日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
33 巻 , 1 号
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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追悼文
グラニュローマ
学会受賞講演
  • 石原 麻美
    2013 年 33 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスは多因子疾患であり,遺伝的素因と外的環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられている.筆者らはサルコイドーシスの発症に関与する遺伝要因(疾患感受性遺伝子)を同定することを目的として,候補遺伝子アプローチを行ってきた.まず,サルコイドーシスにおけるHLA(human leukocyte antigen)遺伝子タイピングを初めて行い,第6染色体短腕上のHLAクラスⅡ領域に位置するHLA-DRB1遺伝子が疾患発症に関わっている可能性を報告した.HLA以外の疾患感受性遺伝子として,HLA-DRB1遺伝子の近傍に位置し,T細胞抑制作用をもつBTNL2(Butyrophilin-like protein 2)遺伝子と本症の関与を明らかにした.また,IFNA17(Interferon A17)遺伝子の多型がIFN-αやIL-12産生亢進を通じて肉芽腫形成に関わっている可能性を示した.さらに,日本人サルコイドーシスにおける新たな疾患感受性遺伝子を同定する目的で,多施設から収集した多数検体を用いてgenome-wide association study(GWAS)を施行した.第6染色体短腕のHLAクラスⅡ領域が,日本人においても顕著な相関を示し,人種共通の疾患感受性領域であることが明らかになった.さらにHLA領域以外に新たな候補遺伝子領域を見出した.
総説
  • 小橋 陽一郎, 河端 美則, 網谷 良一
    2013 年 33 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    網谷らは1992年,上葉に限局した肺線維症で,結核などの原因の明らかでない13例を,特発性上葉限局型肺線維症(idiopathic pulmonary upper lobe fibrosis: IPUF)として報告した.IPUFは,胸郭は極めて扁平,胸郭外病変はなく,緩徐ではあるが確実に進行し,10–20年の経過で死亡する例が多い.病理学的には,両肺上葉が著しく縮小化し,両側肺門が挙上.線維化病変は,上肺野に限局してみられ,下葉にはほとんど病変は認められない.胸膜の線維性肥厚があり,気腔内を充満する形の線維化が形成され,時間経過した部分では,肺胞が虚脱,肺胞壁は折り畳まれた形となり,弾性線維が一見増加したように観察される.線維化巣と下方の正常肺の境界は明瞭である.近年,idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis(idiopathic PPFE)としてIPUF類似の組織像を呈する上葉優位型の病変が報告され,新しい間質性肺炎の組織学的分類のなかに,rare IIPsの一つとして取り上げられるようで,さらなる知見の蓄積がなされるものと期待したい.
  • 田中 伴典
    2013 年 33 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    肺にはさまざまな肉芽腫性疾患が存在する.サルコイドーシスをはじめ,抗酸菌・真菌などによる感染症,granulomatosis with polyangiitis(かつてのWegener's granulomatosis),膠原病や自己免疫応答に関与するもの,過敏性肺炎や,悪性腫瘍に合併するものまで多岐にわたり,その病理像もまた多彩である.サルコイドーシスをはじめとする肺の肉芽腫性病変の病理診断は,原因の多様性や,疾患ごとの組織像のオーバーラップ,非典型例も少なからず存在し,診断に困難を感じるものも少なくない.本稿では,病理学的な“肉芽腫”および“肉芽腫様所見”のバリエーションとそれらの認識の一致度について簡単に述べ,サルコイドーシスを中心に肉芽腫性肺疾患の病理像の多彩性を紹介する.
  • 藤本 圭作
    2013 年 33 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    病期Ⅰの20%,病期Ⅱの40%,病期ⅢとⅣの80%に呼吸機能障害を認める.30–50%に閉塞性換気障害を認め,腫大したリンパ節による圧排,とくに末梢気道を中心とした気道の肉芽腫病変の形成・線維化が主な原因と考えられる.また気流閉塞と関連して,約50%に気道反応性亢進が認められる.間質の線維化が進行すると,ガス交換障害が顕著となり,拘束性換気障害を伴ってくるが,胸部CTによる画像所見と呼吸機能異常とは必ずしもパラレルではなく,明らかな肺野病変がなくても閉塞性換気障害や肺拡散能力の低下を認める.また,運動負荷試験は呼吸機能障害の検出に鋭敏である.運動耐容能は病期の進行とともに低下する.運動制限因子として換気制限,ガス交換障害が重要な因子であるが,病期の進行とともに吸気筋力の低下,心筋病変に伴う心機能の低下も運動耐容能低下に関与していると考えられる.
