日本看護研究学会雑誌
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36 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 小笠 美春, 當目 雅代, 竹下 裕子
    2013 年 36 巻 5 号 p. 5_1-5_12
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     目的:本研究は,全身麻酔で手術を受ける患者に対して「待機手術患者用心配事アセスメントツール(ESWAT)」の開発と,信頼性と妥当性の検討を目的とする。
     方法:ESWATの質問項目は,待機手術患者への質的研究と外科系看護師への質問紙調査の結果,および手術に対する不安・心配に関する文献レビューにより抽出した。そして,内容妥当性が確認された36項目で構成される「ESWAT試作版」を用いて,質問紙調査を実施した。対象者は研究の同意を得た192名であった。
     結果:探索的因子分析と確証的因子分析の結果,ESWATは『手術に対する心配』を高次因子とした20項目5因子の2次因子構造モデルで妥当な適合度が確認された。また,ESWATのCronbach’s α係数は .967で内的一貫性が確認された。さらに,ESWATの基準関連妥当性はHADSとSF-8とで検討し,HADS不安得点で有意な相関が確認された。
     結論:ESWATは信頼性と妥当性が確認され,待機手術患者の準備教育へのニーズアセスメントおよび看護介入の評価尺度として活用できる。
  • 石飛 マリコ, 越田 美穂子, 尾形 由起子
    2013 年 36 巻 5 号 p. 5_13-5_24
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究は,高齢な親と同居している男性統合失調症患者が「自立」に向かうプロセスを明らかにすることを目的とした。男性統合失調症患者7名に半構成的面接を行い,M-GTAを用いた分析の結果,【頼みの綱は親の支え】【親のかかわり変化の気づき】【ケアされる側からケアする側への行きつ戻りつの逆転】【親への依存と自立の混在からの葛藤】【つきまとう病の存在】【気負わない親子関係】【社会のなかの居場所の獲得】【親が他界することへの前準備】の8つのカテゴリーが生成された。【親のかかわり変化の気づき】【ケアされる側からケアする側への行きつ戻りつの逆転】【社会のなかの居場所の獲得】が「自立」に影響していた。
     男性統合失調症患者と親との立場の逆転が生じていることを肯定的に受け止め,自信や意欲の向上につなげること,社会から孤立しコミュニケーションが乏しく,ストレス対処方略が少ない男性統合失調症患者の特徴を踏まえた支援が必要である。
  • 吉田 えり, 山田 和子, 芝瀧 ひろみ, 森岡 郁晴
    2013 年 36 巻 5 号 p. 5_25-5_33
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     目的:看護師のSOCとストレス反応との関連,さらにストレス反応に影響する要因との関連を検討した。
     方法:病院に勤務する女性看護師463名に,無記名自記式質問紙法でSOC,「職業性ストレス簡易調査票」,ストレス対処特性,属性を尋ねた。SOCとストレス反応,ストレス反応に影響を与える要因との関連性は年齢を制御変数とした偏相関係数で検討した。さらに,目的変数をストレス反応とし,説明変数をSOC,ストレス反応に影響する19項目,年齢,役職の有無とした重回帰分析で,SOCとストレス反応の関連を検討した。
     結果:SOCはストレス反応,ストレス反応に影響する要因と有意に関連していた。さらにSOCは,ストレス反応に影響する要因,年齢と役職の有無で補正しても,ストレス反応と有意に関連していた。
     考察:看護師のSOCは,ストレス反応に影響する要因とは独立してストレス反応を少なくする要因の一つと考えられた。
  • 高橋 方子, 布施 淳子
    2013 年 36 巻 5 号 p. 5_35-5_47
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     目的:訪問看護師が在宅療養高齢者の意思に添う終末期医療の提供ができたと判断した事例から,終末期医療の意思把握に必要な情報を明らかにすることを目的とした。
     方法:訪問看護師5名を対象に非構造化面接を行い逐語録を作成し,質的記述的研究方法を用いて意思把握に必要な情報を抽出した。さらに,抽出された情報とLambertらによる終末期医療の意思決定の根拠となるバリューズヒストリーの内容との類似性を検討した。
     結果:意思把握に必要な情報として[生き方][意思決定][宗教・葬式][健康][余命][介護費用][医療・ケアチームとの関係][終末期医療に対する意思]の8カテゴリーが抽出され,この抽出された情報の多くは一部を除きバリューズヒストリーの内容と類似していた。
     結論:わが国においても米国と同様に終末期医療に対する意思把握には,バリューズヒストリーで指摘されたようなその人の特徴や考え方を表す意思決定の根拠となる情報が必要であることが示唆された。
  • 三林 聖司, 山田 紀代美
    2013 年 36 巻 5 号 p. 5_49-5_55
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究は,認知症高齢者の転倒予防対策構築の示唆を得るため,精神科病院認知症専門病棟に入院中の認知症高齢者40名の過去6か月間の転倒経験とBPSDとの関連を検討した。本研究対象者の約4割が過去6か月間の転倒経験をもち,BPSDを有している者は全体の85%,BPSDの平均出現個数は1.8±1.3個だった。BPSDと過去6か月間の転倒経験との関連を検討した結果,不眠を有する者は過去6か月間の転倒経験の保有割合が多かった。さらに,不眠と徘徊の2要因と過去6か月間の転倒経験との関連を検討した結果,不眠あり&徘徊あり群は不眠なし&徘徊なし群の約3倍の転倒経験保有割合があり,転倒経験の保有に対する不眠と徘徊の相乗効果が認められた。このことから,認知症高齢者の転倒予防のためには不眠の症状に対する看護介入構築の必要性が示唆された。
  • 小林 順子, 山本 美紀, 休波 茂子
    2013 年 36 巻 5 号 p. 5_57-5_66
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,インシデントやアクシデントを経験した看護職者の安全学習に関連する要因を明らかにすることである。北海道内の総合病院に勤務する看護職者に無記名自記式質問紙調査を行った。対象者に最も印象に残るインシデント/アクシデント経験を想起したうえで回答を求め,安全学習と組織の特性(職場内のかかわり,職場の取り組み,報告システム,所属部署における医療事故に関する勉強会頻度,組織属性),個人の特性(Locusof Control),インシデント/アクシデント経験との関連について検討した。分析対象は,有効回答が得られた297名(平均年齢34.3±8.9歳)とした。重回帰分析の結果,組織特性の看護師長・スタッフからの再発防止の具体的アドバイス,職場における再発防止の話し合いが安全学習の関連要因として認められた。以上のことから,安全学習を高めるには他者とのかかわりが重要であり,当事者とのかかわりについて組織的に取り組む必要が示唆された。
  • ─実践者・研究者の立場から
    小川 正子
    2013 年 36 巻 5 号 p. 5_67-5_76
    発行日: 2013/12/01
    公開日: 2016/03/05
    ジャーナル フリー
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