日本看護研究学会雑誌
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44 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 北海道の感染第1波における検討
    大内 潤子, 林 裕子, 松原 三智子, 宮田 久美子, 山本 道代, 市戸 優人, 真田 博文
    2021 年 44 巻 4 号 p. 4_599-4_609
    発行日: 2021/10/20
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/07/09
    ジャーナル フリー
    目的:北海道の新型コロナウイルス感染症第1波に対する感染拡大防止策が地域の自立高齢者の活動と主観的な健康に及ぼした影響を検討する。方法:北海道の都市部に住む地域の高齢者を対象に,2019年3月と8月,2020年4月に質問紙を用い収集したデータを比較した。外出頻度とその目的の変化については,2019年3月と2020年4月の調査に参加した119名を対象に検討した。また,2019年3月と8月,2020年4月の3時点における身体的,精神的,社会的健康の各指標の得点を,これらの調査に参加した75名を対象に比較した。結果:2019年と比較し,2020年では文化活動と社会活動を目的とした外出が減少していた。また,2019年8月よりも2020年4月の社会的健康の得点のほうが有意に低下していた。結論:北海道の新型コロナウイルス感染症第1波に対する感染拡大防止策は,地域在住の高齢者の活動と社会的健康に影響を与えていた。
  • 療養行動と知識,教育との関係
    堀口 智美, 稲垣 美智子, 多崎 恵子
    2021 年 44 巻 4 号 p. 4_613-4_622
    発行日: 2021/10/20
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/10/14
    ジャーナル フリー
    目的:糖尿病診断後10年以内の2型糖尿病患者の療養行動と知識および教育との関係を明らかにすることである。方法:糖尿病診断後10年以内の2型糖尿病患者を対象に,横断的研究にて自記式質問紙調査を行った。質問項目は,療養行動(The Summary of Diabetes Self-Care Activities Measure for Japanese),療養行動の知識,糖尿病教育経験,基礎情報であった。結果:125名の有効回答を得た。療養行動は,薬物療法の実行度は高いが,食事療法,運動療法は低かった。療養行動と知識および教育との関係では,知識が高いこと,診断後3か月未満で初教育を受けたこと,診断後2年以降に再教育を受けたことが療養行動の良好さに関係していた。結論:療養行動実行には知識が重要であり,診断後3か月未満で初教育することの重要性,さらに2年を目途にした再教育の必要性が示唆された。
  • 多喜代 健吾, 北宮 千秋
    2021 年 44 巻 4 号 p. 4_623-4_636
    発行日: 2021/10/20
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/10/13
    ジャーナル フリー
    目的:保育士のインフルエンザ対策の実態および実践における課題を明らかにすることである。方法:A県B市内の3保育施設の保育士9名を対象とし,事前アンケートとインタビューガイドに基づき,個別に半構造化面接を行った。調査期間は2018年10月であった。調査内容は,①インフルエンザ発生時の対応,②インフルエンザ発生予防への取り組み,③インフルエンザ対策を実施する上での困難感とした。データは質的記述的手法を用いて分析した。結果:保育士のインフルエンザ対策は,感染源対策1カテゴリー,感染経路対策9カテゴリー,感受性宿主対策3カテゴリーで構成された。対応への自信のなさから,予防効果や対処方法について科学的根拠が不明確な対策を取り入れる状況にあった。結論:保育士は感染経路対策を重視していた。保育士は感染症とインフルエンザの正しい知識の基,実践内容を振り返り,必要な対策を取捨選択していく必要がある。
  • Japanese Expatriate Experiences in Thailand
    中井 あい, 山田 和子, 森岡 郁晴
    2021 年 44 巻 4 号 p. 4_637-4_645
    発行日: 2021/10/20
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/10/14
    ジャーナル フリー
