日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
32 巻 , 1 号
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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巻頭言
学会受賞講演
  • 矢崎 善一
    2012 年 32 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    我々は多数例の心臓サルコイドーシスを長期経過観察する中で,診断,治療,予後などの包括的研究を20 年以上継続し,国内外の雑誌や学会にその結果を報告してきた.新旧診断の手引きの作成にかかわり,心臓サルコイドーシスの臨床的特徴を,病理組織所見や各種画像診断を分析することにより,拡張型心筋症や肥大型心筋症などと対比しながら明らかにした.心臓サルコイドーシスに対する治療は,1)ステロイドを中心とした免疫抑制療法,2)心不全治療,3)不整脈治療に要約される.ステロイド治療が行われた心臓サルコイドーシスの予後を検討し,予後規定因子を明らかにした.また,最近の心不全治療や不整脈治療の進歩,免疫抑制薬の工夫などによりその予後が改善してきたことを報告した.
論壇
総説
  • 吉永 恵一郎, 真鍋 治, 玉木 長良
    2012 年 32 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドシースは全身性の炎症性疾患であり炎症性肉芽腫の形成を特徴とする.炎症性肉芽腫はマクロファージ,リンパ球が豊富に含まれている.核医学的手法は組織の炎症所見を画像化することが可能であることから,サルコイドシースの診断および病態評価に有用と考えられる.非特異的な炎症シンチである67Ga SPECTでは活動性のある炎症病変の検出が可能である.一方空間分解能が低く,小さな病変や心筋局所への集積の診断は困難である.18F Fluorodeoxyglucose(18F FDG)の組織への集積は白血球,リンパ球,マクロファージなどの炎症細胞浸潤を反映するため組織の炎症マーカーとして臨床応用されている.PETは空間分解能が高く,かつPET/CTにより解剖学的情報と生理学的な画像情報をあわせて評価可能なためサルコイドシースの診断・臨床評価への導入が開始されている.本総説ではFDG PET/CTによるサルコイドシースの病態評価および治療効果評価の現状,将来展望について概説する.
  • 伊崎 誠一
    2012 年 32 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    2000 年以降11 年超の期間に当科で診断・ 治療に携わったサルコイドーシスの患者37 例(男8例,女29 例,平均51.7 歳)の皮膚病変をまとめる.臨床所見から他疾患を疑った症例が17 例あり,サルコイドーシスの皮膚病変が多様であることを示していた.そのなかから示唆に富む皮膚所見を示す例,ならびに治療に難渋する例を紹介する.症例1)は下腿の血管病変が特徴であった.症例2)では眼病変が高度のためステロイドパルス療法が行われ,その後疼痛などの末梢神経症状が出現した.症例3)ではエリテマトーデスとの鑑別を要した.症例4)は両耳垂部に生じたびまん浸潤型サルコイドーシスすなわちlupus pernio の典型例であった.症例5)は30 歳男性,多発する皮膚結節および皮下結節が特徴的で,高Ca血症を合併した.
  • 熊本 俊秀, 竹丸 誠, 姫野 隆洋
    2012 年 32 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    筋サルコイドーシスの各病型の臨床・病理所見を再検討した.腫瘤型は筋肉内腫瘤を触知するが,筋力低下,筋萎縮はなく,経過中にミオパチー型に移行することはない.急性~亜急性筋炎型と慢性ミオパチー型は発症様式を除けば,臨床・病理所見はほぼ同じで,近位筋優位,またはびまん性の四肢の筋力低下,筋萎縮を認め,筋肉内腫瘤は触知しない.慢性ミオパチー型は高齢女性に多く,稀に封入体筋炎像を示す.3 型とも筋肉痛は急性期にみられる.症候性筋サルコイドーシスは腫瘤(触知)型,ミオパチー型に大別し,後者の中を急性~亜急性型,慢性型と分類するのが妥当かもしれない.病型診断には骨格筋MRIや67Ga シンチグラフィーなどの画像診断とともに筋症状の把握が重要である.腫瘤型の筋崩壊機構は非壊死筋線維への肉芽腫炎症細胞の直接の浸潤と肉芽腫形成が主因であり,ミオパチー型は自己免疫など他の機序の関与が推測されるが,病態に関する研究は少ない.
