日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
31 巻 , 1 号
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
巻頭言
学会賞受賞論文
  • 千田 金吾
    2011 年 31 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    受賞の契機となった当施設の研究を4点に絞って紹介する.1)肉芽腫性肺疾患の診断法の検討のため,肉芽腫を特異的に認識する単クローン抗体の作成を行った.その結果, 肉芽腫形成の存在を病理組織学的に的確に行えるようになった.2)サルコイドーシスの病因論に関する検討では,ラットにおける死菌BCG肉芽腫反応での樹状細胞の意義を経時的に解析した.また,サルコイドーシス病変部における樹状細胞のCD1分子発現の意義をあきらかにし,脂質抗原の関与を推定した.3)サルコイドーシスの治療法の検討では,サルコイドーシスの治療のためにステロイド隔日投与を行うと,副腎皮質の機能は保たれるが間脳下垂体機能の抑制はみられることを示した.また,性ホルモンとサルコイドーシスの予後の解析から,ホルモン補充療法が肝臓サルコイドーシス病変に有効であることを報告した.4)サルコイドーシスの予後関連因子の解析では,肺胞マクロファージにおける25-hydroxyvitamin D3 1α-hydroxylase geneの発現とサルコイドーシスの予後の関連を見いだした.また,サルコイドーシスにおいて自己抗体検出の頻度が高く,自己抗体検出例では予後不良であることを示した.
原著
  • 立花 暉夫, 武村 民子, 岩井 和郎
    2011 年 31 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
     1939~1999年のサルコイドーシス国内剖検例469例の脾サルコイドーシス病変について検討した結果,1. サルコイドーシス全身性病変分布は,肺78.3%,心71.0%,肝42.4%,脾41.6%,リンパ節87.4%であり,脾病変は肝病変と共に,肺,心病変に次ぎ高頻度であった.脾病変あり症例で脾肝病変を同時に認めた症例は高頻度であった.超高齢者剖検例でも,同様の傾向を示し,肺68.4%,心73.7%,肝45.7%,脾42.1%,リンパ節81.6%で,脾病変は肝病変と共に,肺,心病変に次ぎ高頻度であった.脾肝病変を同時に認めた症例も高頻度であった.2. 病理組織学的には,軽微な脾病変が多く,生前,著明脾腫,脾機能亢進を示し,剖検時に線維化と融合傾向著明な壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫がみられる高度な脾病変を認める症例は稀である.脾腫,脾機能亢進を示さずに,肺病変,心病変で死亡した剖検例で,高度な脾病変を認める症例もあった.
症例報告
  • 重原 克則, 森 勇樹, 四十坊 典晴, 市村 志保, 伊藤 峰幸, 佐々木 真由美, 佐々木 純, 小池 祐史, 平賀 洋明
    2011 年 31 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    症例は24歳男性.発熱と頸部,腋窩,鼠径部のリンパ節腫脹を認め,2004年11月に某医に入院した.頸部リンパ節生検にて類上皮細胞性肉芽腫を認め,結核性リンパ節炎を疑われ他院に転院した.再度同部位より生検し,同様の病理像を認めたが,結核菌は検出されなかった.抗結核薬(HRE)を投与されたが,改善なくサルコイドーシスの可能性も考慮されて,2005年2月当院転院となった.表在性リンパ節腫脹のほか,胸部CTで縦隔および両側肺門のリンパ節腫大があり,Gaシンチグラフィーで全身のリンパ節に取り込みを認めた.前医での生検リンパ節標本を取り寄せ,Ziehl-Neelsen染色と抗BCG抗体による免疫染色,およびQFTを実施したところすべて陰性であり,サルコイドーシスと診断した.プレドニゾロンの経口投与で改善を認めた.
  • 蓮尾 由貴, 中尾 彰宏, 久富 充郎, 河合 秀樹, 山中 秀高, 荒川 大吾, 小林 都仁夫, 前村 幸輔, 住田 敦, 小川 知美, ...
    2011 年 31 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性.発熱と腹部膨満を主訴に受診.入院時腹部CTで腹水貯留とびまん性の腹膜肥厚を認めた.胸部CTでは肺野や縦隔の病変を認めず.血清ACE値は正常,リゾチーム値は高値,ツベルクリン反応・QFTはともに陰性であった.FDG-PETでは,ほぼ全ての腹膜に沿って著しい集積を認め,Gaシンチでも同様の所見であった.腹水は滲出性でリンパ球優位,ADA値は15.2 IU/L.気管支肺胞洗浄液ではリンパ球の増加とCD4/8比高値を認めた.開腹下腹膜生検で壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認め,腹膜サルコイドーシスの組織診断群と診断.腹水貯留は約40日で,発熱は約50日で自然に軽快.第64病日に肺野に新しく陰影が出現.気管支洗浄液にて結核菌塗抹・培養陽性であり肺結核の合併と診断.腹膜サルコイドーシスは非常に稀であり,FDG-PET所見も報告がなく,続発して肺結核を発症した事も興味深く,報告する.
