日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
ISSN-L : 1883-1273
35 巻, Suppl1 号
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
選択された号の論文の77件中51~77を表示しています
一般演題:ポスター発表1-1
  • 山本 洋, 小松 雅宙, 小澤 陽子, 安尾 将法, 濱 峰幸, 市山 崇史, 立石 一成, 小林 信光, 牛木 淳人, 漆畑 一寿, 花岡 ...
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 64-2
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    これまで我々は、Sarcoidosis(Sa)と類似した CT 所見を呈する IgG4 関連疾患(IgG4-RD)について報告してきた。本研究では、 IgG4-RD と Sa の PET/CT 所見について後方視的に比較検討を行 った。 対象は 2004 年から 2015 年の期間に当科を受診し、臨床診断が確 定した症例。PET/CT を施行して両側肺門〜縦隔リンパ節腫脹 (BHL)が認められた、連続した IgG4-RD:23 例(中央値 69(43 〜82)歳、男:女=19:4)と Sa:22 例(60(24〜80)歳、4:18)。 IgG4-RD の主病変は膵:15 例、呼吸器:4 例、唾液腺:3 例、尿 道周囲:1 例であった。IgG4-RD の方が高齢で、男性が多かった。 FDG 集積の有無についてχ2検定を行い、p<0.05 を有意とした。 IgG4-RD では涙腺、顎下線、膵、後腹膜、動脈周囲に、Sa では 鎖骨上リンパ節、鼠径リンパ節、軟部組織に、有意に高率の FDG 集積が認められた。なお、本研究では心臓に異常集積がみられた 症例はなかった。PET/CT の FDG 集積分布パターンは、BHL を 呈する IgG4-RD と Sa の鑑別に有用であると考えられた。
  • 後町 杏子, 杉野 圭史, 吉原 彩, 若山 恵, 廣井 直樹, 渋谷 和俊, 江石 義信, 本間 栄
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 64-3
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は 56 歳女性。倦怠感の精査で、甲状腺腫大と両側肺門部腫脹 を指摘され当院を受診。診察所見では甲状腺左葉の結節を認める も呼吸音は異常を認めなかった。ACE 21.8 U/L、CT で縦隔肺門 リンパ節の腫大、BAL で CD4/CD8 比 25.8、気管支鏡下リンパ節 生検で非乾酪性類上皮肉芽腫を確認し、サルコイドーシスと診断。 甲状腺機能は正常だったが、抗 Tg 抗体、抗 TPO 抗体は高値、甲 状腺超音波検査で左葉に微細石灰化を伴う低エコー結節を認め、 甲状腺乳頭癌が疑われた。甲状腺左葉摘出術を施行し、甲状腺乳 頭癌と診断した。さらに甲状腺内に非乾酪性類上皮肉芽腫を認め たため、サルコイドーシスの合併を疑い、Propionibacterium acnes 抗体 (PAB 抗体) 染色を行ったところ、肺のサルコイド肉 芽腫と同様に甲状腺の肉芽腫に陽性を示し、甲状腺濾胞上皮、濾 胞内部のマクロファージにも PAB 抗体は陽性を示した。アクネ菌 感染が肺のみならず、甲状腺の慢性炎症、肉芽腫形成にも関与し た可能性が考えられた。本症例は、肺サルコイドーシスと甲状腺 サルコイドーシス、さらに甲状腺乳頭癌、慢性甲状腺炎を合併し た稀な症例であり報告する。
  • 森崎 隆史, 片平 雄之, 山本 悠造, 鈴木 邦裕, 緒方 彩子, 濵田 直樹, 高田 和樹, 小田 義直, 松元 幸一郎, 中⻄ 洋一
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 64-4
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は 72 歳男性.X-2 年に検診で縦隔リンパ節腫大を指摘された が放置していた.X 年 3 月より咳嗽が出現し近医で CT を施行し たところ,縦隔リンパ節腫大と左肺下葉浸潤影,膵臓のびまん性 腫大を認めた.精査のため 4 月初旬に前医入院となったが,低酸 素血症や意識障害を認め,4 月 18 日に当院転院となった.前医の 所見も含め,血清 IgG4 高値,左肺上葉に対する TBLB でIgG4/IgG 陽性細胞が免疫染色で 85%,強拡大視野に IgG4 陽性形質細胞を 100 個程度認め,IgG4 関連疾患と診断した.意識障害については, 下垂体ホルモンの低下や MRI で下垂体柄の腫大がみられ,IgG4 関連下垂体炎に伴う汎下垂体機能低下症が原因と考えられた.当 院転院後,呼吸状態の悪化及び意識障害の進行を認め,PSL 1mg/kg/日の投与を開始した.その後,速やかに全身状態は改善 し,画像上も肺,縦隔リンパ節,膵臓,下垂体などの病変は縮小 した.現在 PSL 5mg/日の内服にて経過観察中である.IgG4 関連 疾患で肺病変は 27.1%、下垂体病変は 1.7%とする報告がある.両 者の合併例については IgG4 関連下垂体炎の 31 例中 12 例に肺病 変を合併した報告があるが,多くは下垂体機能低下症や尿崩症を 呈しており,本症例の臨床経過はまれと考え,報告する.