  • 藤本 公則
    2013 年 33 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの胸部単純X線分類は,その頻度や治癒率が知られており重要である.単純X線写真におけるリンパ節病変の検索法として,肺門陰影,気管軸,気管分岐角の見方,肺・縦隔境界面ではとくに右気管傍線,奇静脈・食道陥凹,肺動脈–大動脈境界,肺動脈–大動脈窓など所属リンパ節のチェック部位として熟知しておきたい項目である.肺野病変については高分解能CT(HRCT)の読影法として,Millerの二次小葉を基本としたリンパ路病変の見方が基本的な病変の広がりを知るうえで重要である.他方,サルコイドーシスの胸部病変は,多種多様な画像所見を呈することも知っておく必要がある
  • 玉田 勉
    2013 年 33 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの骨・筋肉・関節病変は比較的頻度は低いものの,しばしば難治性であり長期間の副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)投与を要する傾向がある.診断については整形外科医の協力が必要であるが,手術を要しない内科的治療に関しては,サルコイドーシスに対する全身ステロイド療法の経験の多さからか,われわれ内科医が行うことが多い.骨・筋肉・関節病変に対する治療効果の判定やステロイドの漸減のタイミングなどの判断は,患者の自覚症状に頼ることが多く,われわれ内科医にとって客観的指標に基づく判断をするのは困難である.また患者の側でもステロイドの導入および減量にあたっては,症状が軽度で日常生活が可能な程度であれば,ステロイドを内服せずに我慢する場合もあり,治療方針の決定がスムーズにいかないことも多い.本セミナーではこれら骨・筋肉・関節病変について,東北大学病院サルコイドーシス外来で経験した症例を紹介しつつ,われわれ内科医でできる範囲での診断の手順や,特徴的な画像所見および治療方針などに関して概述する.
  • 石原 麻美
    2013 年 33 巻 1 号 p. 43-45
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    最近の眼科のトピックスとして,疫学,診断,治療,遺伝要因について紹介する.①ぶどう膜炎の統計:サルコイドーシスはぶどう膜炎の原因疾患として一番多い疾患であり,かつ65歳以上の高齢者ぶどう膜炎の中でも最多であった.②診断:眼所見と全身検査所見の組み合わせによる「眼サルコイドーシス国際診断基準(案)」を使って,横浜市立大学におけるぶどう膜炎新患患者118例を前向きに検討した.国際基準でサルコイドーシスと診断された患者20例は,18例(90%)がBHL陽性で,全例が日本の診断基準でも本症と診断された.両診断基準の一致率は概ね高いと考えられた.③治療:ステロイド抵抗症例や眼合併症に対し,硝子体手術は治療の選択肢の一つとなってきている.④遺伝要因:サルコイドーシスの疾患感受性遺伝子の検索のため,患者700例および健常人886例を用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った.HLAクラスⅡ領域と疾患との顕著な相関が確認され,HLA領域以外に新たな疾患感受性候補遺伝子領域を見出した.
  • 岡本 祐之
    2013 年 33 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの皮膚病変の基本的治療は副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)の外用であるが,強力な薬剤でも効果がないことがある.そのため,ステロイド以外の局所あるいは全身療法が試みられている.タクロリムス軟膏はステロイド外用薬の副作用が出やすい顔面の皮疹に対し推奨されたアトピー性皮膚炎治療薬であり,顔面に好発するサルコイドーシスの皮膚病変に対しても有用な症例が経験される.光線療法ではnarrow band UVB療法やターゲット型エキシマライト,光線力学療法が多くの肉芽腫症に有効であることが報告されている.一方,全身療法ではミノサイクリンの有効例が蓄積されているが,皮膚病変に対する有効性が他の臓器病変に対する有効性よりも高いと認識されている.TNF-α阻害薬は諸外国でサルコイドーシスに対する有効性が報告されているものの,paradoxical reactionによって関節リウマチ,Crohn病などの治療中にサルコイドーシスが誘発されることがあり,その誘発機序の解明が待たれるところである.皮膚病変の主な治療に関する最近のトピックスについて概説した.
