日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
Print ISSN : 2188-3599
ISSN-L : 2188-3599
43 巻 , 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 阿部 香織, 鹿村 眞理子, 水田 真由美
    2020 年 43 巻 4 号 p. 4_693-4_704
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    [早期公開] 公開日: 2020/07/03
    ジャーナル フリー

    目的:一人前レベル看護師が,チーム医療における看護の専門性をどのように認識しているかを明らかにする。
    方法:臨床経験3〜4年目の看護師10名を対象に半構造化面接を実施し質的記述的研究法で分析した。
    結果:一人前レベル看護師のチーム医療における看護の専門性の認識として,【患者・家族の一番身近にいてニーズの把握】【患者にとっての最善を見出し生活に考慮したケアの実践】【些細な変化にも気づける多角的なアセスメント能力】【チームで患者に良い援助ができる情報の共有】【チーム内での人間関係づくりの推進】【他職種の専門性を尊重した活用】の6つのカテゴリーを見出した。サブカテゴリーからは他職種への報告の困難感,カンファレンスでの発言の困難さ,他職種の専門性の理解の不十分さを見出した。
    結論:一人前レベル看護師への卒後教育プログラムの開発と他職種と協働し問題解決する能力を育成する必要性が示唆された。

  • 大橋 佳代, 稲垣 美智子, 多崎 恵子, 堀口 智美
    2020 年 43 巻 4 号 p. 4_705-4_713
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    [早期公開] 公開日: 2020/07/03
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,再発や増悪を経験したがん患者が家族と対話し難い体験を質的に記述することである。Merleau-Pontyの現象学的思想を哲学的基盤とした現象学的アプローチを用い,がんの再発あるいは増悪を経験している患者11名に非構造化面接を実施し,得られたデータを分析した。
    結果,【積み重ねてきた家族だからこそ口にしなくていい】【がんとの闘いは一人きりと自覚する】【家族の中の自分の姿が不確かであることに苦悩する】【がんが家族という地平上にのしかかるのを感じる】【思いや言葉を超えて迫りくる死をただ見つめる】の5つのテーマが描き出された。患者は,家族を積み重ねてきたものと大切に思い,その中で自分自身の存在意義を感じる一方で,自分自身を,家族を脅かす,死にゆく者であると捉え,自己の存在の不確かさに苦悩しており,家族をそっと思いながらも口にできない思いを抱えていた。

  • 森田 公美子, 近藤 真紀子
    2020 年 43 巻 4 号 p. 4_715-4_731
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    [早期公開] 公開日: 2020/07/24
    ジャーナル フリー

    目的:家系で2人目の乳がん患者は,適応力を高め家系の存続を図る中核となる。本研究では,家系で2人目の患者の家族性乳がんへの対処過程を明らかにし家系を守る支援を検討する。
    方法:対象者16名に半構造化面接を行い,質的帰納的に分析した。
    結果:発端者の闘病を目の当たりにした2人目患者は,乳がん発症前には強制力を伴わない警告と捉え深刻さを和らげる一方,発症時には感度の高い直観が働き迅速な受診行動をとった。発症後は,発端者ががん適応の良き導き手となると共に,発症リスクの高い未発症者を守る血族アドボケーターとなり,さらには遺伝性にとらわれず家系を越えた啓発者となった。
    考察:家族性乳がんの家系を守る支援は,未発症者の危機への備えを怠ることなく平時の不安を和らげ,女性のライフイベントへの悪影響を最小限にし,発端者と2人目発症者が獲得した対処方法を家系の知恵として蓄積,共有することが示唆された。

  • ─『 等価な時間』というポリフォニー ─
    山本 真実, 浅野 みどり, 野村 直樹
    2020 年 43 巻 4 号 p. 4_733-4_744
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    [早期公開] 公開日: 2020/07/10
    ジャーナル フリー