  • 粟野 暢康, 福田 健介, 酒寄 雅史, 近藤 圭介, 小野 ⻯, 守屋 敦子, 安藤 常浩, 生島 壮一郎, 熊坂 利夫, 武村 ⺠子
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 65-1
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    症例 1, 39 歳女性. X 年 9 月, 左乳癌(stage IIA)に対して乳房 扇状切除術を施行された. 術後放射線療法と化学療法(シクロホ スファミド, ドセタキセル, リュープロレリン)を 4 コース施行さ れ, 以降はリュープロレリンのみを継続していた. X+2 年 9 月, 右 中葉の小結節と両側肺門, 縦隔リンパ節の腫大を認めた. 同年 12 月に手術を施行され, 両部位ともに類上皮細胞肉芽腫を認めたた め, サルコイドーシスと診断された. リュープロレリン継続のう え経過観察していたところ, 翌年には残存病変が自然軽快した. 症例2, 83 歳男性. X 年 10 月, 前立腺癌(stage B)に対してリュ ープロレリンを開始された. X+2 年 5 月に同薬による薬剤性肺障 害を発症したため投与を中止し, ステロイドパルス療法後 PSL 30mg で治療継続し漸減. X+3 年 6 月に終了となった. X+4 年 1 月 より呼吸困難が出現し, 両下肺野に浸潤影とすりガラス影を認め た. 気管支鏡検査で BALF 中のリンパ球, CD4/8 比の上昇, TBLB では類上皮細胞肉芽腫を認め, サルコイドーシスが疑われた. サ ルコイドーシスと女性ホルモンとの関連を示唆する症例と考え報 告する.
  • 守口 知, 中村 豊, 松本 あみ, 及川 侑芳, 千葉 亮祐, 内海 裕, ⻑島 広相, 友安 信, 出口 博之, 山内 広平
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 65-2
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    診断目的に外科的生検施行し、その後発熱を来した 3 例を経験し た。 症例 1、70 歳 女性 外科的縦隔リンパ節生検後に発熱、胸部浸 潤陰影悪化また呼吸不全を呈したためステロイドパルス施行した。 症例 2、42 歳 男性 外科的縦隔リンパ節生検施行後、発熱出現、 また肺門のリンパ節の増大を認めステロイド治療開始した。 症例 3、52 歳 女性 両側肺門リンパ節腫脹及び左下葉に結節陰 影指摘され、肺癌、リンパ節転移または肺癌及びサルコイドーシ スの合併を疑われ肺野の生検及び、リンパ節生検施行された。結 果は肺野、リンパ節とも肉芽種性病変であった。術後発熱が持続 し、可溶性 IL-2R の上昇などからサルコイドーシスによるものと 考えたが、手術範囲も広くステロイドは導入しなかった。その後 2 ヶ月で解熱し、現在無治療で経過観察中である。「まとめ」術後 に症状が出現したと考えられるサルコイドーシスを経験した。 2 例はステロイド治療を行ったが、1 例は経過観察のみで改善した。 術後に症状が出現したサルコイドーシスの治療指針はなく、2 症 例ではステロイドを開始した。しかしステロイド投与を行っても、 肺野病変の改善率は⻑期的には未治療と差がないという報告もあ り、今後症例のさらなる蓄積と解析が必要である。
  • 大石 祐嗣, 石井 寛, 中尾 明, 井形 文保, 松本 武格, 白石 素公, 藤田 昌樹, 渡辺 憲太朗
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 65-3
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    症例 1 は 64 歳、女性。2013 年 6 月、左肺 S1+2 の結節影、両側 肺門・縦隔リンパ節腫脹に対して近医で気管支鏡検査を施行され たが診断に至らず、精査目的で当科に紹介となった。喀痰細胞診 で扁平上皮癌の診断が得られたが、リンパ節腫脹に対する 2 度の EBUS-TBNA では悪性所見を認めなかった。縦隔鏡を用いてリン パ節を生検したが術中迅速で悪性所見は無く、同日胸腔鏡下左上 葉切除術および 2 群リンパ節郭清術を施行した。術後病理診断は pT1bN0M0 で、リンパ節には類上皮細胞肉芽腫を認めた。サルコ イドーシスを示唆する他臓器病変や血清マーカーの上昇はなく、 リンパ節腫脹はサルコイド反応と判断した。縦隔リンパ節腫脹を きたす鑑別すべき疾患として、癌の転移以外に悪性リンパ腫、サ ルコイドーシスなどが挙げられるが、画像だけでは困難であり、 EBUS-TBNA や縦隔鏡による積極的な組織診断が必要と考えら れる。今回、診断・治療方針決定に苦慮した症例を 2 症例経験し たので、もう 1 例(70 歳、男性)を加え報告する
一般演題:ポスター発表1-2
  • 藤城 泰麿, 澤田 哲郎, 坂東 政司, 黑木 知則, 古川原 春菜, 山川 大介, 徳田 皇治, 飯島 裕基, 大貫 次利, 瀧上 理子, ...
