日本看護研究学会雑誌
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34 巻 , 1 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • -意欲,自己効力感,自己効力感形成の情報源との関係に焦点をあてて-
    魚尾 淳子, 河野 保子
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_47-1_59
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,リハビリテーションを必要としている脳血管障害患者のADL拡大が意欲,自己効力感とどのように関係しているのかを明らかにすること,そして,ADL拡大や自己効力感を形成していく時にどのような情報源が影響しているか明らかにすることである。脳血管障害患者103名に対して,質問紙調査を行った。その結果,意欲,自己効力感が高い者はADLが高かった。因子分析により,自己効力感は「回復希求」「感情調節」「超越した自我」,自己効力形成の情報源は「成功体験」「他者との関わり体験」「肯定的感情体験」のそれぞれ3因子が抽出された。ADL拡大に対する意欲,自己効力感,自己効力形成の情報源の関係をパス解析した。その結果,患者に「成功体験」が経験できる関わりを多く持たせること,患者が他者からの励ましや説得を受けること,モデリング体験は,ADL拡大や意欲をひきだすには重要であることが示唆された。
  • 松本 泉美
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_61-1_72
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,20~30歳代の喫煙女性のニコチン依存と禁煙の意思との関連を明らかにし,効果的な禁煙支援に活かすことである。20~30歳代の女性の喫煙者および禁煙者を対象として,質的及び量的方法を用い,半構造化面接法によるインタビュー調査を行った。インタビューでは,自身の喫煙による子どもへの受動喫煙と健康影響を心配する女性の姿が表された。喫煙女性の喫煙の意味は,禁煙時に経験した離脱症状を避けるために喫煙を続けており,強いニコチン依存があることにより禁煙が困難であることを表していた。また夫などの周囲の身近な喫煙者のサポート不足が禁煙を困難にしていた。今後の女性喫煙者への効果的な禁煙支援のためには,地域の保健医療関係者が連携して禁煙のサポートシステムの構築を図り,喫煙女性とそのパートナーの双方に対する積極的な介入が望まれる。
  • 橋本 晴美, 神田 清子
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_73-1_83
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,呼吸困難を抱える治療期進行肺がん患者の体験を明らかにし,必要な看護支援を検討することである。呼吸困難を抱える進行期の原発性肺がん患者12名を対象に半構成的面接法によりデータを収集し,質的帰納的分析を行った。その結果,呼吸困難を抱える治療期進行肺がん患者の体験を表す【課せられた活動困難性】【安定した自我の希求】【自己の孤立化】【不確実な未来への脅威】【自己概念の低下】【生きる支えとなるものの喪失】の6概念と概念構成が明らかとなった。また,これらの体験には,呼吸困難ががんという疾患と結び付きより複雑にとらえられていることや,呼吸困難の存在自体が表在化されにくく患者が孤立しやすいなどの特徴があると考えられた。以上より,看護実践への示唆として,個々の呼吸困難体験の理解と安定した自我の再構成に向けた支援,自己効力感を高める支援,ソーシャルサポートの促進が重要であると示唆された。
  • -関東地域一般病床200床以上の病院勤務看護師の縦断研究から-
    荒川 千秋
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_85-1_92
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究では,関東地域一般病床数200床以上を持つ93の病院に勤務する女性の看護師を対象に離職に関与する要因を明らかにするために前向きコホート研究を行った。
