋囲を用いた。
その結果,食事摂取量と食事回数の推移から対象者は食事摂取量を自律的に調整できた。食事摂取量は段階的に増加し,退院時43%から術後13週目には93.8%まで回復した。運動量と歩数は漸次増加したが,体重は術後13週目に93.6%,上腕筋囲は94.6%であり,退院時から維持できた。
以上から,対象者は退院後に運動量を増加させたが,栄養状態を維持し,これは食事摂取量を自律的に増加させた結果と考えられた。
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