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 66-1
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    74 歳女性。69 歳時に他院にて関節リウマチと診断され、プレド ニゾロン 2.5mg/日の内服で疾患活動性は安定していた。来院 2 ヶ 月前に胸部 CT で頸部・肺門・縦隔・腹部大動脈周囲のリンパ節 腫張を認め、精査目的で当院に紹介入院した。頸部リンパ節生検 検体と胃痛精査のために行った胃粘膜生検検体で非乾酪性類上皮 細胞肉芽腫を認め、両側肺門部リンパ節腫脹、ACE 高値、ツ反陰 性、Ga シンチグラフィーの所見から、サルコイドーシスを疑った。 しかしその後持続する発熱と可溶性 IL-2 レセプター値の著明高 値(16100U/ml)から、悪性リンパ腫を強く疑い、頸部リンパ節検 体の免疫染色を施行。大型異型細胞は CD30、CD15、EBER1 陽 性であり最終的に古典的ホジキンリンパ腫と確定診断し、当初認 められた非乾酪性類上皮細胞肉芽腫はサルコイド反応と考えられ た。サルコイド肉芽腫では常に悪性リンパ腫を念頭にいれて適切 な免疫染色が重要であると考えられた。
  • 木下 義晃, 佐々木 朝矢, 廣田 貴子, 中尾 明, 串間 尚子, 内野 順治, 石井 寛, 白石 素公, 藤田 昌樹, 渡辺 憲太朗
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 66-2
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は 68 歳男性、1 ヶ月間持続する 39 度台の発熱・体重減少を 主訴に当院へ紹介となった。FDG-PET にて頸部リンパ節・肝・ 腹腔リンパ節に高集積を認め、可溶性 IL-2 受容体抗体が高値であ ることから悪性リンパ腫を強く疑った。経皮肝生検では炎症性肉 芽組織を認めるのみで診断に至らず、頸部リンパ節生検を行った。 リンパ節では、サルコイド肉芽腫を認めたが、他臓器病変を認め ず確定診断には至らなかった。精査中に全身状態が徐々に悪化し たことから、確定診断が得られぬまま PSL60mg・AZP100mg を 開始した。その後全身状態は安定し、初診より 10 ヶ月目に腹腔リ ンパ節及び肝生検を行い、ホジキンリンパ腫の確定診断が得られ た。しかし、腹腔リンパ節及び肝には肉芽腫は認めず、ホジキン リンパ腫によるサルコイド反応は否定的であった。 本症例はサルコイド肉芽腫に合併し、診断に苦慮したホジキンリ ンパ腫の 1 例である。当初より、その他の鑑別診断としてサルコ イドーシス、もしくは悪性腫瘍によるサルコイド反応の可能性が あり診断に苦慮した。それぞれの鑑別は困難な場合が多く、診断 には複数臓器の比較的大きな組織生検が必要であると考えられた。
  • 川述 剛士
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 66-3
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は 28 歳女性。11 歳時にサルコイドーシスの診断で治療歴が あるが、16 歳以降は病変消失し終診となっていた。2012 年 7 月 の健診で胸部異常陰影を指摘され、他院でサルコイドーシスが疑 われ 9 月に当院紹介された。当院来院時の肺病変はサルコイドー シスとしては合致せず、その他のサルコイドーシスを示唆する臓 器病変は認めなかった。経過中に移動する浸潤影を認めたこと、 アレルギー性肺アスペルギルス症(ABPA)の診断基準を満たし たことから、同疾患治療に準じステロイドと抗真菌薬で治療する も改善を認めなかった。2013 年 8 月に気管支鏡検査を再検し Aspergillus udagawae を同定した。慢性肺アスペルギルス症と考 え、ステロイド終了の上で同菌に感受性のある抗真菌薬のみで治 療したところ、浸潤影は改善傾向となった。小児期の経過を合わ せると、慢性肉芽腫症を背景に慢性肺アスペルギルス症を発症し たと考えた。食細胞活性酸素産生能の検査(DHR-123 法)で活性 酸素産生能の低下を認め、遺伝子検索で「p47 phox 欠損」を認め たことから慢性肉芽腫症(CGD)と診断した。成人発見の CGD で、サルコイドーシスとの鑑別も問題となった貴重な症例であり、 文献的考察を交えて報告する。
  • 濱尾 信叔, 上山 維晋, 寺田 悟, 中⻄ 智子, 稲尾 崇, 安田 有斗, 森本 千絵, 安田 一行, 岡森 慧, 加持 雄介, 安田 ...
