プレドニゾロン(PSL),シクロホスファミド(CPA)による寛解 導入療法に抵抗性を示し,リツキシマブ(RTX)が奏功した多発 血管炎性肉芽腫症(GPA)の 1 例を経験した.考察を加え報告す る.【症例】55 歳男性.発熱,咳嗽,血痰,下肢の痺れ,体重減 少を主訴に受診.胸部 CT で両肺に複数の空洞結節影を認め,血 液検査で炎症反応亢進,PR3-ANCA 上昇を認めた.気管支鏡下肺 生検で血管炎を認めた他,右眼壊死性強膜炎,副鼻腔炎,血尿, 腎生検で壊死性血管炎を認め,GPA と診断した.PSL,CPA によ る寛解導入療法で改善傾向を認めたが,PSL 漸減中に無顆粒球症 で CPA の中断を要した.その後 CPA を再開したが胸部陰影に増 悪を呈し,GPA の再燃と診断した.PSL,CPA の再増量で一時的 に胸部陰影の改善を認めるも,3 週間の経過で再度増悪に転じ, 治療抵抗性を示した.ステロイドパルス療法,RTX(375mg/m2) の投与を開始し,症状,炎症反応,胸部陰影に改善を認めた.PSL の減量中も再燃を認めず経過している.本症例のように治療抵抗 性を示す GPA に対し,RTX は有効であると考えられる.
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