  • 中西 宣文
    2012 年 32 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスは基本的には予後不良の疾患ではないとされるが,少数例で呼吸器疾患や心疾患を合併して重篤化し,特に肺高血圧症の合併例は予後不良であることが報告されている.サルコイドーシスにおける肺高血圧症の合併は肺線維症例で高頻度となる.この肺高血圧症の成因は十分明らかにされていないが,単に肺線維症における肺実質障害の結果として肺血管床が減少することのみでなく,特発性肺動脈性肺高血圧症に類似した肺血管病変など他の種々の病因が関与している可能性も指摘されている.近年,本症に対し肺動脈性肺高血圧症の治療薬や免疫抑制剤による治療の試みが始まっているが,効果が確認されている治療薬はいまだ存在しない.
  • 平光 伸也, 宮城島 賢二, 森 一真, 木村 央, 椎野 憲司, 石川 志保, 依田 竜二, 加藤 靖周, 森本 紳一郎, 尾崎 行男
    2012 年 32 巻 1 号 p. 43-45
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    心不全は,従来機械的なポンプ失調であると概念づけられ,その治療にはポンプ機能を増強する強心薬,負担を軽減する利尿薬,血管拡張薬が中心に使用されてきた.しかし最近では,心不全の病態の捉え方が大きく変化し,血行動態はもちろんであるが神経体液性因子の関与が重大であると認識されるようになった.疲れた心臓は強心薬で無理に動かすよりも,β遮断薬,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAA系)抑制薬を投与して休ませた方が,予後が改善することが判明した.また心不全は予後不良の症候群であるが,その治療により予後が左右されることが注目され,急性期から予後を改善する治療を行う必要性があると考えられている(Table
  • 塩見 利明, 篠邉 龍二郎, 前久保 亜希子
    2012 年 32 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    1983 年から29 年間にわたり,「循環器疾患における睡眠時無呼吸症候群(SAS)の合併とその意義」を研究してきたが,二十一世紀に入ってようやくその意義が明らかにされてきた.2010 年には,日本循環器学会からも「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療ガイドライン」が作成され,発表された.今後,心血管病の一次予防として,また心不全や虚血性心疾患など慢性疾患の生命予後にも影響するSASなどの睡眠呼吸障害(SDB)の早期診断と適切な治療の重要性は益々高まるものと考えられる.
解説
心臓サルコイドーシスをいかに診断するか
  • 加藤 靖周
    2012 年 32 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスによる心病変は,早期の診断と治療開始が重要である.現在の心臓サルコイドーシスの「診断の手引き」においては,サルコイドーシスによる全身反応所見に加え,心臓以外の臓器に組織所見もしくは臨床所見が認められることを前提としている.しかし,心臓サルコイドーシスが強く疑われながらも他臓器病変が明らかでないため,診断に苦慮することがある.このような症例では,治療開始の遅れがしばしば重症心不全や心室頻拍など病態悪化につながる.孤発性心病変とも考えられる自験例を提示し,このような症例をどのように扱うべきか提起をした.
  • 土田 哲人
    2012 年 32 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの心病変をいかに診断するか,ここではその検出のスクリーニング手段について概説する.すでに他臓器においてサルコイドーシスが確定診断されている例では,経時的な心電図と心エコーの観察が重要である.一方,サルコイドーシスと診断されていない例でも心疾患として高度房室ブロック,原因不明な心不全,心室性不整脈をきたす場合には鑑別すべき疾患として同疾患を疑い,心エコーおよび心臓MRI,またACE活性およびCTによる縦隔リンパ節腫大のチェックが重要である.
  • 皿井 正義, 森本 紳一郎
    2012 年 32 巻 1 号 p. 60-64
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    心臓サルコイドーシスの診断は容易ではなく,早期診断は予後を左右する.心臓核医学検査のテクネシウム心筋血流製剤である99mTc-MIBI (以下MIBI)の洗い出し率(washout rate; WOR)が注目されている.ミトコンドリア心筋症では,WORの高度な亢進が報告されている.虚血性心疾患,心不全,心筋症でもWORの亢進が報告されているが,心臓サルコイドーシスでの報告は今までにない.ステロイド治療群と未治療群の比較では,WOR と血中ACE値(ACE)はステロイド治療群で有意に低値であったが,左室駆出率に差はなかった.ステロイド治療前後にMIBI検査を施行した5 例では,ステロイド治療により,WORとACEは低下した.ステロイド治療開始後にMIBI検査を2 回施行した5 例では,WORとACEは上昇傾向を認めた.MIBIのWORの変化はACEと同じ傾向を示したので,心臓サルコイドーシスの活動性の評価やステロイド治療の効果判定に利用できる可能性が示唆された.