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 66-4
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    【症例 1】78 歳女性。2008 年 6 月より全身倦怠感、発熱を認め るようになり近医を受診。肺異常陰影と末梢血好酸球増多を認め 当科紹介となった。気管支鏡検査で好酸球性肺炎と診断されステ ロイド内服を開始した。その後外来にてステロイド減量中に、初 発の喘息症状を認め、吸入ステロイドが導入された。1 年後、好 酸球数が再度増加し、ステロイド増量し経過観察。その後外来に てステロイド減量し、約 4 年後に下腿に紫斑を認め、皮膚生検の 結果、EGPA と診断された。【症例 2】83 歳女性。もともと気管 支喘息を認めていたが、2009 年 8 月に好酸球性肺炎を発症。ステ ロイド、免疫抑制剤導入し軽快したが、1 か月後外来にてステロ イド減量中に発熱、皮疹が出現。皮膚生検を施行し、EGPA と診 断された。さらに 5 年後には再び好酸球性肺炎発症し、喘息悪化、 右手のしびれ、右足の脱力が認められ、症状が完成した。【考察】 好酸球性肺炎が先行し、病理学的に EGPA と診断された 2 例を経 験した。EGPA の血管炎症状は神経障害の頻度が高いが、本症例 は神経障害出現前に診断が可能であった。それらの特徴について 若干の文献的考察を加え報告する。
  • 鈴木 清一郎, 榎本 紀之, 藤澤 朋幸, 中村 祐太郎, 乾 直輝, 須田 隆文
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 67-1
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    プレドニゾロン(PSL),シクロホスファミド(CPA)による寛解 導入療法に抵抗性を示し,リツキシマブ(RTX)が奏功した多発 血管炎性肉芽腫症(GPA)の 1 例を経験した.考察を加え報告す る.【症例】55 歳男性.発熱,咳嗽,血痰,下肢の痺れ,体重減 少を主訴に受診.胸部 CT で両肺に複数の空洞結節影を認め,血 液検査で炎症反応亢進,PR3-ANCA 上昇を認めた.気管支鏡下肺 生検で血管炎を認めた他,右眼壊死性強膜炎,副鼻腔炎,血尿, 腎生検で壊死性血管炎を認め,GPA と診断した.PSL,CPA によ る寛解導入療法で改善傾向を認めたが,PSL 漸減中に無顆粒球症 で CPA の中断を要した.その後 CPA を再開したが胸部陰影に増 悪を呈し,GPA の再燃と診断した.PSL,CPA の再増量で一時的 に胸部陰影の改善を認めるも,3 週間の経過で再度増悪に転じ, 治療抵抗性を示した.ステロイドパルス療法,RTX(375mg/m2) の投与を開始し,症状,炎症反応,胸部陰影に改善を認めた.PSL の減量中も再燃を認めず経過している.本症例のように治療抵抗 性を示す GPA に対し,RTX は有効であると考えられる.
  • 三井田 博
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 67-2
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    58 歳、男性。家族歴に特記すべきことなし。近医で肺気腫と診断 されているが無症状で服用中の薬剤なし。当科初診の半年前に胸 部 CT で右上肺尖部に小結節 1 個を指摘されているが、その後の CT でも著変はなく、肺門縦隔リンパ節腫脹や肺野の多発粒状影 も認めない。検診で年 1 回心電図検査をしているが異常を指摘さ れたことなし。2011 年頃に、両手背に皮疹が出現し、近医を受診 し慢性湿疹の診断で、2 か月程度ステロイドを外用したが著変な く加療を自己中断した。しかし次第に同様の皮疹が増加してきた ため 2013 年 7 月、当科を初診した。両手背部に豌豆大から母指 頭大の淡紅色調の環状局面を認めた。生検にて真皮上中層に巨細 胞を混じた、乾酪壊死を認めない類上皮細胞肉芽腫を認めた。膠 原線維の変性は認めず、elastica van Gieson 染色で肉芽腫の存在 部位には弾性線維が消失と、巨細胞内に弾性線維の断片が存在す る、いわゆる弾性線維の貪食像がみられた。以上の所見から Annular elastolytic giant cell granuloma と診断した、プロピオ ン酸ベタメタゾン軟膏を約 9 カ月間外用し、若干病変が残存した ものの略治した。
  • 金澤 伸雄, 古川 福実
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 67-3
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    67 歳女性.2011 年頃より背部に自覚症状のない丘疹が多発性に 出現した.近医皮膚科で処方されたステロイド剤の外用により改 善したが,その後放置したところ徐々に側腹部や大腿後面に拡大 した。背部に痒みを伴うようになったため,2014 年 10 月に当科 を受診した.当科初診時,背部全体に細かい落屑を伴う紅斑が広 がり,その中に細かい丘疹が散在した.ステロイド剤の外用によ って痒みと紅斑は消退したが,数 mm 大の軟らかい常色から淡紅 色の丘疹が多数残存した.丘疹の生検では真皮上層の血管周囲に 多核巨細胞を伴うリンパ球と組織球の集簇性浸潤を散在性に認め, アルシアンブルー染色にてムチン沈着を認めた.血液検査や全身 検索では,抗核抗体が 80 倍である以外,糖尿病や甲状腺機能異常, 免疫グロブリン異常など特に問題を認めなかった.以上の所見よ り,本症例を interstitial granulomatous dermatitis(IGD)と診 断した.ステロイド剤の外用を継続するも明らかな改善はない. IGD は 1993 年に Ackerman によって病理学的に定義された疾患 であり, 半数以上が関節炎やリウマチ性疾患に合併するとされる. 表現型は多彩だが紅斑性局面を呈することが多く,ムチン沈着を 伴う常色多発性丘疹はその特異な一型と考えられる.