  • 日比 美智子, 中尾 彰宏, 住田 敦, 小川 知美, 岩田 知子, 今藤 綾乃, 近藤 規之, 森岡 正貴, 井田 徳彦, 森 正一, 横 ...
    2011 年 31 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    症例は58歳女性.胸部異常陰影を主訴に受診.胸部CTで左肺上葉上区に約40 mmの腫瘤状陰影と肺門・縦隔リンパ節腫脹を認めた.血中ACE・腫瘍マーカーは正常で,QFT陰性.経気管支肺生検で壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫とわずかにZiehl-Neelsen染色陽性所見を認め,肺結核と診断しHREZ 4剤による治療を開始.しかし抗結核剤治療中及び治療終了後も腫瘤影は増大.肺癌を否定できないため初診から約1年2カ月後に左肺上葉切除術を施行.病理所見ではラングハンス型巨細胞の浸潤と高度な壊死を伴う肉芽腫病変で,肉芽腫内に巨細胞性血管炎の所見を認め,壊死性サルコイド肉芽腫症(Necrotizing Sarcoid Granulomatosis)と診断した.Propionibacterium acnes抗体(PAB抗体)による免疫染色では肉芽腫内に多数の陽性所見を認めた.アクネ菌はサルコイドーシスの原因菌候補と考えられており,このことはNSGがサルコイドーシスの一亜型であるとする考えを支持するものと考えられた.
  • 妹川 史朗, 西本 幸司, 鈴木 清一郎, 上原 正裕, 池田 政輝, 匂坂 伸也, 佐藤 潤, 内山 啓, 安田 和雅, 中村 祐太郎, ...
    2011 年 31 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性.約2週間持続する発熱,咳嗽,労作時呼吸困難を主訴に当科を受診した.胸部CT上両側肺野にすりガラス状陰影と浸潤影を認め,間質性肺炎が疑われた.軽度の炎症所見と低酸素血症がみられ,BAL(右B5a)ではリンパ球分画21.0%と軽度上昇していた.VATSの組織で胞隔炎と気腔内器質化の所見を認め,入院後自然軽快傾向を示した.加湿器を使用した誘発試験で自覚症状,炎症所見の悪化,血ガス所見,呼吸機能の悪化を認め,加湿器肺と診断した.加湿器の水に対するリンパ球幼弱化試験は陽性であった.沈降抗体はCandida albicansが陽性,加湿器の水のβ-Dグルカンが上昇していた.また,加湿器の水でグラム陰性菌が培養され,エンドトキシンも検出(72.5 pg/mL)されたことから,真菌やグラム陰性菌が本症の発症に関与していたことが示唆された.
  • 竹丸 誠, 岡崎 敏郎, 中村 憲一郎, 木村 成志, 堀之内 英雄, 上山 秀嗣, 熊本 俊秀
    2011 年 31 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性,神経筋疾患の家族歴はない.48歳時にぶどう膜炎,続いて皮下硬結が出現し,鼠径部リンパ節生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスと診断された.61歳時より四肢脱力が出現し,当科に入院した.神経所見では,四肢近位筋優位の筋力低下と筋萎縮,深部反射の低下を認めた.検査所見では,血中ミオグロビン,アルドラーゼの上昇,針筋電図で四肢に筋原性変化を認めた.骨格筋MRIでは四肢に対称性の筋萎縮と脂肪変性を認めたが,ガリウムシンチグラフィーで集積像はなかった.筋生検では,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫はみられなかったが,筋線維の萎縮・脱落,高度の線維化,血管壁の肥厚,血管周囲のリンパ球浸潤,lobulated fibersを認めた.慢性ミオパチー型筋サルコイドーシスを疑い,ステロイド療法を行い,筋症状は改善を認めた.筋病理所見で長期経過を示唆するlobulated fibersが見られたことから,本症例は非乾酪壊死性肉芽腫が消失した後のhealingステージの筋病理像と考えられた.