眼サルコイドーシス国際診断基準
  • 石原 麻美
    2012 年 32 巻 1 号 p. 65-67
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    近年,全国の大学付属病院におけるぶどう膜炎(内眼炎)の統計(2003 年)では,サルコイドーシスは原因疾患として約13%を占め,以前より増加していることが明らかになった1).眼科医のあいだでのサルコイドーシス診断基準の浸透とともに,眼科で検査をオーダーして診断をつけることが増えたためと考えられる.2006 年に診断基準の改訂が行われ,「サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き−2006 」が作成された2).同年,眼科医がサルコイドーシスを診断できるような国際診断基準を定めるためのワークショップが東京で開かれた.北米,ヨーロッパ,アジア各国のぶどう膜炎を専門とする眼科医が集まり,各国のサルコイドーシス事情を紹介したのち,日本の診断基準をたたき台にして,出席者(内科医も参加)の話し合いにより眼所見,検査所見,診断法を決め,「International Criteria for the Diagnosis of Ocular Sarcoidosis」(以下,国際診断基準)を作成した3)
  • 高瀬 博
    2012 年 32 巻 1 号 p. 68-70
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスは本邦のぶどう膜炎の原因として最も頻度が高い疾患である.ぶどう膜炎が主体のサルコイドーシス患者診断のために,臨床所見と検査所見の組み合わせによる国際診断基準が,“The First International Workshop on Ocular Sarcoidosis”において提唱された.この診断基準の妥当性を,組織診断群50名を含むぶどう膜炎患者370名を対象に検討を行った.対照のぶどう膜炎患者320名のうち14名がocular sarcoidosisに分類された.これらは全例がBHL陽性で,うち13 名は本邦の臨床診断群に合致した.国際診断基準で用いられた眼所見7 項目の診断パラメータはNPVが総じて高く,また肝酵素異常を除いた全身検査所見4項目では総じて感度,特異度,NPVが高かった.国際診断基準は,眼所見と臨床検査所見の多くで妥当なものと考えられる.
  • 岩橋 千春, 大黒 伸行
    2012 年 32 巻 1 号 p. 71-77
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの国際的な診断基準は確立されておらず,2006 年に眼サルコイドーシスの国際基準案(東京基準)が提唱されたが,この診断基準の妥当性の評価はあまり行われていない.今回,我が国10 大学で組織診断された眼サルコイドーシス287 症例を対象とし,後ろ向きに東京基準について検討した.東京基準の眼所見の項目は視神経乳頭肉芽腫/ 脈絡膜肉芽腫を除いては半数以上で陽性であり,約85 %が3項目以上を満たしていた.全身所見の項目については,両側肺門リンパ節腫脹を認めた症例が70 %以上を占めていた.肝酵素の上昇は2%に認められたにすぎなかった.全例で生検未施行と仮定した場合,Presumed Ocular Sarcoidosisの基準を満たす症例は71%であったのに対し,Probable Ocular Sarcoidosisは5%であり,再考を要すると思われた.東京基準案は一部の項目を除いてはおおむね臨床を反映していると考えられるが,国際基準としての妥当性の評価のためには,前向きで国際的な今後の検討を要する.