一般演題:ポスター発表2-1
  • 緒方 彩子, 濵田 直樹, 鈴木 邦裕, 片平 雄之, 三雲 大功, 原田 英治, 松元 幸一郎, 中⻄ 洋一
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 68-1
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】筋サルコイドーシスは本邦において 2.2-4.2%に見 られ、女性・高齢者において多いと報告されているが不明な点も 多い。当科における筋サルコイドーシスについて検討した。 【対象・方法】2007 年 1 月 1 日より 2014 年 12 月 31 日までの 8 年間に当科において新規にサルコイドーシスと診断された症例の うち、筋病変を認めた 3 例について、診療録を元に後ろ向きに検 討した。 【結果】平均年齢は 65.67 歳、男性 2 例であった。無症候性 2 例、 症候性 1 例で、症候性の 1 例(腫瘤型)は筋病変が肺病変出現に 先行していた。ACE、CK は全例正常で可溶性 IL-2 受容体は 2 例 で上昇を認めた。MRI で 3 例とも検出され、FDG-PET での集積 を 2 例に認めたが、Ga シンチを施行された症候性の 1 例では集 積を認めなかった。針生検が行われ 2 例で診断が得られた。筋肉 以外の病変としては肺 3 例、眼 1 例であった。全例無治療にて経 過観察が行われているが、症候性の 1 例は腫瘤の自然縮小を認め、 他 2 例も増悪を認めていない。 【考察】当科において見られた 3 例はいずれも筋破壊には至って おらず経過観察のみ行っているが、筋サルコイドーシスについて は不明な点も多く今後多くの症例集積が必要であると考えられた。
  • 東名 史憲, 新井 秀宜, 山口 正雄, 大田 健
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 68-2
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    【症例】40 歳代、女性【主訴】発熱【現病歴】生来健康。201X 年 5 月より微熱を認め、同年 11 月の人間ドックで膵周囲リンパ節 腫大、貧血、肝・腎機能障害を指摘された。他院にて精査の結果 S 状結腸癌と腹腔内に多発するリンパ節腫大を認めた。翌年 2 月 同院にて S 状結腸癌に対し S 状結腸切除術、腹腔内リンパ節(肝 門部、傍大動脈)生検施行。リンパ節に非乾酪性肉芽腫を認めた ためサルコイドーシス疑いにて当院に紹介となった。血液検査に て可溶性 IL-2 レセプター7307、ACE 39.0、Cr 2.06、Ca 11.1 な どの異常を認めた。PET-CT にて両肺野、腎臓、肝臓、腹腔内リ ンパ節に集積を認め、ツベルクリン反応陰性、病理所見などを加 味してサルコイドーシスの診断となった。腎生検は施行しなかっ たが高カルシウム血症、腎機能障害は腎サルコイドーシスによる ものと判断し、プレドニゾロン 20mg/day にて治療開始。外来に て漸減し現在も治療中である。 大腸癌手術時のリンパ節生検で偶発的に発見されたサルコイドー シスの一例を経験した。また腎サルコイドーシスは希であり、考 察を含めてここに報告する。
  • 竹田 正秀, 佐藤 一洋, 坂本 祥, 奥田 佑道, 浅野 真理子, 須藤 和久, 飯野 健二, 佐野 正明, 渡邊 博之, 塩谷 隆信, ...
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 68-3
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    【症例】51 歳女性【既往歴】帯状疱疹、左緑内障【現病歴】1994 年に肺サルコイドーシス・眼サルコイドーシスと臨床診断され、 以降定期外来通院としていた。2009 年の胸部 CT で右 S5 に新規 の結節影を認めた。以降、定期的に CT による経過観察したとこ ろ、陰影の増大傾向を認めたため、精査目的に当科入院となった。 【入院時現症】入院時より左優位の両側眼瞼下垂を認める。【経過 と考察】右 S5 より TBLB を施行。組織にて非乾酪性類上皮肉芽 腫を認め、CD4/CD8 や Ga シンチグラムの結果もあわせ、改めて 肺サルコイドーシスと組織診断した。眼瞼下垂に対しては、脳 MRI や抗 AChR 抗体などの検索を行ったが原因特定には至らず、 PET-CT を施行した。両側鎖骨上窩に SUVmax 5.44 の集積を認 めた。サルコイドーシスによる両側鎖骨上窩リンパ節腫大による Horner 症候群によって眼瞼下垂をきたしたと考え、PSL による 治療を開始した。サルコイドーシスによる眼瞼下垂の報告は稀で あり、文献的考察も含め報告する。
  • 村松 聡士, 玉田 勉, 奈良 正之, 村上 康司, 蒲生 俊一, 中島 一郎, 杉浦 久敏, 一ノ瀬 正和
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 68-4
