日本看護研究学会雑誌
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40 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 大﨏 美樹, 佐々木 由紀, 谷村 千華
    2017 年 40 巻 2 号 p. 2_113-2_118
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/08/30
    [早期公開] 公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,介護が必要な状態となり,被介護者が介護者に対して負担をかけていると感じること(Self-Perceived Burden:SPB)について,終末期がん患者の家族介護者へのSPBの内容を明らかにすることである。入院前に自宅において家族から介護を必要とした緩和ケア病棟入院中の終末期がん患者11名に半構成的面接法を実施し,分析には内容分析を用いた。終末期がん患者のSPBの内容として,【一方的に負担をかけお返しできない申し訳なさ】【自分の活動や役割を補わせ負担をかける申し訳なさ】【家族の生活に支障をきたす申し訳なさ】【がんの進行に伴い死を見据えた負担増加への申し訳なさ】【疲労させてしまうという心配】【最後は家族のために責任を果たしたいという苦悩】が導き出された。本研究結果は,終末期がん患者の視点に立脚したSPBの理解を深め,終末期がん患者への看護支援の一助になると考える。

  • 吉岡 瑞季, 森本 美智子
    2017 年 40 巻 2 号 p. 2_119-2_130
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/08/30
    [早期公開] 公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    目的:自己管理(認知的)スキルに着目した身体活動自己管理能力尺度を開発し,尺度の有用性を検討する。
    方法:A大学の学生を対象とした。項目分析,探索的因子分析,確証的因子分析を用いて因子モデルを構築し,信頼性,妥当性の検討を行った。一般的自己管理能力,身体活動との関連性から有用性を検討した。
    結果:分析の結果,4因子11項目モデルが構築された(GFI = .955,AGFI = .926,RMSEA = .038)。尺度のCronbach’s α 係数は .865で,運動の継続期間で尺度得点に有意差を認めた。一般的自己管理能力よりも身体活動自己管理能力が,運動の継続期間と関連性を有していることが示された(β = .319,p< .01)。
    結論:尺度の構成概念妥当性および外的基準による妥当性,信頼性が確認され,身体活動自己管理能力は一般的自己管理能力よりも運動の継続期間に説明力をもつことが示され,有用性が示唆された。

  • ─ 大学附属病院に就職後6か月目と1年目の比較 ─
    山口 大輔, 浅川 和美, 栁澤 節子, 小林 千世, 上原 文恵, 松永 保子
    2017 年 40 巻 2 号 p. 2_131-2_140
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/08/30
    [早期公開] 公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    新卒看護師が受けている,師長・副師長,先輩,同期からの支援と,看護実践能力との関連を明らかにすることを目的に,大学病院に勤務する看護師141名を対象として,入職6か月目と1年目に無記名自記式質問紙調査を行った。その結果,入職6か月目は,同期からの「内省支援」と看護実践能力の間に正の弱い相関がみられた。入職1年目は,同期からの「業務支援」との間に比較的強い正の相関がみられ,「内省支援」「精神支援」との間に弱い正の相関がみられた。また,師長・副師長と先輩からの「精神的支援」との間に弱い正の相関がみられた。同期同士で,病棟で経験したことや考えたことを説明し,相談しあうといった支援が看護実践能力を高める最も重要な要因であった。また,師長・副師長や先輩から精神支援が得られると思えることは,自分が職場のなかで受け入れられているという実感をもち,看護実践能力の習得を促進させる要因となることが示唆された。

