日本看護研究学会雑誌
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32 巻, 1 号
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  • -尿失禁予防と改善に向けた助産師の役割-
    河内 美江
    2009 年32 巻1 号 p. 1_47-1_57
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,出産後3年以内の女性の出産状況を捉えることで,尿失禁の現状と出産(産科医療),日常生活上の要因との関連性を検討することにより,尿失禁予防と改善に向けた助産師の役割と課題を明らかにすることである。調査は,G県A市における乳幼児健康診査に来所した母親を対象にした自記式質問紙調査である。配布数1,000部,回収率33.4%であった。統計処理は,SPSS10.0Jを用い,χ2検定,t検定,ロジスティック回帰分析を行った。結果,出産後2ヵ月以降も35.5%という高い尿失禁経験率にあること,また,尿失禁と妊娠前・妊娠中・出産直後の尿失禁,床上げまでの間に休息できなかった経験,吸引・鉗子分娩,BMI等の要因との関連性が明らかになった。尿失禁予防と改善に向けた助産師の役割と課題としては,妊娠前・妊娠中・出産後を通して,積極的に骨盤底筋に負担をかず,その後骨盤底筋が回復するような改善策を取り組む必要がある。
  • 蛎崎 奈津子
    2009 年32 巻1 号 p. 1_59-1_67
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     国際結婚した中国人女性の妊娠・出産時の家族関係構築プロセスを明らかにすることを目的に,中国人女性8名に面接し,継続的比較分析を行った。その結果,家族関係構築過程は【直接的なかかわりあいを基盤とする関係構築志向】をコアカテゴリーとする3カテゴリーに分類された。妊娠期には【関係構築に向けた自己の役割模索】を行いながら,中国人女性は家族への溶け込みに努力していた。産後に入り,保温や安静の厳重さにおける慣習の相違と家族に対する期待内容の違いが生じ,家族内の自己の位置づけを実感した(【産後の慣習と家族への期待内容の違いがもたらす自己の位置づけの実感】)。また【直接的なかかわりあいの程度と関係の質的相違】がみられ,家族内でかかわりあいがある場合,中国人女性は自己の考えをとらえ直すことができていた。日本人家族との家族関係構築の初期段階にある妊娠期の看護支援の意義が示唆された。
  • 江上 京里, 見城 道子, 守屋 治代, 山元 由美子
    2009 年32 巻1 号 p. 1_69-1_78
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     健康増進施設利用者の運動習慣と健康関連指標の関連を明らかにするために,A健康増進施設を利用している20歳以上の男女を対象とし,質問紙調査を行った。
     対象者332名は,男性が41.3%,運動習慣の有る者は51.8%であった。運動習慣の有無と年齢で分散分析を行った結果,健康習慣得点は,運動習慣があるほうが,また年齢が高いほうが高かった。首尾一貫感覚は,60歳以上が有意に高かった。健康関連QOL尺度の下位尺度項目のうち「身体機能」と「身体の痛み」は,60歳以上の群で,運動習慣のある群が有意に良好に維持していた。よって,特に60歳以上の高齢者において,運動習慣の効果が顕著に表れやすく,身体機能の低下や,痛みの増強を最小限にし,QOLを高めるためにも,高齢者における運動習慣は重要であると考えられる。
  • 榎本 聖子, 大串 靖子, 河原 加代子
    2009 年32 巻1 号 p. 1_79-1_89
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     健康管理に特別な配慮や援助を要する児童生徒は増加する傾向にある。本研究の目的は、医療的ニードのある児童生徒に対する支援の現状を把握すること、養護教諭が医療的ケアについてどのように考えているかを明らかにすることである。S県の養護教諭を対象に質問紙調査を行い、回答のあった492名のデータを集計分析した。結果:1)養護教諭養成における教育背景、医療的ケア実施に対する考えは多様であった。2)医療的ケアを必要とする児童生徒は、通常校にも多数在籍していた。3)養護教諭は、家庭との連携はできているが、医療機関との連携は不十分と認識していた。4)医療的ケアを必要とする児童生徒が在籍している学校の養護教諭は、非在籍校に比べ、様々な方策が必要と考えていた。5)守秘義務と個人情報保護が医療機関との連携を妨げる一因となっているため、学校における情報管理指針の明示と学校医の介入によって連携が促進される可能性がある。
  • 茅原 路代, 國方 弘子, 岡本 亜紀, 渡邉 久美, 折山 早苗
    2009 年32 巻1 号 p. 1_91-1_97
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究は,デイケアに通所し地域で生活する統合失調症患者83名を対象に,居場所感とQOLの2変数の関連を明らかにすることを目的とした横断研究である。調査項目は,日本語版WHOQOL-26,精神障害者の居場所感尺度(3下位尺度からなる2次因子モデル),個人特性で構成した。想定した居場所感とQOLの因果関係モデルを共分散構造分析を用いて検討した結果,適合度指標は統計学的な許容水準を満たし,モデルはデータに適合した。居場所感が大きいことは,より良いQOLであることが明らかになり,その寄与率は44%であった。このことから,在宅生活をする統合失調症患者がより良いQOLを獲得するためには,彼らの居場所感を高める支援が有効であることが示唆された。
  • -アンドラゴジーの原理を適用した院内研修の効果検証-
    小竹 久実子, 圷 千代子, 小圷 悦子
    2009 年32 巻1 号 p. 1_99-1_104