     この研究では,ベースライン調査に回答した看護師8,327名のうち,6ヶ月後に行った追跡調査では59の病院の看護部長からの協力がえられ,5,387名の回答が得られた。このうち,看護師として就業している者,夜間勤務をしている者,病棟勤務をしている者の3つの条件を満たす3,756名ののうち,離職したかどうかかが不明な76名を除き,3,602名を解析の対象とし,ロジスティック回帰分析を行った結果,離職の頻度は,夜間勤務が1回/1ヶ月増えるごとに1.175倍(オッズ比1.175,95%信頼区間1.070-1.290)となり,子供のいない看護師よりいる看護師が0.587倍(オッズ比0.587,95%信頼区間0.346-0.995),VASでの夜間勤務時の忙しさが1ポイント増えると0.989倍(オッズ比0.989,95%信頼区間0.980-0.997),経験年数が1年増えるごとに0.954倍(オッズ比0.954,95%信頼区間0.920-0.989),健康関連QOLの活力(Vitality)が1ポイント増えるごとに0.989倍(オッズ比0.989,95%信頼区間0.980-0.997)となった。これらの結果より,看護師の離職予防のために,看護師の1ヶ月当たりの夜間勤務の回数を減らす方策の検討の必要性が示唆された。
  • -模擬患者とのコミュニケーション場面を通して-
    髙林 範子, 村上 生美
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_93-1_100
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,看護学生の感受性および非言語メッセージと患者満足度との関係を明確にすることである。同意の得られたA大学看護学科女子学生29名を対象に,ノンバーバルスキル尺度による感受性の測定と,模擬患者とのコミュニケーション場面から,患者満足度につながる看護学生の身体動作(頷き,凝視,表情,身振り,姿勢),空間行動(対人距離)を測定した。その結果,学生のノンバーバル感受性の自己評定は他者評定より有意に低いことが分かった。このことから,看護学生のコミュニケーションに対する目標の高さ,謙遜的姿勢が推測された。ノンバーバル感受性の自己評定に加え,他者評定などを取り入れた総合的評定の必要性が示唆された。看護学生の行動特性を捉えると,患者満足度が高い場合,学生の微笑みが多く対人距離が近いことが分かった。また,対人距離が感受性に影響を及ぼす因子の1つであることが推察された。
  • 安藤 満代, 谷 多江子, 小笠原 映子
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_101-1_106
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究は,精神障害者のスピリチュアリティ,気分,および患者にとっての病気の意味について調べた。入院中の患者13名が1回約60分の面接に参加した。面接者は精神看護学の教員だった。患者は,スピリチュアリティを測定するためのFACIT-Spと気分を測定するためのPOMSに回答し,「病気の意味」について語った。内容分析のためにFACIT-Spの得点によって患者を高低群に分けた。気分については,標準と比較して「抑うつ感」が高く,「活力」が低かった。FACIT-Sp高群からは「病気への肯定的認知と人生の受容」「満足感のある生活」「病気の原因探索と対応」「過去の振り返り」が,FACIT-Sp低群からは「家族への負担感」「病気のつらい症状や治療」「社会的な不利」「人生の再構築」が抽出された。これより,スピリチュアリティが低い患者に対してはスピリチュアリティ向上のための介入が必要かもしれない。
  • 羽畑 正孝, 鈴木 ひとみ, 畑下 博世
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_107-1_115
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,溺水による低酸素性脳症となった児の母親の入院から現在までの闘病過程とその心理的プロセスを明らかにすることである。本研究に同意を得た溺水による低酸素性脳症児の母親4名を対象に半構成的インタビューを実施した。インタビュー内容は,児の出来事から現在の生活までの母親の児に対する思いという視点から質的に分析した。その結果,母親の心理として【突然の出来事による混沌とした状況】 【病状回復への願望】 【自分しか守ってあげられない】 【児とともに過ごす生活への葛藤】 【生活の再構築の可能性にかける】 【自責の念】の6つのカテゴリーが抽出された。このことから,看護者は,母親に対して児の病状回復への願望をもち続けている思いを尊重しながら関わり,出来事のしこりを持ち続けている母親の心理サポートを充実させていく必要があると考えられた。
  • 藤井 千里, 赤間 明子, 大竹 まり子, 鈴木 育子, 細谷 たき子, 小林 淳子, 佐藤 千史, 叶谷 由佳
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_117-1_130
