日本看護研究学会雑誌
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32 巻, 2 号
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  • -血液透析患者の自己管理における自律性支援認知,動機づけ,有能感の測定-
    山本 佳代子, 奥宮 暁子
    2009 年32 巻2 号 p. 2_13-2_21
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究は自己決定理論ヘルスケアモデル構成概念の測定尺度Health Care Climate Questionnaire,Treatment Self-Regulation Questionnaire,Perceived Competence Scaleの日本語版を作成し,信頼性・妥当性を検証した。日本語版は,血液透析患者用に作成し,調査は透析導入1年以上の患者323名(平均61.3±10.6歳)再テスト199名に行った。内的整合性はCronbachα係数0.74~0.94,再テストの相関係数0.69~0.77で確認した。表面的妥当性は作成に逆翻訳の手法を用い,透析看護・心理学の専門家等の意見を参考にした。患者信頼スケール,ヘルスローカスオブコントロール尺度,食事療法自己効力感尺度との関係を確認し,基準関連妥当性の併存妥当性,構成概念妥当性の収束妥当性,弁別妥当性が認められた。
  • 林 裕栄
    2009 年32 巻2 号 p. 2_23-2_34
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,訪問看護師の精神障害者への援助における困難を明らかにすることである。研究方法は,M-GTAを用いた。研究参加者は,2カ所の訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師9名に対して主にインタビュー調査を行った。調査期間は、2002年11月から2003年8月および2005年8月から10月であった。
     在宅精神障害者の訪問看護の困難は,[契約遂行の困難][在宅での援助の困難][関係者との連携の困難][看護師同士で支え合うことの困難]の四つのカテゴリーで構成された。
     看護師の抱える困難を解消するには,訪問看護師への教育や,利用者,訪問看護師,病院側の三者の合意形成が必要である。そして看護師が継続した,安定的な援助を行うためには,何よりもまず訪問看護制度やケアマネジメントシステムの体系化・明確化が図られる必要がある。これにより初めて訪問看護師が自立した援助を行うことができることになる。
  • 藤野 成美, 山口 扶弥, 岡村 仁
    2009 年32 巻2 号 p. 2_35-2_43
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,長期入院を経験した統合失調症患者の家族介護者が抱える苦悩の具体的内容を明らかにし,家族支援の充実に向けた具体策を構築するための示唆を得ることである。対象者は精神科訪問看護ステーションを利用している統合失調症患者の家族介護者23名である。半構成的面接を実施し質的帰納的に分析した。その結果,「親亡き後の子どもの将来」と「介護者としての自分自身の苦悩」に示された「精神症状に対する対応の困難性」「精神症状の再燃」「経済的負担」「家族介護者自身の体調不良」「副介護者がいないこと」の5つの苦悩の内容が明らかとなった。何よりも子どもの将来を案じるが故に苦悩が連鎖的に生じる胸中が明らかになったことから,介護負担の軽減という観点よりも,むしろ患者が自立して地域で生活できるような人的,物的,経済的,社会的サポートの充実を図るための支援策を講じることの重要性が示唆された。
  • 國方 弘子, 本田 圭子
    2009 年32 巻2 号 p. 2_45-2_53
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     地域で住みながら病の体験を語っている精神障害者当事者グループの自己概念を構成する要素を明らかにし,看護援助を考察することを目的として,修正版Grounded theory approachを用いた質的帰納的研究を行った。結果,精神の病を体験しながら,精神保健について正しい認識を広める活動をしているメンバーの自己概念は,欲求を通して意識された自己であり,『階層からなる欲求をもつ自分』を獲得した《獲得したものをもつ自分》と,『階層からなる欲求をもつ自分』を獲得できない《環境の影響を非常に大きく受ける自分》により構成された。ケア提供者は,メンバーを歴史・時代から大きな影響を受ける社会的存在として捉え,苦しい叫びをそのまま受け止め,体験の中に意味を紡ぎ出すプロセスを支援し,地域とメンバーの橋渡しの役割を強化し,無条件に受け入れる対人関係を構築し,活動の場作りの支援を行う必要性が示唆された。
  • 髙見 三奈, 佐藤 幸子, 塩飽 仁
    2009 年32 巻2 号 p. 2_55-2_63
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究は親の仕事および家庭での役割受容と親役割行動が子どもの評価する家族機能と精神的健康に与える影響を検討することを目的とした。小学5年生から中学3年生の子どもと両親1037組を対象に自記式質問紙調査を行い,パス解析により仮説モデルを検討した結果,以下のことが示唆された。父親と母親が家庭での役割を受容していることは子どもの受容を高め,子どもを受容していることは子どもが評価する家族機能を高め,子どもの精神的健康に寄与していた。また,父親と女子,母親と男子の関係では,家庭での役割受容は子どもへの自信ある親役割行動を高め,子どもが評価する家族機能に影響しており,子どもが評価する家族機能は異性の親からより強い影響を受けていた。思春期の親子を支援する際には,看護者は両親の家庭での役割受容の程度をアセスメントし,父親母親それぞれが子どもと自身の力を信じて子どもを受容できるように支援していくことが重要である。
  • 佐藤 政枝
    2009 年32 巻2 号 p. 2_65-2_74
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
    目的:人工股関節全置換術(THA)後患者のQOLを査定するアセスメント手法の開発に向けて,再置換術に関連する住生活環境要因を探索することである。
    方法:THA後患者104名(再置換あり35名,再置換なし69名)を対象に記名自記式の質問紙調査を行い,再置換術の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析と,手術前後の生活様式をMcNemar検定により検討した。
    結果:再置換術との関連は,大腿骨頭壊死症:疾患(OR=7.3),道具の準備なし:物的環境(OR=7.9),排泄場面の推奨されない生活様式:物的環境(OR=18.8)にみられた。生活様式の手術前後の比較では,再置換なし群の食事・排泄・入浴・就寝・休息場面で,推奨される生活様式が初回THA後に有意に増加した(p<0.001)。
    結論:THA後患者の再置換術のリスクに関連する住生活環境要因として,術前の物的環境の準備状態と手術前後の生活様式のアセスメントが重要であり,これらを踏まえた看護支援の必要性が示唆された。
  • 小倉 能理子, 阿部 テル子, 齋藤 久美子, 石岡 薫, 一戸 とも子, 工藤 せい子, 西沢 義子, 會津 桂子, 安杖 優子, 小林 ...
