日本看護研究学会雑誌
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39 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • ─ 信頼性および妥当性の検証 ─
    大村 光代, 山下 香枝子
    2016 年 39 巻 1 号 p. 1_1-1_7
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/12/02
    ジャーナル フリー
    目的:特養での看取りの看護実践能力尺度の信頼性および妥当性を統計学的に検証し,実用性を検討した。
    方法:特養の看取り経験のある看護職298人を分析対象とし,開発した尺度の検証的因子分析と,既存尺度との相関分析を行った。
    結果:開発した尺度のCronbach’s α係数の平均値は .848であり,内的一貫性が確認された。検証的因子分析では,許容範囲を示す適合度が確認された。開発した尺度と2つの既存尺度とは,高い水準で有意な相関が認められた。
    結論:特養での看取りの看護実践能力尺度は5因子21項目で構成されており,信頼性および構成概念妥当性,基準関連妥当性,収束的妥当性を備えていた。また,多様な高齢者施設への汎用性が示唆された。
  • ─ 信頼性・妥当性の検討 ─
    上田 伊佐子, 雄西 智恵美
    2016 年 39 巻 1 号 p. 1_9-1_17
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/12/02
    ジャーナル フリー
     本研究の目的はがんサバイバーの心理的適応を測定する尺度(The Scale on Psychological Adjustment of Cancer Survivors:PACS)を開発し,信頼性,妥当性を検討することである。概念分析とがんエキスパートによる内容的妥当性の検討,予備調査により74項目の原案を作成し,がんサバイバーに調査した。有効回答238を分析した結果,18項目4因子【がんとともに生きる自分を受け入れている】【成長した自分がいる】【自分を取り戻している】【うまくやれないでいる】の尺度が作成できた。Cronbach’s α は .87と内的整合性を示し,再テストによる安定性,基準関連妥当性,検証的因子分析による構成概念妥当性も確認できた。以上,PACSは一定の信頼性と妥当性を確保しており,今後,臨床の活用でがんサバイバーの心理的適応を測定する有用な尺度になり得ることが示唆された。
  • 小檜山 敦子, 鈴木 英子, 髙山 裕子
    2016 年 39 巻 1 号 p. 1_19-1_31
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/12/02
    ジャーナル フリー
    目的:産褥3日目に貧血と診断された褥婦の1か月後の貧血非改善の要因を明らかにする。
    方法:産褥3日目に貧血だった褥婦のうち1か月健診時に採血した246人を対象とし,後ろ向き縦断研究を行った。産褥1か月の貧血非改善の有無に対する個人属性,貧血に関する情報,栄養指導内容の遵守,家族形態・支援者,自己管理能力の影響を分析した。
    結果:有効回答211人のうち貧血非改善者は45人(21.3%)で,1/5が改善されなかった。多重ロジスティック回帰解析の結果,貧血非改善リスクとして,自己管理スキル尺度の合計得点が1点下降するごとに貧血非改善率は2.5倍(p< .01),非妊時に朝・昼・夕のいずれかを欠食していると279.5倍(p< .01)と強く影響していた。
    結論:自己管理能力が低いと貧血非改善の可能性が明らかとなり,妊娠前の欠食は産後の貧血非改善の可能性が高いため,これらを踏まえた指導が必要である。
  • 小田 沙矢香, 川島 和代
    2016 年 39 巻 1 号 p. 1_33-1_42
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/12/02
    ジャーナル フリー
     看護師の認知症高齢者への共感の程度とそれに関連する要因を明らかにするため,急性期一般病棟において看護師1,064名を対象に自記式質問紙調査を行った。回収率は70.7%であった。対象者の平均経験年数は10.8±9.2年であった。EESRの結果は,共有経験得点が平均値32.55(9.95),共有不全経験得点は平均値31.45(10.25)であった。共感に関連した要因は,認知症高齢者と自分とのかかわりを振り返ること,認知症高齢者の身体面や社会面のアセスメントの仕方,認知症高齢者とのコミュニケーションの得手不得手,認知症高齢者の看護を行ううえでの医療従事者間のチームワークであった。EESRと個人の特性や物理的環境とは有意な関連が認められなかったことから,共感に関連する要因は,看護の経験や学習のなかで培われた能力,職場の人的環境のように,意識することで変えられるものであることが明らかとなった。
  • 山田 紀代美, 西田 公昭
    2016 年 39 巻 1 号 p. 1_43-1_51
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/12/02
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,地域在住高齢者の聞こえの自己評価と純音聴力閾値の左右差および語音了解閾値の関係を検討することである。
    方法:介護予防事業参加高齢者35人に,アンケート調査,純音聴力閾値検査と語音了解閾値検査を実施した。
    結果:以下のとおりであった。
    1.純音聴力閾値の平均値は,良聴耳28.3±13.9dB,不良聴耳37.4±21.2dBであった。
    2.聞こえの自己評価別の純音聴力閾値の平均値は,両耳ともに「悪いと思わない」と「たまに思う」間では有意差がみられなかった。
    3.純音聴力閾値と語音了解閾値の相関係数は,良聴耳おいてr = .718~ .975(p<.01),不良聴耳ではr = .648(p<.05)~ .745(p<.01)であった。
    4.高齢者の聞こえの自己評価は,良聴耳に不良聴耳の純音聴力閾値もあわせて分析することで,妥当性が高まる可能性があった。
  • 吉良 いずみ
    2016 年 39 巻 1 号 p. 1_53-1_59
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/12/02
    ジャーナル フリー
    目的:成人女性における便秘薬内服の有無による便秘症状とQOLを比較する。
    方法:Constipation Assessment Scale(CAS)5点以上の成人女性で,便秘薬の使用者60名(薬剤あり群)と非使用者60名(薬剤なし群)を対象とした。調査期間は2週間で排便状態,CAS,Constipation QOL15(CQ 15),SF36を測定した。
    結果:薬剤あり群39名,薬剤なし群50名の計89名を分析対象とした(回収率89.2%,有効回答率83.2%)。排便状態に有意差はなかった。薬剤あり群ではCQ15の合計と下位尺度の身体的側面(p = .033),精神的側面(p = .001),SF36の下位尺度の活力(p = .021)と心の健康(p = .008)でQOLが有意に低かった。
    結論:薬剤あり群は薬剤なし群に比較して便秘症状に差はなく,便秘に関するQOLと一般健康状態が有意に低かった。
  • 坂梨 左織, 田島 康子, 青木 芳恵, 宗正 みゆき, 吉川 千鶴子, 原田 広枝
    2016 年 39 巻 1 号 p. 1_61-1_70
    発行日: 2016/04/20
    公開日: 2016/12/02
    ジャーナル フリー
    目的:学士課程における血圧測定に関する教育プログラム開発に向けて,看護基礎教育における教育上の課題を明らかにすることを目的とした。
    方法:新人看護師4名を対象としてグループインタビューによってデータ収集を行い,質的帰納的に分析した。
    結果:課題として,〈血圧に関する生体機能の理解〉〈バイタルサイン測定の目的の理解〉〈血圧測定方法の基本的原理の理解〉〈血圧測定に関する科学的判断に基づく援助〉〈血圧測定を受ける患者の心情に配慮したかかわり方〉〈血圧測定時に患者に触れることの意味の理解〉〈電子血圧計の原理と特性の理解〉の7つが明らかになった。
    結論:血圧測定に関する知識・技術を1~2年次だけでなく,3~4年次の臨地実習前および卒業前に再度学習し評価する新たな教育方法の必要性やリフレクションの有用性が示され,教育プログラム開発に貢献できる可能性が示唆された。
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