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシス(サ症)症例において、下垂体にサ症病変を伴 い中枢性尿崩症(CDI)を来す症例は約 1〜2%と稀である。一方、 CDI 症例においてサ症が原因であるのは 0.5%程度とさらに稀で あるとされる。現時点では視床下部-下垂体系の肉芽腫形成を組 織学的に検索するのは困難であり、画像所見によって診断される 場合が多い。当科サ症外来通院症例において、CDI を伴った 3 例 について全身ステロイドに対する効果を中心に臨床的特徴をまと めた。男性 2 例(29 歳、45 歳)、女性 1 例(58 歳)で、3 例とも 他臓器および CDI を評価病変として全身ステロイドによる加療 が行われていた。3 例ともサ症の他臓器病変は改善していたのに 対し、CDI は 1 例が改善、1 例は増悪、もう 1 例はほぼ不変であ った。サ症に CDI が合併していても必ずしもサ症が原因であると は限らず、また仮にサ症が原因であっても非可逆的な変化を伴っ ている場合には全身ステロイドの効果が期待できないものと考え られた。CDI を伴うサ症の病態および管理方法について文献的検 討を加えて考察する。
  • 東海林 寛樹, 井窪 祐美子, 直井 兵伍, 川述 剛士, 田中 健介, 鈴木 未佳, 河野 千代子, 山田 嘉仁, 江石 義信
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 69-1
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は 33 歳男性。2013 年 6 月(31 歳時)より前腕・背部などに無 痛性紅斑が出現した。2014 年 4 月(32 歳時)より大腿のこわばりと 体重減少が出現した。同年 11 月の健診にて胸部異常陰影の指摘あ り、前医紹介受診した。胸部 CT 所見よりサルコイドーシス(サ症) が疑われ、経気管支肺生検・背部皮膚生検を施行した。同検体か ら非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め、組織診断群サ症の診断とな った。肺サ症は無治療経過観察となり、皮膚サ症はステロイド外 用薬が開始された。また虹彩炎を認めたことから眼サ症の診断と なり、ステロイド点眼薬が開始された。2015 年 1 月(33 歳時)より 微熱と倦怠感が出現した。同年 2 月より腎機能障害・血尿・蛋白 尿が出現した。腎サ症が疑われ、精査加療目的に当科紹介受診し た。全身のリンパ節腫大と sIL-2R 5820U/ml と著明高値を認め、 悪性リンパ腫や他のリンパ増殖性疾患の鑑別目的に腎生検を施行 した。同検体からも非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め、腎サ症の 診断となった。全身性ステロイドを導入し、理学・採血/尿・画像 所見は改善傾向を示した。腎サ症に関して、文献的考察を加えて ここに報告する。
  • 江口 和男, 渡邉 裕昭, 今泉 悠希, 廣江 道昭, 苅尾 七臣
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 69-2
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は 53 歳女性。完全房室ブロックで発症し、心臓の形態異常や 収縮障害を認めず、FDG-PET で心室中隔、左室自由壁に FDG の 集積を認めた症例である。諸検査より、心サルコイドーシスと診 断し、房室ブロックの改善目的でステロイドパルス療法(メチルプ レドニゾロン 1g/日×3 日間)を施行したところ、2日目より洞調律 に回復し、パルス療法に続いて、経口プレドニゾロンを 30mg か ら徐々に漸減、7.5mg で維持していた。その後、外来フォロー中、 洞調律は維持されていたが、心電図上 PR 間隔が 138→166ms、 QRS 幅が 94→116ms と徐々に延⻑を認めていた。発症から 2 年 後に施行した FDG-PET で心筋での活動性の再燃を認め、MTX 6mg 投与を開始したところ、PR 間隔が 142ms、QRS 幅が 103ms へ減少した。本症例は、完全房室ブロックを伴う心サルコイドー シスにステロイドパルス療法が著効し、ペースメーカー植え込み を回避できた症例であるが、心サルコイドーシス再燃および治療 判定の指標としてPR 間隔と QRS幅が有効であることが示された。
  • 米田 智也, 木下 秀之, 半田 知宏, ⻑井 苑子, 相澤 卓範, 岡林 真梨恵, 中島 康弘, 中川 靖章, 桑原 宏一郎, 一山 智, ...
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 69-3
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    75 歳女性。65 歳時ぶどう膜炎を指摘。CT にて肺門部リンパ節腫 脹あり、エコーにて左室前壁中隔中部に限局した菲薄化、MRI に て同部位に遅延造影を認め、サルコイドーシスと判断されていた。 75 歳時、FDG-PET にて肺門部リンパ節と左心室に著明な集積増 加を認め、心電図で 2 枝ブロックが出現した。4 ヶ月後、呼吸困 難が増悪し当院入院した。胸部 CT より肺炎と肺うっ血と判断し、 抗生剤と心不全治療を行い改善した。心エコーにて僧帽弁前尖(A2 〜3)が逸脱し、同部位より中等度の逆流を認めた。両乳頭筋のス トレイン解析を行い、後乳頭筋の収縮期における無収縮を認めた。 MRI にて乳頭筋に遅延造影を認めており、心サルコイドーシスに よる後乳頭筋機能不全と診断した。心サルコイドーシスにおいて 乳頭筋機能不全により僧帽弁逸脱を発症する症例があり、心エコ ーによるストレイン解析がその診断に有用であると考えられた。
一般演題:ポスター発表2-2
  • 谷澤 公伸, 半田 知宏, ⻑井 苑子, 小賀 徹, 久保 武, 伊藤 穣, 祖開 暁彦, 池添 浩平, 中塚 賀也, 陳 和夫, 泉 孝英 ...