  • 四十坊 典晴
    2012 年 32 巻 1 号 p. 78-81
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    眼病変を有し,組織学的に類上皮細胞肉芽腫を証明したサルコイドーシス375 例(病期0,137 例;病期1,174例;病期2,53 例;病期3,11 例)において各種検査所見(血清ACE,血清リゾチーム,血清免疫グロブリンG(IgG),ツベルクリン反応(ツ反),気管支肺胞洗浄(BAL),ガリウムシンチグラフィー)を診断時に行い,異常の陽性率を解析した.BALはリンパ球比率とCD4/CD8 比の少なくとも1つが異常な場合を陽性とした.全体では国際基準の項目であるACEが49.3 %,リゾチームが50.9 %,ツ反が72.8 %で陽性であった.ACEかリゾチームどちらか陽性は64.4 %であった.IgGは14.4 %,BAL所見は非喫煙者で86.6 %,喫煙者で83.7 %,ガリウムシンチグラフィーは81.3%で陽性であった.検査が陽性を1点としてスコア化すると平均が病期0は2.44,病期1は3.72,病期2は4.09 ,病期3は3.27 であった.国際基準の検査項目であるツ反とACEまたはリゾチームに関しては2項目陽性の頻度は病期0は31.4 %,病期1は65.5 %,病期2は67.9 %,病期3は54.5 %であり,眼病変からサルコイドーシスが疑われた場合,BHLを有する症例はサルコイドーシスに特徴的な所見を有することが明らかになった.
サルコイドーシス治療におけるメトトレキサートの位置づけ
  • 山口 哲生
    2012 年 32 巻 1 号 p. 83-84
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    MTXは,一般に“steroid sparing effect”があるとされ,副腎皮質ステロイドホルモン薬と併用して用いることは海外では多く行われているが単剤での有効性は明らかではない.また,ステロイドとの併用で効果があるといわれても「明らかなevidence 」とは言い難く,それゆえ日本ではあまり用いられておらず,またガイドラインにも掲載されない.これは,サルコイドーシスの多様性(個人における臨床経過の違いの幅が大きいこと)と自然改善があるために薬剤の効果判定が行いづらいことにも起因しているだろう.とはいえ,有効率は低いが,臨床の現場では「これは確かにMTXが有効であった」といえる症例がある.十分な注意と同意のもとにサルコイドーシスの治療に用いてもよい薬剤であると思える.
  • 長井 苑子
    2012 年 32 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    当所サルコイドーシス専門外来において,心臓病変へのステロイドとメトトレキサート併用治療による心機能の時間的推移について検討した.併用治療で経過観察平均75.1 ヵ月の7症例(男性2,女性5名,平均年齢57.6歳,心病変発見後平均29.7 ヵ月でペースメーカー装着,ACE 23.9,BHL4,肺野病変3,)と10年以上の経過(170.5 ヵ月)をみたステロイド単独症例2例(女性,75.5 歳,心病変発見後平均48.5 ヵ月でペースメーカー装着,ACE28.3,BHL1,肺野1)について心臓超音波上駆出率の変化を比較した.併用治療7例の心エコー上駆出率(平均)は,治療開始時点58.5 %,1年目55.4 %,3年目52.8 %,5年目56.4 %,8年目63.2 %であった.ステロイド単独を希望し経過をみた2例では,開始時26%,54.2%で,5年目には25.3%,33.6%,8年目には27.4%,30.8%であった.症例数が少ないが,併用治療では改善および安定が認められることと,副作用が少ないことがあげられた.
リンパ脈管筋腫症の新たな分子標的治療
MRIによる心筋遅延造影について
原著
  • 永井 利幸, 香坂 俊, 奥田 茂男, 浅野 浩一郎, 安斉 俊久, 福田 恵一
    2012 年 32 巻 1 号 p. 93-100
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスにおいて,心病変の存在は最大の予後規定因子であるとされている.近年画像診断の進歩により,心臓MRI遅延造影(Late gadlinium enhancement-cardiac magnetic resonance: LGE-CMR)を用いた心病変の早期検出と予後への寄与を算出できる可能性が見出された.今回我々は,心臓外病変で組織学的あるいは臨床的にサルコイドーシスと確定診断され,特に胸部症状を認めず,左室駆出率も保たれた連続した57例を登録し,LGE-CMRを施行した後に約2年間前向きに観察した.結果,8例がLGE-CMR陽性であり,様々な造影パターンを認めた.LGE-CMR陽性群は陰性群と比較して血清ACE値が低値であった他は罹患臓器数,罹患期間,ステロイド使用の有無に差を認めなかった.観察期間内の評価では,死亡例は肺病変によるLGE-CMR陰性群の1例のみであり,全死亡,心臓死,症候性不整脈,心不全発症に関して,両群で有意な差を認めなかったが,LGE-CMR陽性群のうち,1例で高度房室ブロックにより,ペースメーカー植え込み術が施行され,1例でステロイド治療の開始により半年後のLGE-CMR所見の改善を認めた.結論として,無症候の段階でのLGE-CMRによる心病変の早期検出および,早期介入の可能性は期待できるが,こうした潜在例では中期的な予後は比較的良好と考えられた
  • 安東 優, 西尾 末広, 江原 千尋, 増田 大輝, 藤崎 秀明, 山末 まり, 石井 稔浩, 竹中 隆一, 伊東 猛雄, 濡木 真一, 縄 ...