    本稿では,時間を言語として見る立場から,療育教室に通う子どもの母親が語る我が子の成長を,時間のことばとして記述することにより,対話を通じ母親が理解する成長とはどのようなものか,成長をナラティヴとして理解するとはどのようなことかを議論する。筆者(山本)は,母親との対話と療育教室での参与観察を行い,成長がどのような刻み方(punctuation)を有した時間で語られるかに注目した。母親が語る時間のことばには,①別々に語られる時間のことば,②相反する時間のことばがせめぎ合う葛藤,③全ての時間を等価に語る時間のことば,があった。母親は,どんな時間も選ばれる価値を等しく持つとする『等価な時間』という視座を獲得し,それに沿って成長を理解していった。『等価な時間』とは,成長をナラティヴとして理解するための考え方であり,これまでの成長の理解を見つめ直すときに役立つ時間のことばのポリフォニーのことである。

  • 鈴木 美佐, 泊 祐子
    2020 年 43 巻 4 号 p. 4_745-4_756
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    [早期公開] 公開日: 2020/07/24
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は「慢性疾患をもつ子どもの病気認知」の概念分析を行い,構成要素と定義を明らかにすることである。
    Rodgersの概念分析の手法を用いて39件の文献を分析した結果,「慢性疾患をもつ子どもの病気認知」について「疾患に伴う症状の変化を身体感覚として知覚し,病気に伴う制限・制約そのものを包含した体験を病気としてとらえながら,病気に伴う不確かであいまいな情報を意味づけ解釈すること」と定義した。慢性疾患をもつ子どもの病気認知の特性として,先行要件・属性・帰結全てが発達段階による影響を受けていること,慢性的な経過の中で動的な変化を伴いながら次の発達課題につながっていることがあげられた。
    今回,慢性疾患をもつ子どもの病気認知の構成要素を明確化したことにより,幼少期からの慢性疾患児とその養育者への支援の方向性の検討への示唆が得られたと考える。

  • 林 諒子, 市村 久美子, 川波 公香
    2020 年 43 巻 4 号 p. 4_757-4_767
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    [早期公開] 公開日: 2020/07/24
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,ICU看護師のリハビリテーション看護の実践を明らかにすることである。ICUにおけるリハビリテーション看護に積極的に取り組む施設で,ICUでの看護経験が5年以上ある看護師7名を対象に半構成的面接を行い,質的帰納的に分析した。ICU看護師のリハビリテーション看護の実践として,《ICUにいる時点だけでなく患者の今後を見据えたICUでの援助》,《臥床患者の機能維持・全身状態の調整》,《集中治療下であっても患者のできることを促す援助》,《早期離床の実施》,《患者・家族の心理的援助》,《他職種・看護師間の協働》,《ICU看護師へのリハビリテーション看護の強化》の7つのコアカテゴリーが抽出された。ICU看護師は,患者の今後を見据えて,生活に密着したリハビリテーション看護を実践しており,これらの実践はリハビリテーションチームにおけるICU看護師の専門性であり大きな役割であるといえる。

  • ─ 熊本地震による病院被害と診療体制への影響の分析 ─
    伊山 聡子, 前田 ひとみ, 松本 智晴, 南家 貴美代, 児玉 栄一
    2020 年 43 巻 4 号 p. 4_769-4_777
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    [早期公開] 公開日: 2020/07/03
    ジャーナル フリー

    本研究は,2016年の熊本地震を経験した医療機関の被害状況の特徴や診療体制,支援体制への影響をもとに,災害時の業務継続に必要な取り組みを考察することを目的とした。熊本地震被害の大きかった地域で,病床数100床以上の病院の看護部長と医療設備担当者を対象に半構造化面接法によるデータ収集を行った。①震災による診療・看護への影響,②施設のライフライン,建築・医療設備の被害状況,③災害対策マニュアルとBCPの活用状況,④医療スタッフへの対応と健康管理について分析した。災害時の業務継続に向けた取り組むべき対策として,医療設備や地域性を考慮した「使える災害対策マニュアル・BCPの作成」,「災害に対する社会が持つ脆弱性を考慮した防災教育・訓練の実施」,「業務継続に伴う職員の健康管理対策および平常時の地域・広域施設との連携の強化」の重要性が示された。

feedback
Top