結腸がんによって手術を受けて退院した患者の,初回外来受診までの回復過程における体験を明らかにすることを目的とした。結腸切除術を受けた患者10名を対象とし,心配なこと,術前と変化したこと等について初回外来受診時に半構成的面接を行い,質的帰納的に分析した。結果として,[がんとの向き合い方の模索][絶え間ない傷への警戒][期限つきの食事への気づかい][確実な排便への努力][疲労を指標とした回復の実感][病院からの自立と支援][心づかいの実感]の7つのカテゴリーを抽出した。
再発・転移の可能性は患者を脅かすが,再びがんにならないための努力の原動力となっていた。[期限つきの食事への気づかい]による[確実な排便への努力]は結腸がん患者に特徴的な体験だと推察された。傷の痛みと疲労感は,退院後も十分に解消されていなかった。患者に対する支援に向けて,食事・排便・イレウス間の関係を明らかにすることが課題である。
抄録全体を表示