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,訪問看護ステーションの収益と管理者の経営能力との関連を明らかにすることである。全国のステーション管理者を対象に質問紙調査を行い,有効回答数64ヶ所のデータを集計分析した。
     その結果,次のことが明らかとなった。管理者が収支を予測したり,経営戦略の策定,経理・財務を理解している割合や他職種にステーションの過去の実績を示す,利用者獲得に向けた活動の評価について実施している割合が低かった。一方,従事者数や利用者数が中央値より多い,管理者が経営学を学んでいる,経営戦略や経営計画を策定し,採算性の評価をしている,必要な情報を収集・分析し,有効に活用しているステーションは,有意に収益が高かった。
     以上より,ステーションの経営の安定化には,計画に基づいた事業の実施とその評価,利用者だけではなく,医師や介護支援専門員等の専門職を顧客と位置づけて営業活動を実施していくことの重要性が示唆された。
  • 新野 峰子
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_131-1_135
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究では,汚物室の臭気の原因となっている使用後紙おむつの消臭方法に,生ゴミなどの消臭に使用されている発酵資財 Effective Micro-organisms(EM)を使用し効果を検討した。
     材料は,療養病棟に入所する30名の患者から提供を受け,同じ患者の尿と便を一定量に分け被験者内比較した。対照群と,EMの液状とペレット状,米糠を使用した実験群を,無作為割り付けし実験を行った。
     効果の判定は,6段階臭気強度表示・9段階快不快表示と臭気測定器による測定値,ガス検知管によるアンモニアガス濃度測定値で行い,以下のことが明らかになった。
     使用後紙おむつからは臭気物質として,アンモニアガスが発生しており,発酵資財(EM)は,消臭効果がある。
  • -A県の実態調査より-
    守田 恵理子, 太田 勝正
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_137-1_147
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究は,医療施設における看護退院サマリー(以下サマリー)による他施設への情報提供の実態,サマリー記載時の意識調査から,看護師が患者情報を他施設へ提供する時にどのようにプライバシーへの配慮をしているか明らかにし,今後の情報提供のあり方の検討をすることを目的とした。結果,看護管理者52名,病棟看護師995名から質問紙の回答が得られた。個人情報取扱いに関する掲示を行っている病院は88.5%だった。サマリーに含まれている18項目を提示し,サマリーに記載する情報の詳細さとプライバシーへの配慮の必要性について4段階で回答を求めたところ,記載する情報の詳細さとプライバシーへの配慮には,全ての項目間に有意な正の弱い相関が認められた。サマリー送付時に,「サマリーを提示している」と回答したものは8.1%で,「同意を得ている」と回答したものは17.6%だった。今後サマリー送付時の内容の提示,同意の取得について検討の必要がある。
  • 長山 有香理, 白尾 久美子, 野澤 明子
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_149-1_159
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的はICUへ配置転換した看護師が直面する困難を具体的かつ経時的に明確にすることである。ICUへ配置転換し1ヶ月5名,2ヶ月5名,3ヶ月5名,6ヶ月3名の対象者に面接調査を実施した。その結果,配置転換者は異動後【知識・技術の獲得】, 【報告】, 【状況のアセスメント】, 【緊急時の対処】, 【患者・家族の対応】, 【経験年数による重圧】という困難に直面していた。【知識・技術の獲得】,【報告】は,異動後3ヶ月を経過する時期までにほとんどが出現した。【状況のアセスメント】,【緊急時の対処】,【患者・家族の対応】,【経験年数による重圧】は,異動後の経過時期の影響をほとんど受けなかった。配置転換した看護師が直面する経過時期に応じた困難の支援を提供することが重要である。
  • 立野 淳子, 山勢 博彰, 山勢 善江
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_161-1_170