    2009 年32 巻2 号 p. 2_75-2_83
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     看護職者の患者指導に関する教育的機能を高めるための教育プログラムおよび教育・指導技能評価ツール開発にむけて,その基礎資料を得るために看護職者の患者指導に対する考えと実施の実態を調査した。その結果,看護職者は,患者指導を重要と考えているが実施は十分ではないことが示された。中でも,患者とともに指導を進めること,指導を計画的に行うために事前に調整が必要なことが行動につながっていなかった。指導形態では,指導計画の立案が不十分であることが把握された。それは,学習理論をふくむ教育方法に関する知識・技術が不十分であることが一因と考えられた。以上のことから,現職看護職者の患者指導に関する教育的機能を高めるためには,教育方法の理論・技術に関する基礎知識,教育の基本原理などの項目を看護基礎教育あるいは新人教育プログラムに盛り込む必要があると考えられた。
  • 渡邉 久美, 折山 早苗, 國方 弘子, 岡本 亜紀, 茅原 路代, 菅崎 仁美
    2009 年32 巻2 号 p. 2_85-2_92
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     訪問看護ステーションにおける家族員を含めた精神障害による対応困難事例の実態と,精神障害者との関わりにおける訪問看護師の支援ニーズを明らかにした。A県の訪問看護ステーション116施設を対象とし,48施設から有効回答を得た。対応困難事例の経験の有無を質問紙郵送法にて行い,さらに,協力の得られた6施設10名の訪問看護師から対応困難事例13事例の概略と支援ニーズについて面接を行った。調査時点での対応困難事例は,利用者では14施設(29.2%),家族員では12施設(25.0%)に報告があった。また,訪問看護師には【対象の捉えにくさによる不安】があり,【状況に応じた効果的対応方法を知ること】と【看護行為の保証者の要望】という支援ニーズがあった。具体的な対応法の検討や,訪問看護師の関わりを支持する場として,精神科専門職らによる相談窓口やネットワークの構築が一策であると考える。
  • 布川 真記, 古瀬 みどり
    2009 年32 巻2 号 p. 2_93-2_100
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,外来化学療法中のがん患者が,どのようにセルフケア行動を行い治療を継続しているのかを明らかにすることである。研究対象者は,外来化学療法を行っているstageⅢの消化器がん患者11名である。半構成的面接法による調査を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにて分析した。患者がセルフケア行動を取り治療を継続する過程には,治療に伴う身体変化の自覚,セルフケア行動,健康を判断できる条件,支援者,治療に対する満足感と“家族を守るために長生きしたい”があった。患者が取るセルフケア行動には,体重を自己管理の目安にする,日常生活の規則化,日常生活と治療の折り合いをつける,医師との有効な治療関係の維持があった。患者は,セルフケア行動を行うことによって自分自身の健康が判断できており,満足感を得ていた。そして,治療に対する満足感は,患者のセルフケア行動を後押ししていた。外来化学療法患者がセルフケア行動を取り治療を継続できるよう支援するためには,患者自身が健康を判断できるような指導と治療に対する満足感を高められるような外来サービスの提供が必要であると示唆された。
  • 吉井 忍, 八塚 美樹
    2009 年32 巻2 号 p. 2_101-2_111
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     看護職員のセルフマネジメントの実態を構造化することを目的に,新人・管理職を除く看護職員10名に半構成的面接を行いKJ法にて分析した。看護職員は,【看護職員として働き続けることへの身体的危惧】と【心の内を話せる人の存在・公私のバランス・研修を乗り越えてきた自信】の両面で揺れ,【自分なりに業務に支障がないよう心身両面から備えておこう】【患者と共にいることで実感できる喜びの瞬間が原動力となり,今の自分をつなぎとめている】【チームの一員として,周りの空気を読み,環境を整える】【体調の悪さや感情の起伏を表に出さないで使命を全うしよう】とすることで自分を保っていた。一方,【要求されるものについて行けない自分に澱む】【なかなか到達できない理想とする看護職員像】【やり場のない憤りを覚えている】躊躇している島があった。看護職員のセルフマネジメントのサポートには,医療を取りまく環境の整備の必要性が示唆された。
  • 仁科 祐子, 谷垣 靜子
    2009 年32 巻2 号 p. 2_113-2_121
    発行日: 2009/06/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究は,訪問看護に従事する看護職の,職場での対人葛藤に関連する要因を明らかにすることを目的とした。A県内の訪問看護師182名を対象とし,郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した。調査内容は対人葛藤尺度,アサーション尺度,社会的スキル尺度,職場内サポート尺度,職場外サポート尺度,基本的背景であった。有効回答の得られた145名(平均年齢は43.8±8.0歳)を分析対象とした。重回帰分析の結果,職場内サポートと雇用形態(常勤か非常勤か)が対人葛藤の関連要因であった。すなわち常勤であって職場内サポート認知が低い者ほど,対人葛藤が高いことが明らかとなった。対人葛藤を低減させるためには,まず職場内サポートを充実させることが必要である。
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