    目的:英語が公用語ではないタイ国に滞在する日本人高齢者の医療サービスの利用経験を明らかにする。方法:タイ国チェンマイの地元医療機関を受診した日本人20名に半構造化面接を行った。個人面接記録は,内容分析法で分析した。結果:対象者は平均67.6歳であった。225の記述内容が得られた。その内容から【現地医療機関の受診を少なくするための健康意識とその行動】【医療スタッフの質に左右される多様な受診経験】【意思疎通の困難さ】【求めるサービスの得にくさ】【新しい患者・医師関係を形成する必要性の自覚】【現状をふまえた適切な医療への要望】の6カテゴリーが抽出された。結論:日本の看護職は,海外の日本人に適切な地元医療機関,特に医療通訳が十分に雇用されている医療機関を探すよう促す必要があり,好ましい健康行動を継続するための情報を提供することが重要である。
  • 泊 祐子, 岡田 摩理, 遠渡 絹代, 市川 百香里, 部谷 知佐恵, 濵田 裕子, 叶谷 由佳, 赤羽根 章子
    2021 年 44 巻 4 号 p. 4_647-4_656
    発行日: 2021/10/20
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/07/09
    ジャーナル フリー
    目的:医療的ケアのある重症児を看ている小児専門訪問看護ステーションの専門的役割と機能を明らかにすることである。今後,小児の訪問を新たに始める場合の準備の目安や,重症児と家族をケアする看護師の指針となると考えられる。方法:小児を専門としている訪問看護ステーション5か所の看護管理者5人にインタビューを行い,質的に分析を行った。結果:小児専門訪問看護ステーションは,【重症児の特徴をふまえた高度なケアの実施】と【家族全体の生活を支える援助】から成る『重症児と家族を支える小児専門訪問看護の役割』をもち,その土台には『小児専門としての役割を果たすための訪問看護ステーションの機能』として【小児在宅のプロの育成】と【家族のニーズに応える体制づくり】があった。結論:小児専門訪問看護の教育的機能と相談機能を推進することは,小児の訪問看護の拡大と質の向上につながると考えられる。
  • 白砂 恭子, 渕田 英津子
    2021 年 44 巻 4 号 p. 4_657-4_663
    発行日: 2021/10/20
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/07/09
    ジャーナル フリー
    目的:臨地実習終了後の学生が捉えた超高齢患者のイメージを明らかにすることである。方法:対象は,看護基礎教育における臨地実習終了後の学生65名とした。超高齢患者のイメージは,安田らのSD法,高齢者イメージ6段階15項目を用いて測定し,超高齢患者のイメージを自由記載してもらった。結果:超高齢患者のイメージの合計得点と性別,祖父母との同居経験,超高齢患者の受け持ち経験の間に有意な差はみられなかった。また,学生は超高齢患者を〈虚弱〉〈近寄り難い〉〈尊敬の念〉〈生活史が影響〉〈活力がある〉〈明確な意志がある〉〈強健〉〈生活機能を維持している〉〈個人差がある〉というイメージで捉えていた。結論:学生にとって臨地実習は,超高齢患者を身近な存在となる可能性があり,超高齢患者のイメージを共有する機会となっていることが推察される。
  • 青盛 真紀, 渡部 節子, 森 みずえ
    2021 年 44 巻 4 号 p. 4_665-6_675
    発行日: 2021/10/20
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/07/09
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は,一地方都市のエイズ治療拠点病院に通院中のHIV感染者の抑うつに影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的としている。方法:神奈川県のエイズ診療拠点A病院における外来通院中のHIV感染者を対象に基本的属性,日本語版CES-D,日本語版ソーシャルサポート尺度,日本語版Brief COPEから成る自記式質問紙調査を行った。結果:対象者は100名で,そのうち33名(33.0%)が抑うつありを占めていた。ロジスティック回帰分析の結果,HIV感染者の抑うつのリスクを高める要因は,正規雇用以外であること,自己非難のコーピングを多用することであり,抑うつのリスクを低下させる要因は,大切な人のサポートであることが明らかになった。結論:日常の診察場面において,自己非難コーピングの有無や大切な人の存在を把握することは抑うつの予防的看護介入の一助になると考える。
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