日本看護研究学会雑誌
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41 巻, 4 号
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  • 真鍋 知香, 當目 雅代
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_637-4_649
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/05/15
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,看護師を対象とした「看護師ヒューマンスキル尺度」を開発し,信頼性と妥当性を検証することとした。看護師31名の質問紙調査から「看護師ヒューマンスキル尺度」の項目を抽出し,35項目の試案を作成した。この試案を用いて,質問紙調査を行い,914名を分析対象とした。探索的因子分析と確認的因子分析で,『知識的組織理解』『積極的自己開示』『協働的問題解決』の3因子15項目が抽出された。尺度全体のCronbach’s α 係数は.930で内的一貫性が確認された。さらに,「コミュニケーション・スキル尺度ENDCOREs」と「KiSS-18」で基準関連妥当性が確認された。そして,「看護師ヒューマンスキル尺度」は,信頼性と妥当性が確認された。この尺度は,看護師におけるキャリア開発の指標として活用できると考える。
  • 大塚 敏子, 巽 あさみ
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_651-4_663
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/05/15
    ジャーナル フリー
    目的:“気になる子ども”をもつ保護者への支援における保健師と保育士の連携経験と相互役割期待を明らかにすることを目的とした。
    方法:看護概念創出法を用い保健師11名,保育士12名への半構造化面接の内容を分析した。
    結果:保健師は連携のなかで【保育士からのリアルな情報の提供による保護者支援の前進】を経験し,【日々母子にかかわることを活かした支援への期待】をしていた。一方で【「保健師」への認識の低さと自身の役割に関する迷い】も抱いていた。保育士には【一方通行感による保健師との連携の意義の感じづらさ】があった。また家庭に入れるといった【行政職・看護職であることを活かした支援への期待】があった。
    結論:両職種の連携は“気になる子ども”の保護者支援を充実させていた。今後,連携における両職種の役割を共通認識できるような取り組みが必要と考えられた。
  • 西田 実紗子, 上野 栄一
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_665-4_674
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/07/04
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,精神科病棟看護師の精神障害者へ向けた口腔ケア行動意図尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することである。
    【方法】精神科病棟看護師の精神障害者へ向けた口腔ケア行動意図尺度施策案は,質問72項目のリッカートスケールとした。対象者363名に質問紙法で実施した。
    【結果】主因子法プロマックス回転にて因子分析を実施し,第1因子は【社会性獲得へむけた教育】,第2因子は【援助的関係に基づく口腔疾病予防】,第3因子は【継続的ケア遂行のための柔軟な対応】,第4因子は【相互の安全確保】と命名し,4因子,42項目が抽出された。信頼性はCronbachのα係数 .967であり,内的整合性が確認できた。
    【結論】本尺度は,精神科病棟看護師が入院中の精神障害者に向けて口腔ケアを実施する際の行動意図を自己評価できる尺度であり,質向上のための基礎資料となる。
  • ─ 冠動脈バイパス術を受けた中年期患者への実践を通して ─
    北林 真美
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_675-4_684
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/07/19
    ジャーナル フリー
     急性期病院に勤務する中堅看護師が冠動脈バイパス術を受けた中年期患者に対する職場復帰支援に感じる困難を明らかにすることを目的に,循環器系病棟に勤務する中堅看護師10名に半構造化面接を実施し,内容分析(Krippendorff)を行った。結果,【看護師の業務負担が増加しかねないことへの抵抗】【専門性が発揮できないことによるためらい】【実践が評価できないことによる不達成感】【職場復帰支援困難となる体制の実状】【他業務を優先せざるを得ない実状】が導出された。中堅看護師は,患者や他職種との職場復帰へのとらえ方の相違,患者へのリスク回避と制度上の評価という内外的要素から職場復帰支援に対する困難を感じている。円滑な職場復帰支援につなげるには,実践した職場復帰支援の事例を振り返り課題を共有する機会を設けること,中堅看護師のおかれている現状と職場復帰支援のバランスが確保できる組織的な取り組みが必要である。