解説
  • 濱田 泰伸
    2013 年 33 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの診断や病勢の把握のために,アンジオテンシン変換酵素などさまざまな血清マーカーが使用されている.肺サルコイドーシスを対象として,リンパ球性胞隔炎を反映し,肺野陰影の増加の予測因子となる血清マーカーについて比較・検討した.血中可溶性インターロイキン2受容体,lysozyme,KL-6は肺野に陰影を有する患者で高値を示し,気管支肺胞洗浄液中の総細胞数,リンパ球数,CD4陽性Tリンパ球数と相関を認め,肺サルコイドーシスのリンパ球性胞隔炎を反映することが示唆された.また,診断時のKL-6は肺サルコイドーシスの肺野陰影の増加の予測因子となることが示唆された.
  • 渡辺 憲太朗
    2013 年 33 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    4例の二次性の上葉肺線維症を報告する.いずれの症例も組織学的にpleuroparenchymal fibroelastosis(PPFE)と診断しえた.[症例1]肺移植後の慢性拒絶の1表現型として発症したPPFE.30歳で生体肺移植を受け,4年4ヵ月で死亡した.剖検にてPPFEと閉塞性細気管支炎(BO)の両者が証明された.肺胞内病変と末梢気道病変のいずれが優勢かにより,肺線維症もしくはBOSという表現型が決定することが推察された.[症例2]潰瘍性大腸炎(UC)で治療中にPPFEを発症した44歳,男性.[症例3]MACを併発したPPFE.48歳時,気胸を発症し,生検でPPFEが証明された.気胸後1年以上経過して喀痰からM. aviumを排菌するようになった. MAC感染がPPFEの発症・進展に直接関連があったかどうかは不明である.[症例4]食道癌に対する放射線照射後に呼吸不全が進行し,照射後4年で死亡した70歳,男性.剖検によりPPFEと判明した.放射線肺障害の一つの表現型としてPPFEという組織学的パターンがどのような臨床的背景で出現するのか今後の研究課題である.
  • 天野 康雄
    2013 年 33 巻 1 号 p. 61-63
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    心臓サルコイドーシスは,サルコイドーシスが直接死因となった症例の約80%で,その原因とされている重篤な合併症である.MRIは心臓サルコイドーシスの描出に有用であり,遅延造影MRIは診断基準の副徴候に採用されている.遅延造影MRIは組織内の造影剤量の差異を描出する撮像法で,心臓サルコイドーシスに関連するfibrosisおよびgranulomatous infiltrationを描出する.遅延造影MRIは診断に有用であるのみならず,その所見は不整脈や心不全などと関連し,予後の予測に有用である.T2強調像はgranulomatous infiltrationの浮腫や炎症を高信号域として描出する.T2強調像で描出される心筋病変は,不整脈や18F-FDG PETで描出される炎症と相応し,副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)が有効である可能性が示唆される.シネMRIは心形態の変化や機能異常を高い再現性で描出する.心臓MRIは以上の撮像法を一度の検査の中に含めており,心臓サルコイドーシスの診断,治療方針の決定,予後の予測や経過観察に有用である.
  • 高橋 夕芙子, 中島 崇智
    2013 年 33 巻 1 号 p. 65-66
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスにおける心臓病変の合併は,生命予後に直接影響を与えることから,心臓病変のスクリーニングが重要と考えられる.当院において,心臓サルコイドーシスあるいは他臓器サルコイドーシスで心臓病変の合併を疑って心臓MRI検査を施行した連続50症例を検討したところ,2006年診断基準で心臓サルコイドーシスと診断したのは35症例であり,遅延造影所見による診断能は感度86%,特異度87%,陽性的中率93%,陰性的中率72%,正確度86%で,心臓MRIの遅延造影所見は心臓病変のスクリーニング検査として有用と考えられた.心臓サルコイドーシスの遅延造影像の特徴は,心外膜側ないしは全層性の明瞭な遅延造影所見であり,また遅延造影セグメント数と左室内腔径には正の相関を,心機能とは負の相関を認めた.以上から他臓器にサルコイドーシスを認めた場合には,心臓病変合併の早期発見,治療のために心臓MRI検査を施行することが重要と考えられた.