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     【目的】国内外における遺族研究の動向を確認すること及び,遺族の身体的・精神的健康状態と影響要因,遺族ケアに関する研究成果を整理し,遺族研究の課題を明らかにすること。【方法】過去20年の国内外における遺族研究に関する文献を,「悲嘆」,「精神健康」,「遺族ケア」などのキーワードを組み合わせて検索を行った。【結果・考察】文献数は増加傾向にあり,国内外と問わず遺族研究が関心の高いテーマであることが確認できた。遺族の身体的・精神的健康状態に影響する要因には,遺族の性別や年齢の他に,故人の死に対する認識やソーシャルサポート,喪失への対処パターンなどがあった。遺族ケアについては,国外において悲嘆反応の緩和や複雑性悲嘆の治療に効果を示す研究データがあったが,国内では,実践報告や事例研究に留まっていた。今後は,遺族の身体的・精神的健康状態に影響する要因及び遺族ケアについて多角的な視点から検証することが課題である。
  • 武内 奈緒子, 村嶋 幸代
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_171-1_179
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     透析患者の特性・信念およびセルフケアの1年後の変化について追跡調査を行った。二度の調査に回答した透析歴3年以上の透析患者51名をbaselineとfollow-upのセルフケア度の得点から「全体維持群(n=22)」,「生活低下群(n=11)」,「食事低下群(n=8)」,「全体低下群(n=10)」に群分けし,事例検討も行った。全体維持群はbaselineのセルフケアの得点が最も低く,ソーシャルサポートの得点がbaselineもfollow-upも高かった。食事低下群は,生活の得点は上昇したが,食事とJHLCの家族の得点が低下した。事例検討からは,JIBTの自己期待がセルフケアの改善に関連していることが推測された。透析患者の特性・信念とセルフケアには変化がみられ,セルフケア度を維持もしくは改善のためには,ソーシャルサポートや家族の支援,患者の自己期待を高めることが重要な要素であると考えられた。
  • 金子 史代
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_181-1_189
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     看護師が認識する療養している高齢者のセルフケアとセルフケアに関連する要因を明らかにすることを目的に,高齢者の看護経験者4人による5回のディスカッションの逐語録をKJ法により質的に分析した。看護師は高齢者のセルフケアを【自分で行う積極的な役割と人に任せる主体的な役割がとれている】という自律的な行為と,【生活者として自分が満足できる生活を送ろうと努力している】生活者としての努力であると認識していた。そして,このセルフケアに関連する要因には,高齢者の内面的要因として【気力と生きる張りあい】,高齢者の心身両面から生活を支える【家族と身近な人の支援】があり,これらは高齢者の【責任と誇り】, 【社会への参加】と関係し高齢者のセルフケアを維持すると関連づけていた。これらの看護師の認識は,高齢者がセルフケアへ前向きな意識を持ち続けられるように,今までの生活において学習してきたやり方の継続を通して高齢者の努力を支え,高齢者が自己と他者への寛容さをもってセルフケアを維持していけるように支援していくことの重要性を意味している。
  • 谷田 恵子, 楊箸 隆哉, 本田 智子, 柴田 真志
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1_191-1_198
    発行日: 2011/04/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究では,睡眠時の心拍変動(HRV)データを1分と5分間区分でMemCalc法により周波数解析してHRV指標を求め,PSGで判定した各睡眠段階におけるHRV指標についてそれぞれ比較検討した。20~44歳の女性8名から得られた16夜分のPSGおよびHRVデータを解析した。HRV解析は,超低周波数高領域(0.016~0.04Hz:VLF-hi),低周波数(0.04~0.15Hz:LF),高周波数(0.15~0.4Hz:HF)の各帯域のパワースペクトル値を算出した。LF/HF,HF/(LF+HF),HF/(VLF-hi+LF+HF),VLF-hiの4つの指標において,1分と5分間区分解析共に,REM睡眠,浅睡眠,深睡眠の各睡眠段階間に有意な差が認められた。これまでHRV周波数解析指標の算出は5分間区分が主であったが,睡眠段階の推定にはPSGの1エポック20~30秒により近似する1分間区分解析結果を用いる方が有用である可能性が示唆された。
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