  • ─ 新人看護師が「現在の職場を去りたいと思った理由」に関する自由回答文の解析例から ─
    今井 多樹子, 高瀬 美由紀, 佐藤 健一
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_685-4_700
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー
     質的データにおけるテキストマイニング(TM)を併用した混合分析法の有用性を明らかにするために,新人看護師の「現在の職場を去りたいと思った理由」に関する自由回答文を定量的なTMと定性的な質的帰納的分析でおのおの解析し,共通点と相違点を検討した。調査は自記式質問紙法とし,39名の新人看護師から回答を得た。TMでは【人命にかかわる責任の重さ】など5つの構成概念が判明した。質的帰納的分析では【職務における人間関係の悩み・悪さ】など6つの構成概念が判明した。TMと質的帰納的分析はともに新人看護師の離職要因として人間関係に関する内容をとらえるなど,研究上ターゲットになるトピックを抽出できることが判明した。両手法における概念の構成法の違いから,TMと質的帰納的分析の分析結果に差が生じることも判明した。TMと質的帰納的分析を用いて互いの弱みを補完し,強みを生かす混合分析法の有用性が示唆された。
  • 佐々木 美幸, 星 美鈴, 土肥 眞奈, 叶谷 由佳
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_701-4_712
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/06/25
    ジャーナル フリー
     特別養護老人ホームの介護職からみた看護職と介護職の連携と施設属性・看護体制・医療依存度の高い入所者の看護職の対応状況との関連を調査した。介護職からみた看護職との連携評価は,J-RCS平均3.5±0.6だった。介護職との連携を促進するための看護職が実施している取り組みの11項目中で,J-RCSとの間に低い正の相関がみられた。要介護度5の入所者割合とJ-RCSとの間(r = .25,p = .006),看護師割合とJ-RCSとの間(r = .28,p = .001)に相関があった。看取り対応している施設は有意にJ-RCSが高かった(p = .046)。以上より看護職が介護職と意図的に連携強化することと共に,看護師が多く勤務できる環境づくりの必要性が示唆された。
  • 牧 茂義, 永井 邦芳, 安藤 詳子
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_713-4_722
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/07/24
    ジャーナル フリー
    目的:統合失調症患者の再入院から地域定着に向けた病院看護師の支援のプロセスを明らかにする。
    方法:精神科病棟勤務経験5年以上の看護師に再入院した統合失調症患者へ行った支援について面接し,内容を戈木(2013)のグラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に質的帰納的に分析した。
    結果:17名の看護師に面接した結果,支援は[患者の理解者としての課題抽出と退院後の生活のイメージ][患者と家族の幸福を志向した退院後につながる支持的な家族関係の調整][ラポール形成能力の障害をふまえて安全感を保証した信頼関係の形成][患者が病気を受容し,患者の課題に向き合う支援][入院中の看護をプロセスの一部ととらえた地域への橋渡し]の5段階を経ていた。
    結論:退院後をイメージした支援により,患者は退院後に継続できる生活を身につけることができ,地域への橋渡しで,患者は退院後の支援を受けることが容易になった。
  • ─ 自立している地域在住高齢者のインタビューから ─
    河相 てる美, 宮城 和美, 境 美代子, 小出 えり子, 金森 昌彦
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_723-4_732
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー
    目的:地域在住高齢者の「ロコモ」に対する自覚と日常生活の工夫を構造化する。
    方法:高齢者7人を対象とし,半構造化インタビューをもとにKJ法を用いた。