  • 真鍋 徳子
    2013 年 33 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスは全身の諸臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫をきたす原因不明の炎症性疾患である.心臓への波及は剖検例で20–30%程度とされるが,日本人は欧米人と比べて心病変の合併が高いとされている.心病変を有する例の約30%にAVブロックなどの高度な伝導障害,心室性期外収縮,心不全など致死的症例がみられ,サルコイドーシスの死因の47–78%を占める重要な合併症である.心筋生検により確定診断に至るが,感度は低く,非侵襲的に病変を検出できる遅延造影MRIが有用である.遅延造影MRIは,虚血性心疾患において心筋バイアビリティ評価に広く使用されているが,心筋梗塞のほか,非特異的炎症および種々の原因による線維化でも造影され,心臓サルコイドーシスでの異常増強像についても多くの報告がある.2012年4月に保険適用になったFDG PET所見と比較し,心臓MRIを心臓サルコイドーシスの診断にどう活かしているかを紹介する.
  • 中島 衡
    2013 年 33 巻 1 号 p. 71-73
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    IgG4関連疾患は,リンパ球とIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化により,同時性あるいは異時性に全身臓器の腫大や結節・肥厚などを認める原因不明の疾患である.血液中のIgG4値が高いことは特徴的所見であるが,同時に IgE, IgG値も高値を示すことが多く,自己抗体を有する例も少なくはない.罹患組織の検討からTh2細胞,制御性T細胞が中心になってつくりだす病態であることが示唆されているが,自己免疫疾患なのかアレルギー疾患なのか?この問いに対しても明確には答えられないのが現在の状況である.IgG4関連疾患は,日本が発信した疾患概念である.今後わが国を中心とした集学的な病態解析による免疫学的機序の解明が必要であると思われる.
  • 門田 淳一
    2013 年 33 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    咳嗽は持続時間によって急性咳嗽,遷延性咳嗽,および慢性咳嗽に分類される.急性咳嗽の多くは感染性咳嗽で,ウイルス感染による風邪や急性気管支炎が原因となることが多く,咳嗽は通常7–10日程度で自然に治まるため基本的に抗微生物薬は不要である.咳嗽が2週間以上持続する場合には胸部X線検査を行って異常陰影の有無を確認する.マイコプラズマ,肺炎クラミジア,百日咳を考えた場合には,周囲への感染伝播を予防する目的でマクロライド系抗菌薬を投与する.遷延性・慢性咳嗽で喀痰中に好中球が多数認められれば副鼻腔気管支症候群を考え,治療として14員環あるいは15員環マクロライド系抗菌薬の長期療法を行う.一方,咳嗽反射低下に伴う不顕性誤嚥による肺炎は,超高齢者肺炎患者における最大の予後予測因子であり,抗菌薬による治療失敗は予後に影響を与えない.つまり抗菌薬のみでは予後の改善を図ることは難しく,咳嗽反射改善などに対する予防に重点を置いた戦略が求められる.
原著
  • 平野 涼介, 吉田 祐士, 松本 武格, 田代 尚樹, 原田 泰志, 廣田 貴子, 白石 素公, 藤田 昌樹, 渡辺 憲太朗
    2013 年 33 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシスの閉塞性換気障害について検討した.2000年1月から2012年8月の間に当科で診断したサルコイドーシス症例でFEV1/FVCが70%未満の症例を後ろ向きに検討した.スパイロメトリーが施行された75例のうち,初診時あるいは経過中にFEV1/FVCが70%未満の症例が20例(27%)あった.気管支拡張薬の吸入によって有意な可逆性を示した症例はなかったが,FEV1/FVCが70%未満の症例に小児喘息の既往のある症例が有意に多かった.ACEを含めて各種臨床パラメーターや気管支鏡の肉眼所見と閉塞性換気障害との間に有意な関連はなかった.一方FVC が予測値の80%未満の拘束性換気障害を呈する症例は6例のみであり,閉塞性換気障害を示す症例が多かった.閉塞性換気障害はサルコイドーシスにおいて稀ならず遭遇する.気流閉塞は予後との関連が報告されており,見逃さないように留意すべき病態である.