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 70-1
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    Sarcoidosis Health Questionnaire(SHQ)は Cox らによって作成 された、疾患特異的な健康関連 Quality of Life(HRQL)質問票であ る。私どもは以前に SHQ 日本語版を作成しその妥当性を報告し たが、HRQL と⻑期経過の関連は明らかでない。 2009 年 6 月〜12 月に京都健康管理研究会中央診療所を受診し、 SHQ 日本語版による HRQL 評価を受けたサルコイドーシス患者 121 名を対象に、1 年後および 5 年後の経過を追跡し、HRQL と の関連を検討した。 1 年後および 5 年後の経過はそれぞれ 111 例、 95 例で追跡可能であり、臨床的な悪化(呼吸機能または心機能の 悪化、治療強化)はそれぞれ 11 例(10.0%)、25 例(26.3%)で見られ た。 1年後の悪化はSHQ Physical Functioningと関連し(P=0.04)、 5 年後の悪化は SHQ Dairy Functioning(P=0.03)、Emotional Functioning(P=0.04)、Total score(P=0.03)と関連した。HRQL はサルコイドーシスの⻑期経過の予測因子となりうる。
  • 北市 正則, 木下 貴裕, 川端 宏樹, 萩原 慎, 辻 孝
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 70-2
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    【目的と対象】肉芽腫性病変は組織学的所見で診断される。その 頻度と鑑別対象は時代と地域と臓器によって異なる。当院の 2015 年 4 月から 8 月の 5 か月間の肺手術連続 39 例の病理診断業務か らみた肉芽腫性肺病変の鑑別診断の問題点を検討した。39 例の内 訳は男性 22 例(59-86 歳、平均 70.2 歳)、女性 17 例(37-83 歳、平 均 66.8 歳)。肺手術の内容は<A> 限局性肺野陰影に対する肺手術 37 例、<B>左右肺のびまん性肺疾患に対する外科的肺生検 2 例で あった。【結果】肉芽腫性肺病変は<A>の 5 例に認めた(12.8%)。 上記 5 カ月間の胸部検体の病理診断業務ではサルコイドーシス示 唆の症例を認めなかった。症例: 年齢・性・喫煙歴 術式 悪性腫瘍 主病変 病期 肉芽腫性病変 推定病態#5: 71 ・M ・Ex 2 葉切除 (+) LC(Ad), p-T3N0 4x3 mm 軽度感染症#9: 59 ・M ・NA rtS6 部切 (-) 肉芽腫性病変 (30x20 mm by CT) 感染症#15: 68 ・F ・NA rtS6 部切+下切 (+) LC(Ad) p-T1aN0 1 foci CHP vs IPF#16: 74 ・M ・SM rtS6 部切 (+) LC(Ad) p-T3(pm1) 30 foci active CHP#39: 70 ・M ・SM 右肺上葉部切 (+) LC(NSCCa) p-T1aN0 肺底部 軽度感染症+右肺下葉切除 (+) + LC(NSCCa) p-T1aN0
  • 伊澤 淳, 石井 亘, 植田 初江, 高橋 済, 木村 和広, 樋口 智子, 南澤 匤俊, 竹内 崇博, 元木 博彦, 岡田 綾子, 小山 ...
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 70-3
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    48 歳女性。37 歳時,第 2 子出産後に心不全を発症。心筋生検組 織所見は拡張型心筋症に一致。一方,肝胆道系酵素の上昇を認め, 抗ミトコンドリア M2 抗体陽性であり原発性胆汁性肝硬変と診断 された。同時期に四肢脱力を自覚し,CK 値の高値を認めた。ジ ストロフィン遺伝子に異常を認めず,筋生検組織に炎症細胞浸潤 を認め多発筋炎と診断。プレドニゾロンで治療開始。 39 歳時に CK 高値が遷延し当院神経内科紹介,タクロリムスを併 用開始。左室駆出率 32%の左室機能障害について当科紹介となっ た。心室中隔基部の菲薄化を認め,心サルコイドーシスの鑑別が 議論となったが,多発筋炎に対する免疫抑制療法および心不全治 療を継続する方針とした。 外来通院中に心房細動を発症,非持続性心室頻拍,完全左脚ブロ ックを認め,NYHA III 度の慢性心不全であり,除細動機能付き 心臓再同期療法の適応となった。 左室機能障害例において抗ミトコンドリア抗体陽性例が報告され ている。抗ミトコンドリア抗体陽性筋炎では心伝導傷害や不整脈 の合併例,筋病理所見で肉芽腫性炎症を認める例があり,多様性 を呈する病態について文献的考察を加えて報告する。
  • 小野 朋子, 安東 優, 宮崎 幸太郎, 松本 紘幸, 宇佐川 佑子, 河野 利恵, 竹野 祐紀子, 山末 まり, 向井 豊, 安田 ちえ, ...