    結果:「地域在住高齢者のロコモティブシンドロームを自覚した日常生活の工夫」の図解は,【身体機能の低下の実感】が,【先行き不安】を感じる方向と【「老い」の役割意識】をもち【自覚的な転倒予防】を行い,さらに【「運動」を意識した日常生活の工夫】につながってゆく方向とに影響を与え,二方向に分極している状況が示された。
    結論:「ロコモ」の実感より,先行きの不安を感じながらも対策を講じることができないでいるのか,責任のある老い方を意識し,社会や家族との関係を維持しながら,自覚的に転倒予防に努めようとするのか,二方向を示している。老年期の普遍的な葛藤・課題を視野に入れつつ,継続した運動が日常生活に取り込まれるよう支援する必要性が示唆された。
  • 髙栁 智子
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_733-4_739
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/07/24
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,ベッド・車椅子間移乗が自立に至った回復期脳血管疾患患者が見守り支援から移乗自立への過程でとらえた経験知を明らかにすることである。
     回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳血管疾患患者11名を対象に,半構成的インタビューを行い,質的帰納的に分析した。患者がとらえた経験知として,《車椅子のブレーキ操作の定着が移乗自立の絶対条件と心得る》《転倒リスクは皆無にできないことを認識する》《障害による身体特性を意識して動く》《移乗の各局面における自分なりのポイントをつかむ》《確実な移乗手順を遂行するために時間の余裕を確保する》《医療者の判断を受け入れる》《訓練室とは異なる環境での移乗に折り合いをつける》の7カテゴリーが抽出された。患者は移乗自立までの経験の中でさまざまな学びを得ており,看護師は,患者が自身の移乗をどうとらえ,努力しているのかを理解し,看護支援に反映させていく重要性が示唆された。
  • 山本 知世, 百田 武司
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_741-4_751
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー
    目的:在宅高齢脳卒中患者の服薬アドヒアランスとCGA評価項目のうち身体面ではADL,精神面ではQOLのなかの精神的側面,社会面ではソーシャルネットワークとの関連を明らかにした。
    方法:在宅で生活をしている65歳以上の脳卒中患者で,服薬治療を行っている者を対象に他記式調査を行った。CGAは,ADLにはFIM,QOLにはSF-8,ソーシャルネットワークにはLSNS-6を用いた。服薬アドヒアランス尺度の中央値で2群に分類し,CGAを比較した。
    結果:服薬アドヒアランスの高い患者は,低い患者より,ADLの「記憶」が高く(p = .035),LSNS-6が高かった(p = .038)。しかし,精神的側面では,服薬アドヒアランス尺度全合計点では関連がみられなかった。
    結論:服薬アドヒアランスの高い在宅高齢脳卒中患者は,低い患者よりも,記憶が高く,ソーシャルネットワークが機能していた。
  • 鈴木 惠子, 水野 正之, 小澤 三枝子
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_753-4_762
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー
    目的:再就業看護師の「再就業前の予想と現実との一致の程度」と「再就業の満足感」の関連を明らかにする。
    方法:都内100~499床の一般病院(72施設)の再就業看護師667名に無記名自記式質問紙を配布,回収数367(回収率55.0%),うち344を分析対象とした。『労働条件(3項目)』,『人間関係(2項目)』,『看護ケア(3項目)』,『有用感と成長(2項目)』の「予想と現実との負の不一致」と「再就業の満足感」の関連について共分散構造分析で分析した。
    結果:それぞれの「負の不一致」が「再就業の満足感」に影響していた(R2=.66)。「再就業の満足感」へのパス係数は『労働条件(-.30)』『人間関係(-.31)』『看護ケア(.11)』『有用感と成長(-.41)』であった。
    結論:「再就業の満足感」への影響が最も大きかったのは『有用感と成長』の「負の不一致」であった。
  • 浅田 有希, 原 理恵, 古賀 明美, 熊谷 有記
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_763-4_770
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/06/13