  • 村上 康司, 玉田 勉, 奈良 正之, 光石 陽一郎, 村松 聡士, 海老名 雅仁, 一ノ瀬 正和
    2013 年 33 巻 1 号 p. 83-89
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    診断基準が2006年に改訂され,診断に2臓器以上の病変の存在が必須となったことにより,サルコイドーシス診断の臨床像に変化がみられていると考えられている.そこで今回われわれは2000–2011年での当科新規診断症例から,診断前に副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)未治療である162例を対象に診断基準改訂前後の2群に分け,その臨床像を比較した.結果は診断基準改訂後に心臓,神経等の重篤な罹患臓器の割合が増加していた.これは診断基準変更により,より積極的に全身検索が行われるようになったことおよび近年の画像診断技術の進歩等がその理由として考えられた.また,sIL-2Rは活性化Tリンパ球を反映するとされ,サルコイドーシスの疾患活動性と相関するとされる.前述の162例中,診断後にステロイドを導入されていない115例を対象にACEおよびsIL-2Rの経時的変化と自然予後との関係を検討したところ,sIL-2Rの変化率(ΔsIL-2R)が自然予後と相関していた.本検討ではΔsIL-2Rは有用な予後予測因子となることが示唆された.
症例報告
  • 森 由弘, 菊池 宏, 市川 裕久, 荒川 裕佳子, 前田 剛, 厚井 文一, 粟井 一哉
    2013 年 33 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    多発関節炎,結節性紅斑,両側肺門リンパ節腫脹(BHL)を3主徴とする急性型サルコイドーシスの1型であるLöfgren症候群を2例経験した.症例1は42歳のペルー人女性であり,3ヵ月続く両足関節痛と下腿の有痛性紅斑を認めた.胸部X線写真で著明なBHLと両側肺野のびまん性間質性陰影を認めた.肺生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を,下腿皮膚生検で無菌性脂肪織炎を確認した.プレドニゾロン30 mg/日の投与により速やかに症状が改善し経過も良好であった.症例2は32歳の日本人男性であり,38℃の発熱と両アキレス腱痛と多発関節痛を認めた.胸部X線写真で著明なBHLと両側肺野のびまん性間質性陰影と下腿の結節性紅斑を認めた.皮膚生検では非特異的炎症所見であったが,ACE 36.8 IU/Lと高値であり急性型サルコイドーシスと臨床診断した.プレドニゾロン40 mg/日を投与後速やかに改善した.その後3年間再発せずLöfgren症候群と診断した.本症はサルコイドーシスの亜型として日本人には非常に稀な疾患であるが,文献上欧米例と比較して発熱例やⅡ期症例が多く,副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)治療を余儀なくされる症例が多かった.
  • 和田 曉彦, 玉腰 淳子, 鈴木 敏夫, 宮本 牧, 村田 研吾, 三倉 真一郎, 蛇澤 晶, 小原 徹也, 藤田 明, 高森 幹雄
    2013 年 33 巻 1 号 p. 97-103
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は63歳, 女性.関節リウマチの治療としてサラゾスルファピリジンを1年間投与後,メトトレキサート単剤,さらにメトトレキサートとブシラミンを併用して治療中に,咳,発熱が続くようになり,両側肺に多発結節が出現した.胸腔鏡下肺生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が認められ,肉芽腫内部にPropionibacterium acnes抗体染色陽性部位が認められた.他疾患の除外によりサルコイドーシスと診断した.PET-CTでは肺内,肺門縦隔リンパ節,脾以外に異常集積を認めなかった.経過観察したところ増悪が続いた.副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)治療を開始したところ,咳,発熱,結節影とも速やかに改善がみられた.メトトレキサートはステロイドとの併用でサルコイドーシスの治療にも用いられ,単剤でも症例によって有効な薬剤だが,本症例はメトトレキサートを投与中にサルコイドーシスを発症したと考えられるため報告する.