    2012 年 32 巻 1 号 p. 101-105
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    腎機能障害を呈したサルコイドーシスの頻度,病態,臨床経過,治療予後について検討した.対象は2001 年1月から2011 年6月までに当科に入院し,組織学的にサルコイドーシスと診断した106 症例とした.腎機能障害をeGFR<60 mL/min/1.73m2 が少なくとも3ヵ月以上続くものと定義すると,腎機能障害を呈するサルコイドーシス患者は16例(15.1%)であった.そのうち,組織学的に腎サルコイドーシスと診断した症例は4例(3.8%),肉芽腫を認めないが腎病変を強く示唆する臨床所見を認め腎サルコイドーシスが疑われた症例は7例(6.6 %)であった.血清Ca 濃度は全例11 mg/dL以下であり,腎機能障害の原因としてCa 代謝異常の関与は低いと考えられた.また,経過を検討すると,ステロイド治療により6ヵ月後のeGFR値は若干改善したものの,全例で60 mL/ min/1.73m2 未満に留まった.我々の検討では,サルコイドーシスに関連する腎機能障害の原因としてCa 代謝異常の関与は低いことから,腎機能障害を認める場合は腎生検による詳細な検討が必要である.
  • 平澤 康孝, 山口 哲生, 前村 啓太, 竹島 英之, 槇田 広佑, 山口 陽子, 一色 琢磨, 細木 敬祐, 在間 未佳, 河野 千代子, ...
    2012 年 32 巻 1 号 p. 107-111
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    当科で6ヵ月以上経過を観察したサルコイドーシス688人のうち,41人に43個(15種類)の悪性腫瘍(以下がん)の既往または新規発症が認められた.サルコイドーシスの発症時にがんの既往があるかあるいは同時発見のもの(既往群)は19 例,サルコイドーシスの経過中に新たにがんの発症がみられたもの(新規群)は24 例であった.サルコイドーシス発症からがん発症までの期間は中間値で8.6 年,がん発症からサルコイドーシス発症までの期間は7.6年であった.2つの疾患の発症が10年以内のものは76%と多く,また,がんの発症年齢中間値は既往群50.1歳,新規群56.5 歳と比較的若年のものに多かった.これらのことから,これら2つの疾病の発症には何らかの関連性がある可能性が示唆された.
症例報告
  • 高佐 顕之, 中山 雅之, 坂東 政司, 間藤 尚子, 中屋 孝清, 細野 達也, 山沢 英明, 杉山 幸比古
    2012 年 32 巻 1 号 p. 113-117
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    症例は51 歳女性.2008 年12 月に右大腿から膝にかけて丘疹が出現し,左上腕・臀部・両側大腿に皮下硬結を自覚した.その約2週間後から37 –38 ℃の発熱を認め,両膝・足関節の腫脹,疼痛を自覚し,さらに左膝から下腿にかけて結節性紅斑が出現した.臀部皮下硬結の生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めた.胸部単純X線写真で肺門部リンパ節腫脹を認めたため,サルコイドーシスが疑われ当科に紹介された.MRI画像所見から腫瘤型筋サルコイドーシスと診断した.また両側肺門リンパ節腫脹を認め,関節炎,結節性紅斑を伴っていたことからLöfgren 症候群を合併していたと考えられた.Löfgren 症候群は本邦では稀であり,また腫瘤型筋サルコイドーシスとの合併は報告されておらず,貴重な症例と考え報告する.
  • 杉山 英太郎, 竹中 孝, 加藤 瑞季, 蓑島 暁帆, 武藤 晴達, 乗安 和将, 藤田 雅章, 佐藤 実, 別役 徹生, 井上 仁喜, 寺 ...