シンポジウム 肺サルコイドーシスのステロイド治療
  • 四十坊 典晴
    2011 年 31 巻 1 号 p. 57-59
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの臨床経過はきわめて多様な幅がある.5年以上経過観察された症例を集積検討した3施設の共同研究の結果では肺病変が悪化する場合にステロイド内服がおこなわれた割合は8%から25%であり,現在継続使用している症例は6%程度と低値であった.肺の線維化の進行も非常にゆっくりである場合が多くステロイド内服を行っていない症例が多く存在する.肺サルコイドーシスでステロイド治療を必要とした多様な症例を中心に提示した.肺サルコイドーシスに対するステロイド治療の開始の判断,減量,中止の判断,および治療の再開の判断は多様な臨床経過であるため,非常に困難な場合がある.サルコイドーシスの多様な臨床経過の理解および適切な診療・治療情報を共有できるシステムができることが望まれる.
  • 長井 苑子
    2011 年 31 巻 1 号 p. 60-61
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスは全身性疾患であり,治療の適応というものは,病変部位,数,病勢などを考慮して,予後を予測した上での配慮が必要である.自然寛解や難治化の間の臨床経過からみた幅については,ある程度の情報が明らかにされてきているのが現状である.その中で肺病変について,ステロイド治療について,どのように適応を判断し,どのように量と期間,さらには併用治療について考えるべきかを経験と文献的情報から考察した.経験上は,少量のステロイドとメトトレキサートの併用治療による長期治療では,副作用の発現が少なく,治療効果,安定化を望めるのではないかとの印象である.
シンポジウム 伝導障害におけるサルコイドーシスの位置づけ
  • 草野 研吾
    2011 年 31 巻 1 号 p. 63-65
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    心サルコイドーシスでは,His-Purkinje系と固有心筋の2つに伝導障害が発生する.前者が房室ブロック,後者が心室頻拍として臨床的に認められる.今回,心内伝導障害について,心内電位の検討・病期との関連・ステロイドに対する反応についての自験例多施設アンケート結果(中間解析)について報告した.心内電位の検討では,心室頻拍の起源に一致して異常電位(=伝導障害)が認められるが,特に心室瘤付近に多いこと,左室だけでなく右室まで認められること,房室ブロック合併例では,His近傍に異常電位を認めることが明らかとなった.病期との関連では,房室ブロックは急性期に多く認められ,ステロイド治療によってブロック改善が認められる例が認められるが,心室頻拍は心機能低下例が多く,病期の急性期には少なく,ステロイドへの反応性に乏しいことがわかった.多施設アンケートの結果(n =932)では535名(57.4%)に,ペースメーカ(n =296)もしくは植込み型除細動器(ICD,n =150)が植えこまれ,多くの症例で伝導障害に基づく不整脈の発生が多いことがわかった.さらに詳細アンケートが得られた170名の検討では,初期病変として房室ブロックの頻度が高く,ペースメーカを植えこまれている症例が多いこと,約半数の症例で,ICD作動による致死的イベントの治療が行われていることがわかった.
  • 加藤 靖周, 森本 紳一郎
    2011 年 31 巻 1 号 p. 66-72
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    心臓サルコイドーシスは,心臓のあらゆる部位に肉芽腫性病変を生じることにより,非常に多彩な臨床症状を呈し,その診断に難渋することの多い疾患であるが,心室中隔基部は比較的早期から好発する部位として知られ,房室伝導障害は本症の診断のきっかけとなることが多い.以前から,房室伝導障害がステロイド治療により改善したとの報告は散見されるが,今回,自験例においてステロイド治療によって房室伝導障害が改善した症例の頻度および臨床的特徴について検討した.
シンポジウム ぶどう膜炎におけるサルコイドーシスの位置づけ
教育セミナー サルコイドーシスの病因論-感染症との関連
教育セミナー lgG4関連疾患
  • 山本 元久
    2011 年 31 巻 1 号 p. 89-91
    発行日: 2011/10/07
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
     IgG4関連疾患は,高IgG4血症と罹患臓器への著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とする全身性,慢性炎症性疾患である.代表的な病態に,自己免疫性膵炎やミクリッツ病などがある.この疾患は,同一個人に時間経過を経て,様々な臓器(腎,肺,後腹膜など)に病変を形成することがあり,病変の時間的・空間的多発性を特徴とする.またこの疾患には,悪性腫瘍が潜在していることがあり,全身精査が必要である.自己免疫性膵炎とミクリッツ病に関しては各診断基準に基づいて診断される.それ以外の病態については病理診断を実施することが望ましい.治療は,ステロイド剤投与が行われる.治療開始後,速やかに改善を示すが,ステロイド減量とともに再燃することが多い.近年,この病態に制御性T細胞の関与が指摘されている.さらなる病因の解明,疾患範囲の確定,ステロイド以外の新規治療法の開発などについて,今後解決していかなければならない.
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