IgG4関連Mikulicz病の初めての報告から10年を経て,IgG4関連眼疾患の知見を概観し,今後の課題を検討した.サルコイドーシスはIgG4関連眼疾患の除外診断のひとつである.眼サルコイドーシスの主病変は眼内が多く,この点でも両者の臨床像は異なる.IgG4関連眼疾患の病変は,涙腺,三叉神経周囲,外眼筋に多く,他にも視神経周囲,強膜,涙道など多岐にわたる.IgG4関連眼疾患での重要な鑑別疾患はMALTリンパ腫であり,両者はときに合併する.近年の日本でのある多施設調査(1,014例)では,眼窩リンパ増殖性疾患の22%はIgG4関連眼疾患であった.本疾患の治療の基本はステロイド剤の全身投与であるが,長期投与や再発の問題があり,眼科ではステロイド局所注射や涙腺摘出なども治療の選択肢となる.眼領域では,視神経の障害により視力,視野障害をきたし,失明に至るものも存在するので注意が必要である.
抄録全体を表示