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,血液透析患者のSOCの違いによるQOLおよびストレス対処方略を明らかにすることである。血液透析患者を対象に,個人属性と,SOC-13,SF-8,TAC-24の各尺度項目を使用した質問紙調査を実施した。196名を分析対象とした。SOCは中央値で二分して高群,低群とし,χ2検定,Mann-WhitneyのU検定を用いて分析した。SOCが高い人は,SF-8の精神的サマリースコア,「心の健康」「日常役割機能(精神)」のQOLが高かった。高いSOCはとくに精神面の主観的健康観と関連していることが示唆された。SOCが高い人は,「計画立案」「肯定的解釈」のストレス対処方略をとりやすく,低い人は,「放棄・諦め」「責任転嫁」の方略をとりやすいことが示された。SOCが低い患者に対しては,今後の見通しを立て,悪い面ばかりではなくよい面を見つけていけるように支援することが必要である。
  • 香川 里美, 名越 民江
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_771-4_782
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/06/15
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,精神科長期入院患者の退院支援にかかわる保健医療従事者を対象とした「精神科長期入院患者用包括的退院支援評価尺度(DSS-LPP)」を開発し,その信頼性・妥当性の検証を目的とする。
    方法:先行研究の精神科長期入院患者に対する退院支援の内容を質的帰納的に抽出後,内容妥当性の確認された52項目で構成される「DSS-LPP試作版」を用いて質問紙調査を実施した。対象者は研究に同意を得られた485名であった。
    結果:探索的因子分析の結果,5因子33項目が抽出された。Cronbach’s α 係数は .957で内的一貫性が確認された。DCP-PEM得点との間で有意な相関が確認されるとともに,退院支援成功経験の有無による比較から基準妥当性が確認された。
    結論:DSS-LPPは信頼性と妥当性が確認され,精神科長期入院患者の退院支援にかかわる保健医療従事者を対象とした退院支援評価尺度として活用できる。
  • ─ 体位変換技術における手指・手掌の接触部位にかかる力に焦点を当てて ─
    明野 伸次, 樋之津 淳子, 村松 真澄
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_783-4_794
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/07/04
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,看護師と看護学生が実施する体位変換技術における手指・手掌の接触部位にかかる力と,体位変換技術を受ける患者役の主観的評価の違いを明らかにすることである。看護師と看護学生の第1指から第5指および手掌にセンサを取り付け,仰臥位から側臥位の体位変換時の手指・手掌の接触部位にかかる力を行為に沿って測定した。患者役の主観的評価は,安楽さをVASで測定した。結果,頭部を持ち上げる行為,仰臥位から側臥位にする行為,側臥位を安定させる行為で,手指・手掌の接触部位にかかる力に有意差が認められた。また,安楽さの評価は,看護師のほうが高い値を示した。学生は看護師に比べて,右手の第3指と左手の第2指と第3指の接触部位にかかる力が強い傾向にあったが,常に指先に力が入っているわけではなかった。とくに,身体の重い部位を扱う際に,指先の限局した部分に力がかかるため,つかむような手の使い方になっていると考えられた。
  • 大浦 早智, 宇座 美代子, 當山 裕子
    2018 年 41 巻 4 号 p. 4_795-4_801
    発行日: 2018/09/20
    公開日: 2018/09/20
    [早期公開] 公開日: 2018/09/06
    ジャーナル フリー
    目的:3歳児をもつ母親の「趣味」に着目し,育児ストレスとの関連を明らかにすることである。
    方法:A県内B市において3歳児健康診査者の母親に対して,基本属性,育児の相談者,趣味の有無と内容,育児ストレスに関して無記名自記式の質問紙調査を実施した。有効回答の得られた348人の母親を分析対象とし,育児ストレスの感じ方を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。
    結果:育児ストレスを感じている者は64.7%,趣味がある者は71.8%であった。趣味の内容としては「家族(子ども)との外出」「友人との交流や外出」「買物」の順に多かった。3歳児をもつ母親の育児ストレス緩和に関連する要因は,趣味があること,子どもの数が増えることであった。また,既婚の場合,育児ストレスを感じていることが示された。
    結論:子育て中の母親へ趣味をもつことの働きかけは,育児ストレスの緩和に貢献すると考える。
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