本研究では,抗がん剤漏出による皮膚傷害の質的変化について検索するため,実験動物(ラット)を用いた基礎的研究を実施した。使用した抗がん剤は,起壊死性抗がん剤であるマイトマイシンとエクザール
®,炎症性抗がん剤に属するランダ
®,非壊死性抗がん剤に属するロイナーゼ
®を選択し,肉眼的,血液生化学的,組織学的に検索した。その結果,マイトマイシンの皮膚傷害は,皮膚深層に傷害像が強く認められ肉眼的に観察されにくい。さらには,傷害が持続し組織の再生も弱い。エクザール
®の皮膚傷害は,表皮から皮筋組織にかけ広範囲に傷害が生じ,急速に潰瘍を形成し顕在化するが時間の経過ともに再生像も確認できる。ランダ
®とロイナーゼ
®は,エクザール
®やマイトマイシンに比べ皮膚傷害が弱いという知見が得られた。
以上から,抗がん剤の血管外漏出時には,看護師は組織内部の皮膚傷害について把握し,患者のケアを行う必要性が示唆された。
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