日本看護研究学会雑誌
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38 巻, 2 号
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  • 大村 光代, 山下 香枝子, 西川 浩昭
    2015 年 38 巻 2 号 p. 2_1-2_12
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2016/01/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,特養での看取りの看護実践能力の因子構造を明らかにし,その構成概念妥当性と関連要因を統計学的に検証することである。A県内の看取りを実践している特養に勤務する看取り経験のある看護職396名を対象に,自記式質問紙郵送法を実施した。分析方法は,特養での看取りの看護実践能力の探索的因子分析を実施した。抽出された因子の構成概念妥当性は,共分散構造分析による検証的因子分析により確認した。その結果,154人(有効回答率97%)から回答を得た。探索的因子分析の結果【看取り後の振り返り】【入居者本意に沿った医療管理】【安寧な臨終に向かう協働】【予測準備的マネジメント】【その人らしい最期へのケア】という5因子21項目が抽出された。構造方程式モデリングによる検証的因子分析の適合度はほぼ許容範囲を示し,特養での看取りの看護実践能力尺度の構成概念妥当性は確認された。
  • 田中 聡美, 布施 淳子
    2015 年 38 巻 2 号 p. 2_13-2_22
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2016/01/12
    ジャーナル フリー
    本研究は全国の200床以上の病院に勤務する看護師を対象として,看護師の転職観の因子構造モデルを検証することを目的とした。調査は郵送法による自記式質問紙を用いた調査を実施し,同意の得られた1,733名のうち1,213名の有効回答を分析の対象とした。その結果,探索的因子分析より【自己実現の可能性】13項目,【現職場における労働環境の多忙化】7項目,【仕事と生活の両立の手段】3項目,【経験知喪失への不安】5項目の4因子28項目が抽出された。各因子のCronbachのα 係数は .77から .91を示し,高い内的整合性が確認された。確認的因子分析の結果,適合度指標はGFI= .923,AGFI= .908,CFI= .923,RMSEA= .048であり因子構造の妥当性が支持された。
  • 髙柳 智子
    2015 年 38 巻 2 号 p. 2_23-2_32
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2016/01/12
    ジャーナル フリー
    目的:回復期リハビリテーション病棟での脳血管疾患患者のベッド・車椅子間移乗における見守り解除の意思決定方法の実態とそれに対する看護師のとらえ方を明らかにすることである。方法:全国の回復期リハビリテーション病棟の病棟看護管理者とリーダー業務を担う看護師に質問紙調査を行った。
    結果:病棟看護管理者431名と病棟看護師1,233名から有効回答を得た。意思決定方法の最多は,「看護職を含む多職種合同カンファレンスで検討して決定する」であった。脳血管疾患患者の移乗時見守り解除の判断に困難を「やや感じる」を選択した看護師は47.7%と最も多かった。困難度別の理由をテキストマイニング技法で分析した結果,多職種協働チームでの意思決定や見守り解除に伴う転倒を示すクラスターが抽出された。
    結論:リハビリテーション看護実践では多職種協働チームでの合意形成が重要であることが示唆された。
  • 宮本 由香里, 塚崎 恵子
    2015 年 38 巻 2 号 p. 2_33-2_42
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2016/01/12
    ジャーナル フリー
    目的:病棟看護師が在宅療養生活に即した退院支援ができることを目指して,デジタルストーリーテリング(DST)を活用した介入を行い,その効果を評価した。方法:DSTを活用して,4事例の在宅療養生活の映像作品を制作した。実験群(病棟看護師54名)は映像を見て語りあいパンフレットを読み,対照群(病棟看護師42名)にはパンフレットのみの介入を行った。介入前後に在宅療養生活のイメージに関する自記式質問紙調査を行い,介入の効果を比較分析した。
    結果:介入後の在宅療養生活のイメージは,実験群も対照群も同様に有意に変化していた。一方,介入後の感想として,対照群は在宅看護に関する知識をあげていたが,実験群は継続看護の必要性と,患者家族への今後の具体的な支援方法をあげていた。
    結論:DSTを活用した介入により,パンフレットと異なるイメージの変化は明らかにならなかったが,実験群の病棟看護師は在宅療養生活の具体的な支援方法を理解していた。
  • 末益 友佳子, 門間 晶子
    2015 年 38 巻 2 号 p. 2_43-2_55
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2016/01/12
    ジャーナル フリー
    本研究は在宅で生活するALS患者の主介護者の介護肯定感の構造と特徴および介護肯定感に関連する要因を明らかにすることを目的とした。在宅ALS患者の主介護者を対象に質問紙調査を実施した。233名に配布し有効回答数93名を分析対象とした。因子分析の結果【介護状況への満足感】【自己成長感】【介護継続意志】の3因子が抽出された。重回帰分析の結果,患者が自力で移動できない,介護役割の積極的受容と公的支援追求の対処行動をとる介護者は【介護状況への満足感】が高く,ペース配分,介護役割の積極的受容,公的支援追求の対処行動をとる介護者は【自己成長感】が高く,自力で移動ができない,患者との現在の関係がよい,介護役割の積極的受容,公的支援追求の対処行動をとる介護者は【介護継続意志】が高かった。今後のALS患者の介護者への支援には,患者と介護者の関係に配慮し,介護者がさまざまな困難に対処していく力を支援していく重要性が示唆された
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