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,Andragogyの原理を適用した院内研修の効果を,直後,6か月後,1年後と追跡評価することである。研究方法は,A病院看護師経験3~5年目27名に,看護師リーダー資質尺度を用いて調査した。因子分析にて因子構造を確認し,研修後の変化を一元配置分散分析後,Tukey-Kramer検定にて検討した。結果,因子分析の累積寄与率76.1%,2因子性であった。f1はサブリーダー(以後,SL)に必要な資質,f2はリーダー(以後,L)に必要な資質因子と命名した。α =.9260~.9796で内的整合性が確認された。SL項目の「誠意・創意・熱意」,「計画性」,「テクニカルスキル」,「SLとして意識行動」が直後と比較して,1年後まで上昇していた(p < .05)。SLに必要な資質は,積極的に行動し模範的存在となること,Lに必要な資質はSL資質を踏まえて,全体を洞察しコントロールする能力であることが明らかになった。L資質を修得していくには,段階的な研修が必要であることが示唆された。
  • 香月 富士日
    2009 年32 巻1 号 p. 1_105-1_111
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     看護師の患者に対する心理的距離の構造を明らかにすることは,よりよい治療援助関係を築くための手がかりになると考えられる。今回は,心理的距離の主要構成要素を逆転移,感情表出,偏見と予測し,看護師281名を対象に1)Nurse Attitude Scale (NAS), 2)Feeling Checklist Japanese version(FCJ),3)精神障害者に対する態度尺度,4)心理的距離尺度 の4尺度を用いて質問紙調査を行った。心理的距離に関する重回帰分析の結果,有意な正の回帰があったものは,FCJ-遠い距離で,負の回帰があったものは,NAS-肯定的言辞,FCJ-親密感,精神科経験年数であった。また,開放病棟か閉鎖病棟であるかも大きく影響しており,閉鎖病棟であることは心理的距離が遠くなる要因になっており,開放病棟であることは心理的距離が近くなる要因になっていることが示唆された。
  • 白鳥 さつき
    2009 年32 巻1 号 p. 1_113-1_123
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     看護大学生13人(女性10人,男性3人)を対象とし,自分の職業を看護職と決定するまでのプロセスを明らかにするためにインタビューを実施した。研究デザインは質的記述的研究で半構造化面接法を用い,内容分析の手法をとった。対象者は12人が看護師,1人が助産師を希望していた。インタビュー内容は許可を得てMDに録音し,結果から逐語録を作成した。総コード数は1121であった。分析の結果,抽出されたカテゴリーは【生育環境による看護師のイメージ化/非イメージ化】,【看護の積極的選択/消極的選択】,【看護へと傾倒した体験】,【看護職への適性に自信を喪失させた体験】,【教員・臨床指導者・スタッフとの関係】,【自己の振り返り】,【看護専門職と自己価値の統合】,【専門職性の発展】,【迷い・惑い】,【臨床看護職の選択】の10 カテゴリーであった。この結果から看護大学生の専門職社会化のプロセスを構造化し,その特徴について考察した。
  • 吉井 美穂, 八塚 美樹, 安田 智美
    2009 年32 巻1 号 p. 1_125-1_129
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     近年,入院患者におけるペットボトル飲料の利用は増加しており,直接口を付けて飲むいわゆる口飲みが多く行われている。そのため,細菌が混入する確率は高く,免疫力が低下している患者にとっては問題であると考えられる。今回,入院患者のペットボトル保有状況と保存方法の実態を把握し,それに基づいた細菌学的調査を行うことを目的に研究を行なった。結果,飲用頻度は多いものから茶,スポーツ飲料,ミネラルウォーターの順であり,保存方法としては常温保存と冷所保存ともにほぼ同数であった。また,実際に被験者によって口飲みされた飲料水を用いて検証したところ,スポーツ飲料水からは室温,冷所ともにほとんど菌の増殖は認められなかった。茶飲料水では室温保存において時間の経過とともに細菌の増殖が認められ,24時間以降,細菌増殖が著しく測定不能となった。一方,冷所保存では24時間まで平均46CFU/mlと一定菌数を維持していたもののそれ以降抑制されていった。また,ミネラルウォーターにおいても室温保存において経時的な細菌増殖が認められ,冷所保存でも10時間までは細菌増殖が認められたが,それ以降菌数の減少を認めた。
     今回の結果より,スポーツ飲料水からは,保存方法の違いに関係なく細菌増殖が抑制されていることが明らかとなった。しかし,茶およびミネラルウォーターの一度口をつけたペットボトル飲料水からは菌が検出され,保存方法によっては飲料水基準を満たさず,衛生学的に問題であることが示唆された。
  • 小林 宏光, 津幡 美江, 大泉 直子, 表 絵美, 林 悠佳, 森下 道子, 中田 弘子, 川島 和代
    2009 年32 巻1 号 p. 1_131-1_136
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     橈骨動脈の触診によって得られた脈拍数の正確さについて検討した。脈拍数の測定時間は10, 15, 30 および 60秒間であった。被験者は看護学専攻の学部学生25名と臨床経験3年以上の看護師22名,計47名であった。各測定時間における脈拍数は重複する60秒間に測定された心電図より得た心拍数と比較され,その差を測定誤差とした。学生群では,どの測定時間でも実際よりも少なめに脈を数える傾向がみられた。看護師群ではこのような誤差の偏りはみられなかった。各測定時間での測定誤差の平均は,学生群で4.26(10秒), 2.46(15秒), 1.36(30秒), 1.42(60秒)であった。看護師群では2.86(10秒),2.44(15秒),0.97(30秒),0.82(60秒)であった。全体的に看護師群の方が学生群よりも誤差が小さい傾向がみられたが,両群の差は統計的有意とはならなかった。どちらの群でも30秒測定と60秒測定の間には有意差はなく,この結果から30秒測定の有効性が示唆された。
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