  • ─ Rodgersの概念分析法を用いて ─
    黒田 寿美恵, 船橋 眞子, 中垣 和子
    2017 年 40 巻 2 号 p. 2_141-2_150
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/08/30
    [早期公開] 公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    目的:看護学分野における「その人らしさ」の概念を明らかにし,その人らしく生きることを支える援助への活用可能性を検討する。
    方法:『医中誌Web版(ver.5)』を用いて検索語「その人らしさ」で文献を抽出し,Rodgersの概念分析の手法を用いて分析した。
    結果:「その人らしさ」は「内在化された個人の根幹となる性質で,他とは違う個人の独自性をもち,終始一貫している個人本来の姿,他者が認識する人物像であり,人間としての尊厳が守られた状態」と定義された。
    結論:「その人らしさ」の概念に対する看護師の理解が深化することで,その人らしく生を全うできるための援助の実現可能性が高まる。「その人らしさ」を尊重した看護を行う際には患者の身体状況に考慮する必要があるため,看護師の職責が十分に発揮されることが重要である。また,「その人らしさ」の帰結は看護師がケアの場で「その人らしさ」をとらえる方法と同一と考えられた。

  • 青栁 寿弥, 竹内 登美子
    2017 年 40 巻 2 号 p. 2_151-2_161
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/08/30
    [早期公開] 公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    病院で働く看護師が抱く認知症患者の対応困難な現状を踏まえ,本研究は,一般病院で働く看護師を対象として,教育内容の質が確保された「認知症高齢者のコミュニケーション法」のe-learning教材を開発することを目的とした。開発した教材は,動画やアニメーションを取り入れて臨場感を高めたこと,および実践に活かせるよう事例展開を組み込み,よくある誤り事例から考えさせる内容で構成し,教材と受講者とのインタラクティブ性を確保した点に特徴がある。看護師15名を対象として,開発した教材による学習効果を検討した結果,教材学習前より学習後の目標達成度伸び率が有意に上昇した(p< .05)。また,教材学習後の自由記述を質的帰納的分析した結果,「患者の隠れた思いに気づく」や「患者とのかかわりで得られた成功体験」等のカテゴリーが得られた。以上より,本研究における e-learning教材の質が保証された。

  • 山下 真裕子, 伊関 敏男, 藪田 歩
    2017 年 40 巻 2 号 p. 2_163-2_170
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/08/30
    [早期公開] 公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    本研究は,地域で暮らす精神障がい者の服薬の現状と困難感およびその要因について検討するため,地域で暮らす149名の精神障がい者に調査を行った。対象者らの9割が服薬の必要性を認識しており,関連することは,服薬による「ポジティブな体験」,服薬を中断したことによる「ネガティブな体験」,「個々の目標」があること,周囲の指示による「コンプライアンス」であった。一方,6割が何らかの服薬への困難を体験し,飲み忘れが最も多かった。対象者は1日に4回の処方,昼食後薬が処方されている場合に負担感を抱く傾向が認められた。今後は服薬に関する個々の体験を意味づけするプロセスを支援すること,人生の目標の明確化を支援することで服薬の意思を支えること,加えて対象者の生活パターンや服薬への認識を考慮し,服薬回数やタイミングを十分なSDMのうえで決定されることが,主体的なセルフケアの向上,精神障がい者の地域定着の促進につながると考える。

  • 小木曽 加奈子, 樋田 小百合, 今井 七重, 安藤 邑惠
    2017 年 40 巻 2 号 p. 2_171-2_180
    発行日: 2017/06/20
    公開日: 2017/08/30
    [早期公開] 公開日: 2017/06/09
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,介護老人保健施設の看護職と介護職に対し,職種それぞれの職務満足の構成要素を明らかにしその信頼性と妥当性を検討することである。
    【方法】職務満足度尺度などを用いて,質問紙調査を看護職384名(30.1%),介護職486名(38.1%)に実施した。職種ごとに,探索的因子分析で得られた各6因子を潜在変数として,確認的因子分析を行い,モデルの適合度を確認した。
    【結果】探索的因子分析では,介護老人保健施設の看護職版職務満足度評価尺度(N-DS-HF)は6因子であり,モデル適合度はCFIは .837, RMSEAは .078であった。また,介護老人保健施設の介護職版職務満足度評価尺度(C-DS-HF)は6因子であり,CFIは .856, RMSEAは .071であった。
    【結論】N-DS-HFおよびC-DS-HFともに,職務満足の指標としての信頼性が許容範囲であることが確認できた。

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