    2012 年 32 巻 1 号 p. 119-126
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,男性.主訴は失神.自宅で洗面中に失神し,近医を受診.完全房室ブロックを認め入院,一時ペースメーカを挿入された後,当科を紹介された.完全房室ブロックが持続したため,恒久ペースメーカを植え込み,原因精査を行った.左室造影で心尖部に一部無収縮を認めたが,右室心筋生検では非特異的な所見のみで,確定診断には至らなかった.全身検索を行ったところ,CT上縦隔リンパ節腫脹,肺粒状影と肝脾内に多発する腫瘤を認め,肺,肝脾サルコイドーシスが疑われた.経気管支肺生検や経皮的肝生検では異常所見を認めなかった.肝脾の腫瘤はエコーでは同定できなかったため,確定診断のため腹腔鏡下で肝生検を行った.肝表面に黄白色の結節を確認でき,同部位の生検にて多核巨細胞浸潤を伴う類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスと診断しえた.サルコイドーシスの確定診断に,腹腔鏡下肝生検が有用であった.
  • 金津 正樹, 井上 義一, 杉本 親寿, 露口 一成, 庄田 武司, 新井 徹, 審良 正則, 北市 正則, 林 清二
    2012 年 32 巻 1 号 p. 127-135
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスに膠原病を合併することは,1994年の全国統計ではサルコイドーシス877例中37例(4.2%)で,比較的稀と考えられる.当院でサルコイドーシスと診断し,膠原病を合併した3症例の臨床像について検討した.全例女性で,年齢は64 –77 歳であった.3例中2例はサルコイドーシスが先行した.症例1では眼サルコイドーシス発症から12 年後に強皮症と診断した.症例2は皮膚サルコイドーシス発症から23 年後に強皮症およびシェーグレン症候群の合併と診断した.症例3は膠原病が先行し,混合性結合組織病と診断した6年後,ステロイド治療中に虹彩炎が出現した.胸部CTで肺野の粒状陰影の出現を認め,気管支鏡等の精査の結果,サルコイドーシスと診断した.膠原病とサルコイドーシスは共に全身性疾患であり,かつ肺に病変を形成するため,両疾患の合併例では慎重に診断および治療にあたる必要がある.
  • 中塚 賀也, 安田 一行, 辻 貴宏, 加持 雄介, 安田 武洋, 橋本 成修, 寺田 邦彦, 黄 文禧, 羽白 高, 田中 栄作, 田口 ...
    2012 年 32 巻 1 号 p. 137-143
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    症例は78 歳男性.1995 年,67 歳時に発熱・ぶどう膜炎・両側肺野浸潤影を来し,経気管支肺生検で非乾酪性肉芽腫が確認され,サルコイドーシスと診断された.その後ステロイド治療により寛解に至り,1998 年に治療を終了した.しかし,2000 年に両側肺野の間質影が増強し,再燃と考えて治療を再開したが,サルコイドーシスの肺病変を認めた領域に一致して線維化が進行した.2006 年12 月,急速な呼吸不全増悪と両側肺野すりガラス状陰影の出現を認め,臨床的に線維化肺の急性増悪と診断し加療するも死亡した.剖検肺では肉芽腫を認めず,線維化のない残存肺で硝子膜形成を伴うびまん性肺胞障害の所見を認めた.線維化病変は,上肺野では気管支血管束周囲主体であったが,下肺野では胸膜直下に強く認められた.サルコイドーシスの経過中びまん性肺胞障害を来す事は稀であり,報告する.
  • 藪内 健一, 岡崎 敏郎, 中村 憲一郎, 花岡 拓哉, 荒川 竜樹, 木村 成志, 熊本 俊秀
    2012 年 32 巻 1 号 p. 145-152
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    症例は56 歳,女性.乳癌の既往あり.2010 年5月より霧視と羞明感を自覚していた.同年9月に頭痛,難聴および右顔面神経麻痺が出現し,近医にて髄膜炎と診断されたが,頭部MRIで右蝶形骨内に造影される腫瘤を認め,当院転院となった.神経学的に右末梢性顔面神経麻痺,両側難聴,項部硬直,小脳失調および下肢異常感覚を認めた.ACE高値,ツベルクリン反応の陰転化,CD4/CD8 比の増加,両側肺門リンパ節腫脹およびGa シンチグラフィ集積像を認めた.経気管支肺生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が指摘され,神経サルコイドーシス(組織診断群/probable群)と診断した.右蝶形骨内の腫瘤は,外科的生検の結果whorl formationの存在,vimentinおよび S-100蛋白陽性から髄膜腫と診断した.サルコイドーシスに頭蓋内腫瘤を認めた場合,腫瘍との鑑別が困難である場合が多いため,外科的生検が必要である.