  • 粟野 暢康, 園田 唯, 近藤 圭介, 小野 竜, 守屋 敦子, 安藤 常浩, 生島 壮一郎, 熊坂 利夫, 武村 民子
    2013 年 33 巻 1 号 p. 105-110
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.入院10日前より咳嗽,呼吸困難,発熱を認めた.近医にて抗生物質治療を受けるも症状改善せず,画像では両側下葉優位に広範な浸潤影を認めた.当院入院後,抗生物質を変更するも改善せず,BAL所見はリンパ球17%,CD4/CD8比5.7であった.TBLBでは肺胞腔内器質化を伴う肉芽腫を認め,抗酸菌感染の鑑別を要した.各種検査で病原菌は検出されず,VATSでは壊死を伴う肉芽腫と肉芽腫性血管炎,腔内器質化を認めた.P. acnesの免疫染色で陽性所見を認め,器質化病変を伴うサルコイドーシスと診断し,プレドニゾロン25 mg/dayを投与し,奏功した.器質化肺炎で発症したサルコイドーシスは稀であり,貴重な症例として報告する.
  • 磯貝 俊明, 田中 博之, 二川 圭介, 上田 哲郎, 高森 幹雄, 藤田 明
    2013 年 33 巻 1 号 p. 111-115
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は41歳,男性.両側肺門リンパ節腫大の精査の結果,サルコイドーシスと診断.心電図で1度房室ブロックを認めたが,心エコーと67Ga citrateシンチグラムでは心臓に異常所見を認めなかったため,薬物治療は行わずに経過観察した.4ヵ月後にPQ間隔の延長を認め,外来精査を予定していたが,高度房室ブロックによるAdams-Stokes症候群を合併し,緊急入院.経静脈的に一時的ペーシングを開始した.心臓サルコイドーシスを疑い,安静臥位ではAdams-Stokes発作を認めないことから,ペーシングリードをいったん抜去し,心臓magnetic resonance imaging(MRI)を施行した.その結果,心室中隔基部にガドリニウムの遅延造影を認めた18F fluorodeoxyglucose positron emission tomography(18F-FDG PET)でも同部位に異常集積を認め,心臓サルコイドーシスによる高度房室ブロックと診断し,副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)療法を開始した.本症例のように心エコーや67Gaシンチグラムで心臓に異常所見を認めないサルコイドーシス例でも,心臓MRIと18F-FDG PETで心病変を同定し,治療につなげることが重要である.
  • 濱田 邦夫, 大沼 法友, 大田 光仁
    2013 年 33 巻 1 号 p. 117-121
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は50歳代男性.両側膝伸側に疼痛を伴う皮下硬結が出現したため当院皮膚科を受診した.皮膚生検で非乾酪性肉芽腫が認められ,胸部画像では両側肺門と縦隔リンパ節腫大および両肺野びまん性に粒状影を認めた.サルコイドーシスと診断し経過観察をしたが,病状が進行したためトラニラスト(300 mg/日)単剤による治療を試みた.治療開始4ヵ月後には皮下病変と肺病変の有意な改善を認め,現在も治療は継続中である.文献的考察を含めて報告する.
  • 四十坊 典晴, 伊藤 峰幸, 市村 志保, 中島 一貴, 西野 雅彦, 平賀 洋明
    2013 年 33 巻 1 号 p. 123-126
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は39歳女性.両側上葉の収縮性変化を伴う浸潤影で初診し,2年後に経気管支肺生検でサルコイドーシスと診断されたが,右上葉に空洞を認め,右空洞内感染を併発した.感染症は改善したが,その後もサルコイドーシスの肺病変は進行した.本症例に対し,プレドニゾロン10 mg/日から治療を開始し,肺病変の改善を認めた.感染症の悪化は認められず,両側の空洞は無気肺化に伴い虚脱化し,CT上消失した.その後5mg/日までプレドニゾロンは減量しえた.感染リスクが高い進行性のサルコイドーシス症例に対し,少量副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)治療で肺病変の改善をみた.
  • 古澤 春彦, 宮崎 泰成, 土屋 公威, 稲瀬 直彦
    2013 年 33 巻 1 号 p. 127-132
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    過敏性肺炎とサルコイドーシスは肉芽腫形成など類似した病態をもち,ときに鑑別が困難となるが合併例の報告は少ない.今回,われわれは過敏性肺炎とサルコイドーシスの合併が疑われた3例を経験した.全例で鳥飼育歴があり,入院による抗原回避のみで軽快した.2例はハト糞抽出物(PDE)による吸入誘発試験陽性であった.1例は急性増悪のリスクを考え吸入誘発試験は施行しなかったが抗PDE抗体とハト血漿リンパ球刺激試験が陽性であり,いずれも鳥関連過敏性肺炎と診断した. 一方,両側肺門リンパ節腫大を認め3例ともサルコイドーシスの臨床診断基準を満たした.過敏性肺炎とサルコイドーシスは,頻度は高くないものの合併の可能性を考慮すべきと思われたため報告する.