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 70-4
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は 78 歳、女性。主訴は右頸部腫脹。14 年前にぶどう膜炎を 指摘され当科受診し、経気管支肺生検と前斜角筋リンパ節生検に て肉芽腫を認め組織学的にサルコイドーシスと診断された。診断 後は眼サルコイドーシスに対して点眼剤による治療がなされた。 14 年間ほぼ無症状であったが、最近になり少しずつ増大する右頸 部腫瘤を自覚したため精査目的で入院となった。頸部 CT にて右 顎下部・頸部リンパ節腫大を認めた。針生検にて非乾酪性類上皮 細胞肉芽腫を認め、サルコイドーシスに矛盾しない所見であった。 しかし、その後も腫脹の改善がみられないため手術的生検を実施 し、組織学的に乾酪性肉芽腫を認め、結核菌 PCR 陽性であったた め結核性リンパ節炎と診断した。イソニアジド・リファンピシン・ エタンブトール・ピラジナミドの 4 剤による抗結核治療を開始し、 リンパ節病巣は縮小した。診断に難渋した症例を経験したので、 文献的考察を含め報告する。
  • 杉崎 勝教, 吉松 哲之, 安東 優, 門田 淳一
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 71-1
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は 44 歳、男性。数年前から乾性咳嗽があり、なかなか改善し ないため 2010 年 2 月⻄別府病院外来受診。画像上は両側下葉を 中心にした一部蜂巣肺を伴う間質性陰影を認め、聴診上ベルクロ ラ音を聴取した。検査所見では KL-6 の増加を認め、膠原病に関 するマーカーは陰性だったため特発性間質性肺炎と診断し鎮咳剤 のみで経過を観察し た。しかし画像所見の変化が乏しいにも関わらず、自覚症状が増 悪するため左 S3 と S8 より胸腔鏡下肺生検を行った。その結果 UIP 所見に加え小葉中心の線維化や末梢気腔に肉芽腫形成を認め 慢性過敏性肺炎が考えられるとの診断であった。その後抗トリコ スポロン抗体と抗ハト IgG を測定したところ抗トリコスポロン抗 体が陽性となった。少量のステロイド投与と家庭環境の改善を行 い自覚症状の軽減と肺機能の改善を認めた。また画像所見につい てはほぼ変化のない状態が続いている。このように潜在性に発症 する Trichosporon asahii による慢性過敏性肺炎は比較的珍しい と考え今回報告した。
  • 池添 浩平, 半田 知宏, 谷澤 公伸, 陳 豊史, ⻘山 晃博, 久保 武, 吉澤 明彦, 祖開 暁彦, 中塚 賀也, 陳 和夫, 伊達 ...
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 71-2
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    【症例 1】54 歳男性。中学生時にインコ飼育歴あり。羽毛布団使 用歴あり。X-7 年に検診にて胸部異常陰影を指摘された。前医に て経過観察されていたが,陰影が悪化してきたため X 年 1 月当院 へ紹介された。外科的肺生検病理組織検査結果と血清鳥関連抗体 陽性,接触歴より慢性過敏性肺炎と診断。X 年 9 月よりステロイ ドと免疫抑制剤による治療を開始したが更に増悪した。X+5 年 12 月,脳死左肺移植術を施行した。【症例 2】44 歳男性。幼少時に インコ飼育歴あり。自宅前の公園にハト,カラスが多数飛来。羽 毛布団,ダウンジャケット使用歴あり。X-2 年 5 月頃より咳嗽と 労作時呼吸困難を自覚した。X-1 年 3 月頃より労作時呼吸困難が 増強したため前医を受診,接触歴とハト血清リンパ球刺激試験陽 性より,慢性過敏性肺炎と診断。X 年 12 月,脳死左肺移植術を施 行。摘出肺の病理組織検査結果は慢性過敏性肺炎に矛盾しなかっ た。術後経過について,症例 1 は残存肺のアスペルギルス症,気 胸を発症し,症例 2 は慢性 GVHD による胸膜炎と閉塞性細気管 支炎等が原因と思われる II 型呼吸不全を呈したが,移植肺におけ る慢性過敏性肺炎の再発は認めていない。
  • 川島 到真, 毛利 孝, 星 進悦, 那須 元一
    2015 年 35 巻 Suppl1 号 p. 71-3
    発行日: 2015/11/07
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
    症例は 59 歳男性。主訴は咳嗽、息切れ、倦怠感。現病歴は平成 26 年 9 月肺癌検診で前医受診し CXp・CT で微細網状陰影を認め、 臨床検査で KL-6 高値であり間質性肺炎が疑われ当院呼吸器内科 紹介受診。初診時現症はバイタル正常、聴診では inspiratory fine crackles を聴取。CXp では左右下肺野に微細網状陰影がみられ、 CT にて両側肺下肺野胸膜優位に汎小葉性スリガラス様濃度上昇 があり間質性肺炎と思われた。臨床検査からKL-6 高値を認めた。 BAL 所見にてリンパ球上昇と CD4/8 上昇、HLA-DR 陽性細胞の 高値を認めた。また、TBLB では肉芽腫形成と胞隔炎を認めた。 毎年自宅にツバメが巣をつくり、その時期に症状出現がするため 検査所見とあわせて過敏性肺臓炎を鑑別挙げてゲル内沈降抗体反 応を施行した。ハト糞とオカメインコ糞では反応を認めなかった が、ツバメ糞抽出物では沈降抗体反応を認めた。診断基準から過 敏性肺臓炎と診断された。今までツバメを原因とする報告がなく 今回提示した。
feedback
Top