  • 中屋 孝清, 中山 雅之, 草野 彩, 大圃 美穂, 山内 浩義, 小松 有, 平野 利勝, 間藤 尚子, 山沢 英明, 坂東 政司, 福嶋 ...
    2012 年 32 巻 1 号 p. 153-159
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    症例は21 歳の時に関節リウマチの既往がある52 歳,女性.2007 年12 月に経気管支肺生検にて器質化肺炎と診断され,ステロイド療法を導入された.以後,肺野の陰影は消失したため,2009年8月にステロイドは中止となった.2010 年2月の胸部CTにて縦隔リンパ節腫大,4月から霧視,12 月上旬からは心不全に伴う労作時呼吸困難が出現した.2011 年1月に入院後,TBLB検体の再評価,心臓超音波,心臓造影MRI,ガリウムシンチグラフィなどの所見より,心サルコイドーシスによる心不全と診断した.プレドニゾロン30 mg/日とフロセミド20 mg/日を開始後,速やかに心不全による呼吸不全は改善し,縦隔リンパ節腫大の縮小も認めた.器質化肺炎で発症したサルコイドーシスは稀であり,また再燃時の病態が異なることからサルコイドーシスの病態を解明する上で有用であると考えられた.
  • 村松 聡士, 玉田 勉, 奈良 正之, 村上 康司, 海老名 雅仁, 一ノ瀬 正和
    2012 年 32 巻 1 号 p. 161-169
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの臨床所見,自然経過及び予後は症例によって大きく異なり様々なフェノタイプ分類が試みられてきている.なかでも生活様式の変化や精神的ストレスによってサルコイドーシスの臨床経過が左右される症例も多い.2011 年3月11 日の東日本大震災のような,同時期に広範囲で甚大な被害を引き起こした震災に伴う病勢の変化によるフェノタイプ分類を検討した報告は少ない.そこで今回,当院通院中の安定期サルコイドーシス患者の東日本大震災前後における病勢の変化を後ろ向きに検討した.サルコイドーシス通院患者全129 例中5例で病勢の変化を認め,うち2例は改善し3例は増悪していた.気管支喘息やCOPD等では震災後に増悪患者が増加しているとの報告が多いが,サルコイドーシス患者では増悪だけではなく改善している患者が存在していた点で興味深い.今後同様の症例を集積し因果関係も含めてさらに検討を行う必要があると考えられた.
  • 松本 健, 高橋 典明, 植松 昭仁, 大木 隆史, 権 寧博, 岩井 和郎, 中山 智祥, 橋本 修
    2012 年 32 巻 1 号 p. 171-178
    発行日: 2012/09/27
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    症例は38 歳の男性.胸部異常陰影,ぶどう膜炎を指摘され紹介受診した.胸部X線検査にて両側肺門リンパ節腫脹,両中下肺野の小結節陰影を認め,TBLBにて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を証明した.緩やかな血清ACE値上昇と小結節陰影の増加を認めていたが,症状や呼吸機能障害を認めず,経過観察としていた.初診時より5年後に偶発的と思われる肺結核症を発症した.入院にて抗結核薬(INH,RFP,EB,PZA)治療を開始した.結核治療中,一時的に血清ACE値低下を認めたが,抗結核薬治療終了後より肺野病変の増悪と血清ACE値上昇を認めた.結核性病変の進展あるいはサルコイドーシスの活動性上昇を疑い,再度TBLBを行ったが結核菌を認めず,サルコイドーシスに矛盾しない所見であった.現在まで経過観察中であるが,無治療にてサルコイドーシスは寛解状態に至った.これまでに結核治療を契機に寛解状態に至ったサルコイドーシスの報告はなく,非常に稀な例であり,文献的考察を加え報告する.
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