  • 横尾 慶紀, 北田 順也, 錦織 博貴, 山田 裕一, 藤井 偉, 猪股 慎一郎, 工藤 和実, 千葉 弘文, 白鳥 正典, 山田 玄, 高 ...
    2013 年 33 巻 1 号 p. 133-137
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.湿性咳嗽,血痰,労作時呼吸困難が出現し,健康診断で胸部X線写真上すりガラス影を指摘され近医を受診した.胸部CTで両側上肺優位に肺野濃度上昇を認めたため,精査目的で当院に入院となった.問診により,幼少時から自宅でレース鳩を飼育していることが判明し,鳥関連過敏性肺炎を疑った.気管支肺胞洗浄ではリンパ球の増加とCD4/8比の低下を認め,経気管支肺生検ではリンパ球浸潤を主体とする胞隔炎を認めた.また,患者が飼育している鳩血清および鳩糞と患者血清との間で行った沈降抗体反応は陽性であった.原因抗原からの隔離により肺病変が改善し,レース鳩を処分したのちに行った飼育小屋での環境誘発試験は陽性であった.以上からレース鳩飼育により急性発症した鳥関連過敏性肺炎と診断した.一般に本症は画像で線維化像を示す慢性型の場合が多い.本症例では,鳩の飼育数の増加によって抗原暴露量が著しく増加したことが急性型の発症を呈した原因と考えられた.
  • 藪内 健一, 岡崎 敏郎, 中村 憲一郎, 花岡 拓哉, 木村 成志, 森 敏雄, 平野 照之, 熊本 俊秀
    2013 年 33 巻 1 号 p. 139-145
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.7年前より足先の異常感覚,3年前より下肢脱力を自覚した.1年前より嚥下障害が出現し,誤嚥性肺炎を繰り返した.筋力低下の進行から歩行不能となり当科入院となった.神経学的所見として,嚥下障害,四肢遠位優位の筋力低下と感覚障害,深部腱反射消失,排尿障害および起立性低血圧を認めた.末梢神経伝導検査では運動感覚性多発ニューロパチーの所見を示し,各種自律神経検査では交感神経の節前性障害が示唆された.ツベルクリン反応は陰性, 67Gaシンチグラフィにて縦隔および鼠径部に集積を認め,右鼠径リンパ節生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めた.腓腹神経生検では肉芽腫を認めなかった.以上から神経サルコイドーシスと診断した.プレドニゾロン投与により神経症状は著明に改善し,歩行可能となった.自律神経運動感覚性ニューロパチーを伴う神経サルコイドーシスは非常に稀であり,貴重な症例と考えられた.
  • 久保田 昭洋, 伊崎 祥子, 王子 聡, 三井 隆男, 野村 恭一, 伊崎 誠一
    2013 年 33 巻 1 号 p. 147-150
    発行日: 2013/10/01
    公開日: 2014/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は75歳男性である.入院2年前から嚥下障害,構音障害が出現し,緩徐に進行した.当科来院時は,舌の線維束性収縮,上肢の近位筋の軽度の萎縮を認めた.筋萎縮性側索硬化症(ALS)が疑われたが診断には至らなかった.精査にて胸部CTとPETにて両側肺門部に腫瘤を認め,また血液検査にてProGRPの上昇も認めたため,肺癌が疑われた.経気管支肺生検を施行したところ,非乾酪性肉芽腫を認め肺サルコイドーシスの診断に至った.ここで球麻痺症状が神経サルコイドーシスによるものであることを疑い,経口副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド)療法を施行したが,無効であった.経過中神経症状の進行もあり,再度針筋電図を施行したところ,複数の筋にて下位運動ニューロン障害所見を認め臨床所見と合わせALSの診断に至った.本症例はALSにサルコイドーシスを合併したと判断した.神経サルコイドーシスとALSの両疾患は,発症頻度は非常に低いがごく稀に合併する可能性があり,両疾患を考慮する必要があると思われた.
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